第4話 決斗(ヂェエドォウ)
「さぁ!今宵は四神を決める大一番!七年ぶりに朱雀が選びなおされます!闘技場は超満員!間も無く選手たちの入場です!」
闘技場には国の人々が今か今かと、2人の入場を待ちわびていた。
「お兄ちゃん…もし勝っちゃたらどうしよう?」
「大丈夫よ!アイツ言ってたじゃん!お前らを見捨てたりしないって。」
「うん。じゃあ負けちゃうのかな。」
「きっと、何か考えがあるのよお兄ちゃんを信じましょう!」
複雑な心境でトゥイの入場を待っていると、ついにガラガラガラと地面に刺さっていた杭がゆっくりと上がっていく。
「両者入場です!!」
大歓声と共に2人が入場する。2人は程よい間合いを保ち、互いに足を止めた。
だがすぐにトゥイの異変に気付き会場がざわめきだす。
「ん?お~っと!トゥイ選手なぜでしょうか⁉なんと武器を所持しておりません!」
四神における闘技において、武器の所持は一つであれば認められている為、なにかしらの武器を使って戦うことがセオリーであるが、対戦相手のペイニュは大きな鉄球チェーンを装備しているのに対し、トゥイは丸腰で武器を一切持たず闘技に出場したのであった。
「オレは戦わない。兄弟たちを置いて朱雀になることはできねェ。」
会場が先ほどよりも一層ざわつく。
無論、それは前代未聞の出来事であるからだ。
「で、ではトゥイ選手の棄権により!ペイニュ選手が三十二代目の…」
「ならぬ!!!」
特別観覧席から長のチョンテイが大声を上げる。
「過去三十一回ともそのようなことは一度たりとてありはせん!ドンな理由があろうと闘技は必ず行う!さっさと始めるのじゃ!!」
長の絶対的発言にトゥイは為すすべがなかった。
(くっそ…まじでやばいな…。)
「分かりました!「ではルールを説明します!両者どちらかが完全に倒れるまで試合は終わりません!時間は無制限!なお、この闘技においては降参も認められません!それでは…はじめ!!」
開始の合図とともにペイニュは鉄球チェーンをグルグルと回してトゥイの方へなぞるように「そぉ~…れぇい!!」放った。
トゥイは一歩も動かず横からもろに鉄球をあびた。
「…ガハッ!!」そのまま勢いよく吹き飛ばされ壁にぶち当たる。
「兄ちゃん!!」「トゥイ兄!!」
兄の傷つく姿に兄弟たちは思わず立ちあがる。
「おいおい。手ごたえがまるでねーぞ。」
「うっせー。」
口元に付いた血をぬぐい、トゥイは一心不乱に立ち上がる。
だが、ペイニュは攻撃を止める気配はなく、最前よりも素早く鎖を回す。
「今度が連続で行くぜ!」ヒュンヒュンと風を切る鋭い金属音とともに、再びトゥイに襲い掛かる。
ドカーン!と壁を破壊する音が観客席に響いた。「まだだぜ!」戻しては放つ。戻しては放つ。ペイニュは何度も乱暴に鉄球を振るう。それにより会場は煙が立ち込めていた。
「どうしたどうした⁉愚劣なガキどもがそんなに大事か!?学校にもろくに行けねぇ無教育家族どもがよぉ!!」
そのとき、ペイニュの攻撃が止まった。いや、正確には止められたと言うべきさろうか。鎖につながれた鉄球を戻そうとしても全くピクリとも動かない。そして、煙が晴れトゥイの姿が見えた。
なんと、片手一本で座ったまま鎖を掴んでいた。
「くっ…!戻らねえ…!」
「…どこで知ったかしらねェけどよぉ…俺の悪口を言うのはいやぁいいよ。ただ、家族を悪く言われたとき。お前…立場が逆なら…オレを許せる?」
それはまるで毒蛇を狩る孔雀のように猛禽類の目で相手を鋭く睨んていた。ペイニュだけでなく、会場にいる全ての人々が凍り付いてしまったのだ。
(今のは…確実に殺気。あんなトゥイ…はじめて…。)
「返すぜ…!」
片手で掴んだ鎖を、立ち上がり緩急をつけ持ち主に思いっきり返した。
「…ゴフッ…!」鉄球がペイニュの腹にのめり込み、たまらず尻もちをつく。
「痛ってーなこらぁ…!」
すぐさま起き上がり反撃のごとくトゥイに何度もを放つ。だが、それを特に動作もなく軽々と避けていく。
「いい加減…くたばれ…!」ペイニュは最大限の膂力で鉄球を懸命に放った。
しかし、トゥイの突きあげられた右足によって鎖ともども激しく散っていった。そして、ペイニュの元へと物凄い速さで近づき拳を振りかざした。
「わ…悪かった…!家族を馬鹿にして…!だから許し…」
「遅せーよ…何もかも…」
トゥイの拳がペイニュの泣きっ面に思いっきり入った。吹き飛ばされコロコロと地面に転がり白目をむいたまま、ペイニュは完全に倒れてしまった。
「…ペイニュ選手…!立ち上がることが出来ません!勝者!トゥイ選手!そして…三十二代目の朱雀がぁ!!いまここに誕生しましたぁ!!!!!」
うおおおおお!と会場は今日一番の大歓声に包まれた。だが、皮肉にも趣旨とはほど遠い結末になってしまった。
「やべー…オレ…勝っちまった…。」
トゥイは焦った様子でミンリンと兄弟たちのいる方向をみた。そこには、笑顔で彼を祝福している仲間たちの姿あった。
「すごいよ兄ちゃん!!」「やるじゃん。」
「お前ら…!」
どんな形であれ、祝福してくれた家族たちに動揺を隠せず溢れそうな涙を、トゥイは上を向き必死にこらえる。
「…ん?7なんだあれ?」
トゥイの視線の先には晴天の霹靂と言うのにふさわしいほどに突如謎の黒い空洞が闘技場に出現。会場の人々もその異変に気付き始める。そして空洞の中から巨大な妖魔が現れたのであった。
「グオオオォォォオオオオオオオオオオオ!!!」
この後、トゥイたちどうなってしまうのか!?




