第22話 試験
「では…始め!」
ここは四神組合の会議室。今日は試験管の前で正しく能力を扱えるかどうかを確かめる大事な日である。トゥイ以外の三人は無事試験をクリア。残るはトゥイだけ。
「无限…灵魂(インフィニティソウル‼」力みは無くコツをつかんだのか、背中から孔雀の尾羽が美しく扇形に広がった。
「おー!なんと美しい!」
「これが朱雀の力かぁ!」
組合一同から歓声があがる。
その様子を少し離れた位置から見つめていた三人の四神たちはホッとした安堵の表情をみせた。
「朱雀。合格だ。よって!改めて三十二代目四神を!ここに結成する‼」
拍手喝采で場内が沸いた。トゥイは拳を握りしめガッツポーズをした。
「うっし!」
「ふぅ~。冷や冷やしますね。朱雀殿は。危なっかしいというか。何というか。」
リーウがくたびれた様子でハオに話しかけた。
「まったくだ。なんせアイツはオレ達と違って、能力がハッキリ現れちまうからな。極端な話。0か100だ。」
ハオは目を細めながらリーウに答えた。
「ですが、赤都は『火生土での選出でしたよね?占いの運任せのはずが的中率は百発百中。選ばれた歴代継承者は力量は違えど必ず朱雀に抜擢され能力を解放している…。珍聞奇聞な話ですよ。』
腕を組み不思議そうな様子でリーウは返答した。
「まぁいいじゃん。これで引き続き沢山お金が貰えるよ。」
相も変わらず他人事のようにシュエンは言う。
そんな会話が聞こえたのか、無事試験に合格したトゥイが三人の元に駆け付けた。
「な!言ったろ!心配すんなって!」
「朱雀殿、もしや解放できるようになったきっかけは…」「人の為だ。」
トゥイはリーウの言葉に続くように答えた。
「自己紹介のときに言ったけど、四神でやっていく一番の理由は兄弟たちの為。それは変わんねェ。でもおりゃあそれすらも見失ってとにかく解放しなきゃって焦って自分しか見えてなかった。でも解放したあの日、思ったんだ。仲間を助けたいって。そしたら結果がついてきた感じかな。だからこれからは兄弟たちはもちろん、それと同じくらい仲間の為に力を使うよ!」
「朱雀殿…」
そんな意気揚々なトゥイにハオは文句をつけた。
「よく言うぜ。七日目ギリギリで能力を解放させたくせに…。おりゃあポロッとやらかすんじゃねぇかと思ったぜ。」
「あぁ?てめぇは!四神としてこれからやってこうって気持ちはないのかねぇ?ハオくん??」
眉間にシワをよせながら机に足を乗せて威圧した。
「てめぇ以外ならいくらでも歓迎してやったのによぉ。ま、精々足を引っ張らねェこったなぁ?トゥイくん??」
二人は睨み合い、喧嘩が起こりそうな所をすかさずリーウの銀杖が双方の頭を突き、鈍い音が鳴る。
「…コホン!静粛に…。」
目をつむりクールな様子で言う。そのとき、トゥイはある事に気づいて目を丸くした。
(コイツ…今…オレのこと初めて名前で…。)
そのちょっとした出来事にリーウも気づいていた。リーウは両者をみて少し考え事をした。
(恐らく玄武殿は、玄武殿の中で徐々に朱雀殿を認め始めて来ている。いや…もうすでにあのときに…)
リーウが思い返していたのはハオとトゥイが激しく罵倒しあったあの日、僅かに解放をしてトゥイの勇士をみせた場面であった。
「どうしてだ⁉どうしてお前は⁉そんなに自分を信じられる⁉どうして何度も諦めないでいられる⁉」
「放弃[諦める]?そんな言葉…オレは知らねェ。」
そのとき既にハオの中でトゥイに対しての見方が変わっていたのだとリーウは思った。
(ハッキリ言って朱雀殿は海のものとも山のものとも知れない。しかし時おり魅せる朱雀に相応しい確かな貫禄と卓才には驚かされるばかり…。貴殿には歴代の継承者にも無い不思議な力が宿っているのかもしれませんね。)
改めて四神が正式に決まると、昨今の人妖魔の襲来を受けて組合同席の元、集会が行われた。
「此度の竜生九子の襲来を受け、我々四神一同は敵の『老巢』を見つけ次第直ちに潜入し、敵陣に攻め込みたいと思っております。」
リーウが真剣な表情で集会を取り仕切る。残りの四神達と組合一同に緊迫が走った。
「しかしだな。攻め入ると言っても…敵の数も未知数で、俺達の前に現れた二人組の人妖魔も情報が少なすぎやしねーか?ここは一つ。相手の出方を見るってのも一手だとオレ様は思うが…。」
リーウに物怖じせずに訪ねたのはやはりハオであった。
「わ、私も玄武様の意見に同調する!」
「私も玄武様の意見に賛成だ。わざわざこちらから出向くのは余りにもリスクが高すぎる。白虎様らしくないご決断に思えますがな?」
ハオの意見に賛同して珍しくリーウの意見に票が集まらず、リーウの意見が通らないように思えた。
だが、ここから最もらしい意見で周囲をくつがえす事になる。




