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只今、マリトル王国に潜伏中です。誘拐事件 01

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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。

 どうやら俺達二人とも人攫いに攫われたようだ。


 ビットの安全を考えると、今は暴れるのは得策ではないと考え、抵抗する事をやめて様子を見る事にする。

 馬車に放り込まれた後、しばらく揺られていると馬車が止まる。王都内の潜伏場所に到着したのか、また担がれて運ばれて行く。

 どうやら声からして俺達以外にも数名いるようだ。唸る声からして、ビットも捕まっているが元気なようだ。

 アジトらしき場所には他にも捕まった人物が数名居る気配がする。


 地面に降ろされ、麻袋が取られると同時に、『奴隷の首輪』と手枷を付けられた。……懐かしいな。


 この世界でのスタートがハード過ぎた為か、外の世界で少々気が緩んだ事に反省をする。

「チッ収穫はこれだけかよ」

 仮面を被った男が俺らを見て文句を言う。

「ガキ達がこぞって孤児院に入っちまってよう。外で出てピンで彷徨いてるのが、これだけだったんだ」

 どうやら、子どもを中心に攫う者達のようだ。

 周りを見ても攫われたのは幼い子ども達ばかりだった。

 俺もビットも年齢の割には幼く見えるので攫われた可能性が高い。

 その内成長するはずだ!絶対に!


「テメーのガキも行方不明だし、ったくついてねーぜ。…ん?お前どっかで…って、テメーはアース商会のガキ!」

 あぁ、いつぞやの会長の知り合いさんだ。広い王都なのによく会うよな〜。

 どうやらこの会長の知り合いさんは誘拐犯の仲間のようだ。

「なるほど、コイツは大金を釣り上げる餌になるな」

 仮面を付けた男が近づいてくる。どうやらこのメンバーのリーダー格の様だ。


「アースだと!こいつが、こいつらのせいで俺は!」

 そう言うと同時に俺は蹴り上げられ後ろに飛ばされる。

 俺のHPレベルが高い事もあり、さほど痛くは無いが、体が軽い所為(せい)で背後にあった木箱まで飛ばされた。


「おいやめろ!せっかくの金蔓が死んじまったらどうする気だ!死んだらお前は今度こそ解剖屋に売り飛ばすぞ!最低でも金貨100枚以上の損失補填してもらうからな!」

 俺を蹴り飛ばしたのは、以前グランドモールでアースを人攫いだと騒いでいた男だった。

 話からして、自分の息子を売り飛ばそうとした正真正銘の人攫いでクズのようだ。


 クズ親父 息子を攫えず 人攫う

 どおでもいいくだらない五七五ができてしまった。


「わっ分かった、す、済まない。ゆゆ許してくれ」

 力関係が判明する。そして俺を蹴った男はどうやらコイツらに借金をしていると理解する。

「コイツらをいつもの所に入れておけ」

 そう言って俺達は抵抗出来ずに更に奥にある部屋まで連れて行かれる。

 入れられた部屋には、真ん中で牢屋の様に鉄格子で仕切られており、中には俺と同じ、もしくは下の子ばかり入れられていた。

 見張は一人だけだ。子ども達だけだなのと、『奴隷の首輪』があるので充分だとみてるのだろう。




「おい、大金の成るガキだ、変な事するんじゃねーぞ」

 そう言って俺やビット達数名は牢屋に放り込まれた。


 俺の影から護衛として待機しているピノが出て、【浄聖魔法】で首輪や足枷と手枷を解除してもらい。見張の男にはとっておきの魔法をさっさと掛ける。

「〈ナイトメア〉と〈熟睡〉」


 『ナイトメア』を発生させ精神汚染を引き起こすと同時に、睡魔系の上級魔法である『熟睡』で深い眠りへと誘う魔法のコラボである。

 深い眠りの為、精神汚染解除をは出来ない。我ながら中々な組み合わせのコラボ魔法だと一人で感心する。



「大丈夫、見張は魔法で眠らせたから、喋っても大丈夫だよ」

 全員の首輪と手枷や足枷を外していく。

「どうしよう!急いで逃げないと!」

 ビットが慌てて俺に問いかける。


「まずは、みんなは現状確認だ、みんなはいつからココにいるの?」

 口を開けた年長の子の話だと、10日程前から居るようだ。食事は一日1回だけで水とパンを渡されている。

 既に今日の配給は終わっていおり、見張の交代も少し前にしているので暫(しばら)くは来ないようだ。


「まずは、ミルク粥の食事だよ。まだ食べれそうなら軽い食事を出すよ」

 ビットにも手伝ってもらい、子ども達に食事を取らせる。完全絶食では無いから大丈夫だとは思うが、心配だったので優しい食事からのスタートにした。



「落ち着いたと思うので、まずは皆んなをココから脱出させます。ただ、コイツらに見つからないようにする為、しばらく、私の住居で生活してもらいます。よろしいですね」

 皆んな頷く。

「ビットはここを出たら、一緒に攫われたこの子達の親とハイエルさんに連絡してもらい、ハイエルさん達には親御さん達と一緒に憲兵へ連絡するように伝えてくれ。ただし、ビットはあくまで目撃者で、俺のことと親御さんには心配させて悪いが、救出された事は暫くは内緒で頼むぞ」


「なんで内緒なのか分からんけど任せとけ。ユートはどうするんだ?」

「全員いなくなれば、コイツらは直ぐに王都から逃げるはずだ。だから俺が残って幻影で皆んな居るようにカモフラージュする。みんなは、コイツらが捕まった後、証人としてもう一度ココに出て来てもらいたい」

 少し怖がっている様だが、ガンバて協力してもらいたい。

「みんなにはコイツら悪人をやっつける為の勇敢なる『勇者』になってもらいたい」

 その一言で子ども達の目が輝き出す。


 サポート達を呼び出し【幻影魔法】と【偽装】のスキルで変装していく。ちびっ子は幻影で奥に居る様に見せた。

 総勢15名の身代わり完了。ヴィーナスに繋ぎ、全員を送り出す。


 サポート達は、グランドモールと妖精の楽園の臨時スタッフが終了していたので人数が足りて丁度よかった。

「メイ、この子達の世話を頼む。後、この事をハウスのメンバーとブルファムさんにも連絡と、マグリート商会辺りにアース商会の従業員の子どもを攫ったとでも犯人達から言ってくるだろうから、セルジュオさんには会長役で対応を頼むと頼んでおいて」


 皆んなが移動し終えると俺は【地図】スキルを使い、もう一度確認をしてみる。

 既にこの場所を特定は済んでいる。

「まさか、商業ギルドの第2倉庫だとは」

 今は見張以外は近くには誰もいないので、人攫い集団が揃ったところで俺の合図を出すので突入してもらう計画はビットに伝言を頼んでおいた。



 攫われた時に【鑑定】を使用した。


「お前の名は」

「ユイル、ユイル・アース。誇り高きアースの民」

「ふん、何が誇り高きだ。商売と言うものを知らない素人集団が調子に乗って!だが、儲けたその金をそっくり頂くがな。ハハハハ」

 高笑いする仮面をしていたリーダー格を鑑定する。

【鑑定】スキルのレベルも上がったお陰で名前が判明した。

 名はバンスト・グラーベン。そして商業ギルドの職員だ。

 教会立ち退きの話の中で何度か聞いた名前だったのと、場所が商業ギルドの倉庫だからほぼ確定だろう。


 多分、こいつの【鑑定】結果を見なければ、普通に脱出するだけだったが、相手が王都商業ギルドだ。どこまでギルド長が関与しているのか分からないので、ワザと事件を大きくして揉み消せなく成る様にする事にした。

(本当に王都商業ギルドは俺の鬼門だな)



 翌日になり誰かが近づいて来る。見張役の【熟睡】を解除して起こす。

「おい、交代だ」

「おっおう…」

 調子悪そうに部屋から出ていき、新たな見張の交代が行われたので、

「〈ナイトメア〉と〈熟睡〉」


 良い悪夢を

引き続き、お付き合いくださいませ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 【更新スケジュール】

 火曜日・木曜日・土曜日  17時30分

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

無断転載、無断使用は固くお断りいたします。


★同日 21時に更新★

『ただの猫に転生しました。〜お気楽猫はご近所のスーパーと異世界ダンジョンを駆け回る〜』(猫が主人公)も宜しければお楽しみくださいませ。


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