第10話 一週間
「おやめなさい!」
リーウの怒声に2人はビクッと体を震わせた。
「まぁあなたたちは誠に仲がよろしいようで…。一体今度はどうしたというんです?」
「コイツの無能っぷりを言ったらよォ…飛び掛かってきたんだよ。初陣だとしてもここまでのポンコツっぷりをみせられりゃあ…文句の一つや二つ言いたくなるだろ。」
「そうだとしても言いすぎだろ!あんだけ言われりゃあ誰だって頭にくるわ!」
「なるほど。そういうことでしたか。でしたら玄武殿に責任があると思われます。仲間の悪口を本人の前でおっしゃるのはいささか傷つくものですよ。」
「ほらっ!やっぱし!」
「うっ…」
ハオは実力のあるリーウに言われるなら仕方あるまいと首を垂れた。
「ですが!玄武殿が言いたくなる気持ちも分からなくもありません。やれお一人で巨妖魔へ飛び込むは…やれ能力を解放できないは…あれでは四神としての示しがつきませぬ。」
「へへっ…言うねー。」
リーウの発言にハオはにやけた。
「確かに一人で突っ込んだのは悪かった。でも、オレだって…戦いたい気持ちはあるさ!あの時は本当に力を解放して妖魔を倒したんだ!なのに!全然力が解放されねェんだよ⁉」
「…。報告書の内容は、会議で申していたように嘘偽りのないものですから、力を解放して巨妖魔をなぎ倒したことは悉皆でしょう。しかし、こうも書かれていました。『歴代の朱雀の中で最も色鮮やかな羽であり、その力は過去最高傑作だった』とも…。」
「なるほどね。歴代のどの朱雀よりも優れている故に、扱いが非常に難しいってこと?」
読書をしながらも浅い口調でシュエンは冷静にひっそりと答えた。
「そういうことか。道理であのときの感覚が出せねェワケだ。」
トゥイは自分の手のひらをみつめ、悔しそうに言った。
「そしてもう一つ…由々しい案件が発生しております。」
『由々しい案件…?』
ハオ、シュエン、トゥイの三人は一斉にリーウに視線を向ける。
そして一間置いた後、息を吸いゆっくりと口を開いた。
ー四神本法第十七条 力発揮能ハズ者 モシクワ 力発揮能ハズナリシ者 本法ノ処罰トシナカラバナラズー
「つまり、能力が発揮できない。もしくは力が発揮できなくなったヤツが四神の中に一人でもいた場合、四神は解散しなければならないってことか。まぁそりゃそうだろ。」
「然り。よって四神組合にみつかれば、即刻私たちは解団となるでしょう…。」
「そ、そんなのやだよぉ~⁉僕は沢山お金が欲しいんだ!!もっといい暮らしがしたいんだ!!オカネオカネオカネオカネェ~!!」
さっきの冷静な分析力はなんだったのやら。シュエンは急に悲観し始めた。目の色を変えて子犬のように飛び込んて来たシュエンを、リーウは呆れ、お望み道理のお金をバラまいた。
「うわぁ!オカネだぁ!!」
何事もなかったように上手くあやし、リーウは話を続けた。
「兎に角、一刻を争っていることに間違いはありません。」
「…要するに俺が力を解放できりゃあ、このチームは終わらないですむってことだろ?」
「そういうことだ。分かったんなら何とかしやがれ!このトサカヤロウ!!」
「……てめェは…何でそんな言い方しかできねェんだこらぁ⁉」
再び両者にらみ合い、また喧嘩が起こりそうなところをリーウの銀杖で二人の頭を突いた。|
「痛って~…!」
「双方落ち着きというものをご存じ無いのですか?まったく…世話がやける。」
二人共頭を押さえ、片目をつぶった。
「朱雀殿が申したように、能力を使い熟せればなんら支障はないでしょう。さりとて、四神組合の関係者が七日を目途に我々を偵察に至るのは火を見るより明らか…。即ち!朱雀殿に残された猶予は一週間!!一週間で能力を解放させるだけでなく!使い熟せなくてはなりませぬ!!」
リーウは勢いよくトゥイの正面に人差し指を突き付けた。すると、トゥイは口角を上げ笑って答えた。
「いいねぇ~。そういうピンチ的なの…なんかヒーローっぽくて、カッコいいじゃん?」
「けっ…!口だけは達者なやろうだな。」
威張るトゥイに対してもちろんハオが対抗した。
だが、有頂天なその様は周囲に危機を感じさせないほどのオーラがあった。
果たして、トゥイは一週間以内に能力を使い熟し、四神解団の危機を乗り越えることはできるのか…。




