第9話 凛然
トゥイが戦場をしがみつく思い出見つめるなか、リーウは戦場に変化をつけるように銀杖を両手でクルクル回し始めた。後に勢いよく前に突き出す。
すると、なにやら霊気で覆われた白い虎が姿を現した。「ハッ!!」手を翳し、霊気で覆われた虎は喊声と共にハッキリとした虎の形へと変貌した。
「ガルルルルゥゥゥゥゥ…」
(!あの女…神魔を具体化ならまだ|しも…顕現化をやってのけるとは一体何者だ…?このオレ様ですら具体化までだっつーのおによォ…)
顕現化。
それを理解するにはまず神魔を理解してもらわなければならない。
神魔とはその国に奉られている妖魔のことを意味する。その神魔は赤都ではジュチュエ。白府ではバイフーという風に、その国で本質的に一人一人に宿っているとされ、意味合いが混合しないように言葉を分けて呼んでいる。
そして、それを霊気に纏わせ微かに呼び起こすことを【具体化】。
ハッキリとした姿で呼び起こすことを【顕現化】という。
なお、具体化または顕現化で現れた神魔は色や形、大きさまで全て異なる。つまり、具体化や顕現化をしたとしてもまったく同じものは存在しない。唯一無二なのだ。
具体化ができるものは数人に一人であるが、顕現化ができるものは極めて極稀であり、国に一人いるかどうかだ。
それだけリーウの存在は特別であり、四神には欠かせない貴重な存在であった。
「玄武殿は右に!青龍殿は左に!」
「了解!」「おっけい!」
2人はバラバラの方角へ素早く移動した。巨妖魔は思わず目を奪われ、隙を生んだ。
「行きなさい!バイフー!!」
「ガルルルルゥゥゥウ…!!」
顕現化されたバイフーが巨妖魔に突進。さらにリーウは右手で持っている銀杖を前に掲げ、目をつむり唱えた。
「白帝…六华冰柱彘!!」
バイフーは六華へと姿を姿を変え、六華から放たれる無数の氷柱が巨妖魔の手足を拘束した。
「グオオオオオオオオオオオオオ…⁉」
「今です!とどめを!」
身動きがとれない巨妖魔の懐へ2人は果敢に飛び込み、必殺技を繰り出した。
「蒼帝…虎蛟斬!!」
「暗帝…鳴蛇拳!!」
三人の見事な連携に巨妖魔は砂へと姿を変え、倒された。
統一感のある見事な初陣だったと言えるっだろう。
しかし、朱雀だけが一人取り残された。
トゥイにとっては悔しさが残る結果になってしまった。
「ふぅ。まぁこんなもんだろう。」
「これでどんくらいお金もらえるかな?」
「これにて一件落着ですね。お二人は朱雀殿のところへ。」
『了解。』
リーウは一人残って、巨妖魔をあっさり倒しいたことに唯一疑問を感じ巨妖魔の砂を調べることにした。
(おかしい。呪妖魔とはいえそこまで手応えを感じなかった。この程度の強さで前四神がやられるはずがない。何か隠された謎があるはず…。)
力が保てなくなった妖魔は魔砂に変わってしまうのである。
一方その頃、ハオとシュエンはトゥイと合流。無論、トゥイは戦闘では全くと言っていいほど役に立たなかった為、気まずくてしょうがない。
「わりィ…!足引っ張っちまって…」
トゥイは後頭部をさすりながら少しバツが悪そうだった。
「言いたいことはそれだけか?よくもまぁそれで巨妖魔に飛び込んだもんだな。やっぱり報告書はでっちあげだったてワケかよ。」
「違う…!あのときは本当に…」
「じゃあこの有り様はなんだ!お前はさっきの戦いで何をしたっていうんだ⁉あ⁉これじゃあ四神じゃなくて…三神でいいんじゃねェのか?」
「…んだと⁉」
トゥイは痺れをきらしてハオに飛び掛かった。胸ぐらの掴み合いになる。
「フフッ…がんばれー…」
シュエンは仲裁に入るつもりはなく、自分には関係ないと言わんばかりに読書し始めた。
「おやめなさい!」




