第12話 動く影
|蠱雕《こちょうはまた水中に潜り込み潜伏した。
「来るよ。」
すると足元の海氷は割れ、四神たちは怯んでしまう。
『无限灵魂!!』
シュエン、リーウ、ハオの三人は力を解放し足場を確保する。
「よし!オレも!うおおおおおおおお!!」
ポッと少しだけ明かりを灯すような火が背中から出てきただけだった。それ以上に燃え上がることはなかった。
「朱雀殿!!」
「あのバカ…また!!」
急いでトゥイを救おうと一番距離の近いハオが助けようとした途端、水中から再び蠱雕が姿を現し棘のようなものを口から吐き出す。
(くそっ!間に合わな…)「青帝…鱅鱅舞…」
シュエンはトゥイの近くの水中に向けてフィンガースナップをした。掛け声とともに水中から魚の形をした水の塊が飛び出し、蠱雕の攻撃を防いだ。
「た…助かった…」
トゥイは難を逃れたが、それでもなお、蠱雕は大きな氷柱や水中を駆使して四神たちを攪乱させる。
「…ッチ!ちょこまこと鬱陶しいヤツだな!」
ハオは中々攻撃の糸口がつかめず、苛立ちを見せていた。
すると、シュエンは軽やかなステップでハオに近づき、ポンッとハオの肩に手を置いた。
「ここは僕に任せて。水と速さなら誰にも負けないよっ♪」
シュエンはそう得意げに言うと腰を低くして苗刀を逆手に構えた。
「青帝…文鰩舞。」
目にも止まらぬスピードで蠱雕の攻撃を次々と受け止めていく。
「妖魔と互角のスピード…いや、みるみるスピードが増してやがる…」
「ええ。信じ難い俊才です。」
そして蠱雕がシュエンの猛スピードに気圧され隙が生じる。
「蒼帝…茈乱!!」
フェンシングのような数多の突きをお見舞いした。
「…ギャウウウウウウウウウウゥゥ…!!」妖魔は意識を保てず、魔砂へと姿を変えた。
(優れた状況判断能力に型にとらわれない刀捌き…それも誰も寄せ付けない神足…。これほどとわな。シュエンとか言ったか?オレ様とどっちが強いか…ハッキリさせてやりてぇな。)
「へへっ…」
「なに笑ってんだお前?気持ちわりぃ~。」
「お前にゃあ関係ねェよ!それよりまた足引っ張りやがったなこのトサカポンコツ!」
「誰がトサカポンコツだこらぁ!!…ってか余計なもん増えてんじゃねぇか!!」
「そりゃそうだろ?昨日はオレ様で今日はヒョロヤロウに助けられちゃ世話ねぇよ。頼むから七日以内になんとかしてくれよ?トサカポンコツ君?」
「なんだとこらぁ!!」
「こらっ!目を離すとすぐに喧嘩ですねあななたちは。…それはさておき皆さんお気づきになられましたか?」
「うん。」「あぁ。」「え?なにが?」答えて当然と言うようなリーウの質問にトゥイはまた戸惑いをみせるが、リーウは気にすることなく話を続ける。
「先日の巨妖魔にも今回の蠱雕にも何者かが邪悪な妖术…『呪妖术』を施している可能性があります。しかも、かなり歪で独特な妖术を…。」
「⁉」
トゥイはここで初めて話を理解することができ、質問する。
「それって…妖魔じゃなくて、人が手を加えているってことか⁉」
「まぁそうだな。まだあくまで仮説だが、妖魔どもの動きが変だ。まるで意思をもってるみたいなきしょい動きをしやがる…。」
「うん。普通の動きじゃない。特定の人物をピンポイントで狙ったり、わざと攪乱したりするなんてどの教えにも書かれなかった。」
「玄武殿と青龍殿のおっしゃる通り呪妖魔だったとしてもちぐはぐすぎる。それに呪妖魔自体稀な存在です。斯くして、頻繁に現れること事態、岩に花が咲くようなもの…。この二体に忌々しい妖术がかかっていたのは紛れもない事実。そう。我々に何者かが妖魔を操っているのではないかと警告するかのように…。」
四神は息をのむ。もしかしたらここにいる誰かが妖魔を操っているのではないかと疑いをかけるほどであった。
「そんなの、どうだっていいだろ。」
唐突にトゥイは口を開く。
「呪妖魔がどうとか、誰かが操ってるとか、難しいことはよく分からんっ!でも、オレたちが妖魔をぶっ倒さなきゃいけねェってことだけは!このバカ野郎でも分かるっ!!」
暗い雰囲気を一掃し、思わずリーウに笑みがこぼれた。
「…ッフフフフフフフフ!そうですね!そのような事を考えても仕方ありませぬ。まったく。バカ野郎とはよく言ったものです。」
「一匹も倒してねぇバカ野郎に言われちゃあ世話ねぇがな。」
「ハハッ。確かにそうだね。」
少しずつではあるが、四神としての結束が徐々に深まっていくのを皆が感じていた。
続いて現れる妖魔は果たして…。




