第17話 夢喰い
「しゃ‼準備万端‼」
約束の期限七日目。とうとうこの日がやってきた。
トゥイが今日解放できなければ四神は解団。
そんな危機感を誰よりも感じているせいか、トゥイは両手で頬を叩き、かなり気合が入った様子だった。
「あまり力を入れすぎてはかえって身を滅ぼしますよ。」
「いいんだ。俺はこのやり方しかしらねぇから…」
そのとき鳥肌の鷲から知らせが届く。
「これは…⁉」
鳥肌から知らせが来るときは急ぎの通達のサインである。
「妖魔が黒区付近に出現し、只今黒へ進行中とのことです‼急がねば黒の人々が危ない…‼」
「なんだと…⁉」
四神は目の色を変えた。
リーウは即座に能力を解放し、バイフーを呼び起こした。
「私のバイフーにお乗り下さい‼」
全員バイフーに乗り黒区へと急いで向かう。
「もしかしたらこれが我々四神として最後の役儀になるやもしれませぬ!試してかかりましょう‼」
「おう‼」
「うん!」
「最後になんてさせねぇよ!」
そして手に汗を握る妖魔討伐が始まる。
「…おいおいまじかよ聞いてねぇぞあんな妖魔が現れるなんて…」
ハオは声に発して確かめる。
「解団する前に…僕たちが死んじゃうかもね…」
シュエンでさえ動揺を隠せないでいた。その妖魔は黒区へと進行しており、黒区のすぐそこまで迫っていた。
三尺ほどの大きさ、長い鼻、体は白黒模様をしていた。
そしてシュエン、ハオ、リーウの三人はバイフーから降りて焦った表情で走り出した。
「お、おいどうしたんだよお前ら⁉」
「いいからお前も来い‼」
少し遅れを取ったトゥイは急いで三人を追いかける。
「何だよ⁉そいつそんなにやべーのか⁉」
「獏。滅多に現れることのない上位妖魔です。呪妖魔とは比にならない強さを秘めています。その能力は『夢喰い』。人々のエネルギーを吸い込み、十秒間吸い込まれたものは二度と目覚めることはないとされています。故に昔話として『悪い子は獏に夢を喰われる』と言われ恐れられてきました。」
「俺もそれくらいなら聞いたことある…くっそこんなときに‼」
「兎に角異常事態です!獏はもうすぐそこまで来ています‼このままでは人々が大変危険です‼皆さん即座に解放を‼」
『无限灵魂‼』
全員掛け声と共に能力を解放した。しかし、またしてもトゥイだけが解放出来なかった。
「くっそー…‼またかよ‼」
「わりぃが今回はお前にかまってる暇はねぇぞ…」
(こいつら…オレでも分かるくらい表情がまじだ。それだけこの相手がやべーってことかよ…)
悔しがるトゥイを置いていき、一人走るスピードをあげハオが真っ先に先制攻撃を仕掛けた。
「暗帝…鳴蛇拳‼」
獏に対して強烈な一撃を繰り出す。だが圧倒的な強度故に弾かれてしまう。
(なんだこいつの体⁉馬鹿みてぇに堅い‼)
ハオに気づいた獏は最大の武器である鼻をハオの体に素早く巻き付けた。
「うわぁぁぁぁぁぁあぁ…‼」
獏はハオのエネルギーをみるみる奪っていく。
「蒼帝…虎蛟斬‼」
シュエンの攻撃が獏の鼻を切り裂き、ハオは命を救われる。しかし獏の鼻は直ぐに再生し、今度はシュエンに襲い掛かる。
「くっ…‼ほどけない…‼」
「ヒョロ⁉」
必死に抵抗するが巻きつかれた鼻はビクとも動かない。
「明帝…梁渠牙‼」
バイフーの牙が鋭く大きい形状に変わり、獏の前足に噛みついた。
「パオオオオオ~ンッ‼」
怯んだ獏は締め付ける力を弱めてしまい、シュエンは開放される。
リーウは態勢を整えるべく、ハオ、シュエンをバイフーに乗せて距離をとった。
「ハァ…ハァ…流石に今のは死ぬかとおもったよ…ありがとう…」
「あぁ…全くだ…」
「礼など言ってる場合ではありません!はやく妖术を込めるのです!」
「けど今ので俺たちは大分妖术を吸われちまった。出せてもまぁまぁ強力な技が一回くらいしか…」
態勢を整えたものの、獏は怒りを露わにして再び襲い掛かる。
「ッチ!バケモンめ…‼」
強力な上位妖魔、獏。四神はこれまでにない苦戦を強いられる。彼らの運命はいかに…!?




