第23話 運命
「確かに貴殿らがおっしゃるよう遮二無二のようにも捉えられます。ですが玄武殿も戦き感じたはずです。あの恐ろしく強い呪妖魔を…。野放しにしておけばいずれ彼らは四神の力でも歯が立たない、戦慄で脅威な存在になりかねませぬ。それを生み出しているのが竜生九子という異端者であるのならば、一刻も早く殲滅するべきだと私は考えております。」
再びリーウが場の空気を支配した。そんな会場の空気をまったく読まず、シュエンはダラダラと喋り始めた。
「でもさぁ~。せっかくやっとチームになってきた気がするし~。一人でも死んだらまた選び直さなくちゃいけないんでしょ~?そうなったらお金もらえなくなっちゃって四神に選ばれた意味ないんじゃ…イテテッ!何すんだよ⁉」
リーウの隣に座っていたシュエンが意表にも耳をつままれたじたじになっていた。
「あなたはいつもいつもお金お金と…。コホンッ!いいですか!四神ともあろう者がそのような利己主義でどうするんです?四神ならもっと利他主義でありなさい。利他主義で。」
「リ…リタシュ?何それ?」
「自分中心に考えるのではなく、他人の為に行動出来る人間でありなさいって事よ。」
チンプンカンなシュエンに対し、呆れてため息をつきながらリーウは言う。
「あー!そういうことかぁ!そういえばその言葉…前読んだ本に書いてた気がするなぁ~。覚えておくよ。」
シュエンは目を輝かせ笑顔で答えた。リーウは覚えておくよと言ったシュエンの言葉に疑いを隠せない様子だった。
しかしシュエンの核心をついたような意見に賛同する組合の者も少なからずいた。
「ですが白虎様、青龍様の意見もごもっともだと思えます。少しずつですが、輪になってきてるように私は感じます。思想や性格はバラバラで青龍様のように利己的な考え方をもった方もいらっしゃいます。しかしながら異色異彩の今までにない四神が結成されました。だからこそ!これからも新世代の四神として新たな歴史に刻むその勇士を!もし一人でも戦死してしまい解団するようなことになれば…なんと勿体無いことでしょう!白虎様、今一度考えを改めていただきたく存じます。」
組合の一人の熱弁にオーという歓声があがる。だがそれでもリーウは引くことを知らなかった。
「急いては事を仕損じると言いますが、善は急げとも言います。勿体無い、それは私情、主観です。戦死したのならそれも運命…。敵が力を整えていずれ攻めてくるのが分かっているのでしたら、遅かれ早かれ戦いは避けては通れませぬ。ならば!相手を少しでも出し抜き、潜入、潜伏し戦うのです!逃げ腰でどうするんですか?これでは先代の四神殿達に示しがつきませぬ。私たち…いや我々は、国を守る為選ばれた…四神なのですから。」
誰も何も言い返せない。堂々たる覚悟。会場を再度一気にリーウのペースに戻した。
そしてトゥイが集会で初めて口を開く。
「まぁ…よくわかんねぇけどよぉー。要は片っ端から妖魔をよぉー。化け物の姿だろうが、人の姿だろうが、倒しまくりゃあいいんだろ?」
「…そういう事になりますね。」
リーウがうなずくと、トゥイは胸のあたりで拳を鳴らした。
「へっ!ならとっとと敵のアジトをみつけて突撃しようぜ!新チームの四神でよ!」
四神、組合一同の話し合いにより、敵陣への潜入が決定した。トゥイの最後の言葉が決め手となったように思えた。
すると、鮫肌部隊の一人が会場内に慌ただしい様子で現れた。
「報告します!敵の『老巢』と思われる場所を探知しました!現在孤島にて潜伏していた模様であります!」
リーウはニヤリと笑みを浮かべた。「…やはりそうでしたか。」ハオがすかさず問う。
「その言い方…まるで分かってたみたいに言うじゃねぇか。」
「ええ。予め鮫肌部隊には私が推測できる場所を伝えておきました。あやつらは空間を行き来し移動していた。ならばすぐに見つかるような場所や陸続きになっているのは考えにくい。なので地下や孤島といった、意外と気づきそうで気づかない場所に潜伏していると考えていましたから。木を隠すには森の中です。」
(…コイツ…まじで頭がいいがすぎる。判断力や分析、それに至るまでの説得力のある答の出し方…敵じゃなくて良かったとホントに思うぜ。)
リーウの分析にハオは思わず息をのんだ。
「うっし!なら早速準備開始だな!そんで麒麟とは…オレがやる‼」
「っけ!なに気張ってんだよ!だいたいおめぇとやるとは限らねぇだろうが。俺様もアイツとは戦ってみてーしよ。ぶっちゃけ集会ではあんな風に言ったが、本音は早くアイツらと戦いたくてしょうがなかったしな!」
「まぁ、倒せばお金が貰える。なら斬るまでだね。」
「コホン!意気込みや気合は十分なようで大変よろしいですが、油断は禁物です。心してかかりましょう。」
四人それぞれの気力は高まっていた。四神一同、孤島にある老巢に向かうべく、それぞれの故郷に帰り準備を整えるのであった。




