第13話 担担面(ダンダンメン)
暗がりの月夜が照らす森の中で四神一同は焚き木をくべながら体を休めていた。
リーウは書物の整理。シュエンは読書。ハオはいびきをかきながらすでに就寝。
そしてトゥイは得意な料理を作っている真っ最中だった。
トゥイが能力を解放できないまま四日目を向かえていたいたが、妖魔を討伐する役儀を完遂し、明るい雰囲気で場が和んでいた。
「へい!お待ちどうっ!担担面の完成だ!」
担担面。
赤都に伝わる赤い汁、赤い麺で作られた一切合切赤いタンタンメンである。見た目通り辛味が効いており、トウバンジャン、山椒、唐辛子など様々スパイスが使用されている。
「……ん~っ?」
トゥイの作った担担面の香ばしい香りで目を覚ましたのか、いち早く興味を示したハオ。ゆっくりと近づき鍋をのぞき込むと、おおきな鍋に大量の麺が溢れんばかりの勢いグツグツと煮込まれていた。
煮え立つ音と鼻をつんざくスパイシ―な香りがハオの五感を刺激する。
「ほぉ~…なかなか美味そうじゃねぇか。」
「おうよ!自信作だ!食ってみやがれ!」
トゥイは自信満々におたまで麺と汁を器によそおいハオに差し出した。
「だが、問題は味だ。どれ。オレ様が味見してやろう。」
差し出された器を受け取ってズルズルッと活気よく麺を口に運ぶ。ハオは何度も咀嚼して味を確かめた。
「アレ?もしかして辛ぇの苦手とかそういう感じ?」
「ハオはごくりと飲み込み口を開いた。
「悪かったな。今までトサカポンコツってバカにして…」
「ん~っと!?これはどういう風のふきまわしだぁ~?ってことわぁ~?オレを認めたってことでいいのかなぁ~!?まぁ、今更謝ってもおそ…」「今日からお前。メシ使いな。」
メシ使いという三文字がトゥイの頭上にズゴーンと重くのしかかった。
「な、なんも変わってねーじゃねェか!誰がメシ使いだコラァ!」
トゥイは腕をまくりハオに激怒したが、ハオはそっぽを向き完全に無視。
「アイツらも腹ごしらえしといた方がいいだろ。」
ハオは少し離れたリーウとシュエンを呼びに行く。
リーウは赤い鳥の足に筒状の紙と何かが入った小袋を巻き付けて空に放った。鳥は鳴きながら空へと羽ばたいていった。
「頼みましたよ。祈祷…」
リーウは空を見上げ、数珠を両手で挟み安堵を願うように目をつむり祈った。
この赤い鳥は鳥肌部隊の鳥である。
鳥肌とは、赤の人々で形成された鳥を操り報告や伝令を主軸している部隊を示す。
鳥肌は膨大な情報を扱うため、記憶力に優れた者が選抜されている。
各国の情報を円滑に共有すのに欠かせない存在なのだ。
今回は巨妖魔と蠱雕の討伐に対して鳥肌から赤い鳥が手配されており、この赤い鳥は伝令鳥を意味する。
それでリーウは報告書を作り、伝令鳥に託したという訳だ。
「お~い姉貴!ヒョロヤロウ!」
ハオが呼ぶ声に二人は咄嗟に振り返った。
「メシだメシ!」
「っておい!そりゃあオレのセリフだろうがっ!」
トゥイはおたまをかかげ再度怒りをあらわにしたが、またもハオは無視。
二人は立ち上がり香りがする方へ足を運んだ。
「おや?これはなんとも嘱目させる香りですね。」
「うわ~っ。おいしそー。でも結構辛そうだね。」
「まぁそれなりに辛いぜ。あー…お前は辛いのダメそうだな。」
「ううん。むしろすごい好き。」
「へー。意外といけんのね。じゃ!問題ねーな!」
トゥイは二人に確認をとると器に麺を盛り付け差し出す。先ほどのハオと同じようにズルズルッと麺を口に運んだ。
「ん~っ!これは…!」「わ~すごい!」麺の辛さが伝わったのか、二人は目を丸くした。
「ただの麺ではなくこの赤い麺がより食欲を引き立たせ躊躇いなくくる辛さが舌を病みつきにさせる…。朱雀殿。見事な一品でございます。」
「ただ辛いだけじゃなくて、舌が程よく痺れるとことか考えられてて僕好きだなぁ~。」
「おーお。皆口にあったようでよかった!まだまだあるぜ!じゃんじゃん食ってくれや!」
皆箸を休めることなくトゥイの作った料理を食べ進めあっという間に完食してしまった。




