第15話 蛇紋(じゃもん)
「バカッ!ヤミクモに突っこんだら…」
(…ヤバい!)
トゥイは山魈の攻撃に、攻撃の体制からすぐさま防御の態勢に切り替えトゥイは信じられない反射神経で躱した。
「っぶね…!」
だが山魈はターゲットを替えてリーウに突撃する。
「リーダー⁉」
リーウに拳が降りかかる刹那、死角からハオが反撃する。ハオの拳は山魈の顔面にクリーンヒットし、山魈は吹き飛ぶ。
「そうやすやすとうちの大将には触らせねーぜ。このオレ様がいるかぎりよ。」
「玄武殿。助かりました。」
「いいって事よ。」
山魈は口に付いた血を拭い、立ち上がる。すると追撃のごとくシュエンは山魈に斬りかかった。
「青帝…文鰩舞!」
だが素早い身のこなしで木々を使い鉄棒を一回転するようにシュエンの斬撃を避けた。
「は⁉なんて速さだよ⁉パワー系じゃねーのか⁉」
山魈は木を登って体制を整えた。
「ざんねん。借りを返そうと思ったのに…なかなかの敏捷性だね。」
シュエンは悔しそうに刀をしまった。
「あのヤロウ…また俺達を見下ろしやがっって…」
ハオは余裕の山魈を見上げ歯ぎしりする。
「⁉」
リーウは何かに気づいた。
(恐らく…だがそうだとしてもどうあやつを追い込めば…)
「お前ら。オレ様に考えがある。そのまま聞いてくれ。」
「なんだよ?考えって?」
「ヤツはパワーもあるうえ、スピードもバネもある。おまけに殴ってもあんま効かねー丈夫さときた。だがヒョロも言ってたがどんな妖魔にも弱点があるってもんだ。それはヤツの皮膚にある。」
「皮膚?」
「ああ。さっきヤツを殴ったとき、皮膚はそこまで頑丈じゃないことに気がついた。でよ、そんな敵にとっておきの技があんだよ。」
ハオは秘伝の技の特徴を仲間に伝えた。
「毒針を作る。」すると仲間全員が仰天した。
「おま…マジで言ってる?」
「すご…」
「それは左様ですか?」
「へっ!お前らオレ様を誰だと思ってんだ?実力で玄武の座を勝ちとった男だぞ?そういうことだ。だがその技を使うには二分間の時間が必要だ。外せば倍の四分。できれば一撃で仕留めたい。どうにか一瞬でもいい。隙を生んでほしい。何か手はねぇか?」
(!玄武殿のその技があれば…)
リーウはハオの提案に先ほど山魈の異変と作戦を伝えた。
「なるほど…そりゃいい作戦だ。」
ハオはにんまりと笑い、右手の人差し指を突き刺し反対の手で支え技を繰り出すべく妖术を込める。
「はあぁぁあっ…」
「!」
山魈はハオの異変に気付き、すぐさま枝をつたって接近する。
「明帝…陸吾乱!」
山魈を狙い、リーウはバイフーをさせそ顕現化させバイフーの尾からなる無数のつららが山魈の方へ向かっていく。
「キィー!」
しかしそれを悠々とかわし、地上に降りると迂回しながらハオの方へと四つん這いで走りながらみるみる近づいていく。
そして飛び上がり両こぶしをハオ目掛けて振り下ろした。
「ウキィーイッ!」
が、その傍らにトゥイとシュエンが自らの武器を所有して片方ずつ拳を受け止め立ち塞がった。
(力はまだ解放できねェ。けど…前の戦闘みたいに何も出来ないのはもうナシだ!)
「これでこの間の借りは返したぜ!」
「へっ!二人がかりで防いでるヤツが何言ってやがる。一人で止めれるようになってから言いやがれ。」
「それもそうだな。」
トゥイは短い会話を済ませると、シュエンとアイコンタクトをとり、息を合わせる。
『せ~…っの!』掛け声と共に剣を振りほどき、山魈の腕は頭上に上がる。腕が上がったことにより腹の中央部ががら空きになり隙が生まれた。
互いの剣をクロスさせ、山魈の腹部を同時に斬りつけた。
「それっ!」
「おりゃあ!」
山魈は少し後退りし、切り傷はつけられた者の大してダメージを与えられず、枝をつたい上によじ登っていく。
(そこそこの斬撃も効かないのは分かってるよ。でも、チーフのいう通りなら…)
山魈が体制を整えようと着地しようとした瞬間だった。
「⁉」
山魈はツルっと足を滑らせ勢いよく落下していく。
(チーフの言ったとおりだ!あの山魈は間合いを的確にするために決まって所定の位置に必ず戻ってたんだ。その癖をいち早く気づいて氷を仕掛けた…スゴイよチーフ!)
「玄武殿!今です!」
「オーケー!準備できんよ!」
落下するスピードと、毒針がささるスピードを計算して標準を合わせ毒針を放った。
「黒帝…鈎蛇针!」
毒針はしっかりと山魈の左腕にささりこんだ。
「…ウキィイイ‼」
山魈は間も無く、もがき苦しみだした。
「わりィがソッコー性だぜ…時期に死ぬ。」
(コイツ…なんて殺気だよ…暗殺が得意なのは冗談じゃないっぽいな…)
ハオの冷酷な言動にトゥイは恐怖をおぼえた。
そして山魈は摩砂へと姿を変え、散り散りに消えていった。




