只今、マリトル王国に潜伏中です。王都商業ギルド 8 オークション
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
オークションに『若返り限定女神の微笑み−20歳』をアースの民発見を祝う品として出品する。と言う名目で、噂が広まった時の出所を曖昧にするのが目的だ。
アース商会が『若返り限定女神の微笑み−20歳』を所有していたとしても、世間的には『アース・テラ』がダンジョンで見つけたと思われるように誤魔化すことにした。
「分かりました。アース商会では無くクラン『アース・テラ』からですね」
「はい、クラン『アース・テラ』からです」
オークション出展品は全て副ハンターギルド長のベーリスさんを通さないといけない。(俺だけ)
「ですが、こちらはギルド内での争いの元となりますので、ユートさん本人からの出品でお願いします」
そう言ってベーリスさんに一緒に渡した『パティスリーカフェ』『エステサロン』『ラウンジバー』の一回限定使用の会員カードキーセットは返却されてしまった。
「お祝いでギルドにお裾分けって事だけどダメですか?人気だと思うのですけど」
結構知られてると思ったが、知名度がまだ足りなかったか?
「はい、人気過ぎてダメです。ギルド出品だと『何故オークションに出した!』と職員達に詰め寄られますので、出品でしたらユートさん名義でお願いします」
まさかの知名度あり過ぎて買取拒否された。だが、受付で以前あった光景を思い出し納得した。
「分かりました。これはユート名義で。後はどうです?品数揃いました?」
ベーリスさん監修の下、無難な品をチョイスして出品してみた。
「はい、おかげさまでマリアヌ経由でも出品していただいた事で、かなりの見映えになりましたよ。ありがとうございます」
どうやら、以前の合同で行われたオークションより品揃えが良いようだ。
ベーリスさんやハンターギルドの職員達は、王都の商業ギルドの鼻を明かせると、息巻いている。
オークションの出品物は、マリトル王国全域のハンターギルドからの出品されるので、マリアヌからは以前購入した魔法の書から10冊ほど出品される。
なので王都ハンターギルドで教えてもらった偽名方法を使い、マリアヌでも新たに俺のギルド証を製作してもらい、追加で10冊オークションに『委託出品』として出品してもらった。
数では目立つが一つ一つでは目立たない品だ。
オークション出品方法には3種類ある。
【ギルド出品】【個人出品】そして【委託出品】だ。
【ギルド出品】はギルドが所有しする物を出品した品、【個人出品】は手数料を払い出品した品で、誰でも手数料さえ払えば出品できる。手数料は交換量りで出た金額の20%となっている。
そして【委託出品】は売り上げからスタート価格を引いた金額から数%の手数料をギルドに支払う品だ。
【委託出品】を利用する者は少ないが、スタート価格が高額すぎて手数料が払えない時に使用する事が多い。
更に俺としての利点として、オークション出品時は【ギルド出品】扱いとなるので、出品元がバレづらい。
マリアヌからの出品する魔法の書の中に、一冊だけLV.2を俺がこっそり忍ばせた。ちょっとしたドッキリのつもりだ。
「で、グランドモールの方はいかがですか?今日もギルド長が張り切って伺っているみたいですが」
今日もハンターギルド長のブルファムさんが来てると連絡があった。
そんなに来ても変わらないが、よく来ている。
「はい、問題なく。特にうちの担当エリアは初めての扱う物が多いですが、引退したハンターでも問題なく働けると思います」
視察にはベーリスさんも来ている。怪我や年齢で引退したハンターの中で、性格的に問題の無い方達の受け入れ先にと考えていたようだ。
「しかし、あれは驚来ました!入り口の入場券係が一番大変かもしれませんが、間違いなく人気の一帯になりますね。で、今日はその元となる本店にお邪魔できるとは楽しみです。ギルド長が自分もと言ってましたが、二人して連絡取れなくなるのは流石にまずいですからね諦めて頂きました」
それで今日のブルファムさん、何だか悄気てたのか。
「では今晩、サラの宿でお待ちしております」
結局ベーリスさんも本店でオークション用を追加で購入していた。
「商業ギルドに負けたくありませんからね」
と良い笑顔で語っていた。
こうして、あれよあれよと五の月末日。
今日はハンターギルド主催のオークションの日だ。
既に話題になている『若返り限定女神の微笑み−20歳』などを目当てに、他国からも大勢の貴族が押し寄せて来た。
おかげで王都は、数日前から賑やかさを増している。
ハンターギルドから特別席が設けてくれたのでオークションの見学をしにやってきた。
特別席はボックス席になっており周囲とは隔離されているので、必要以上に気にせずに居れる。
初めは最高ランクのボックス席を用意してくれると言ってくれたが、悪目立ちはしたく無いので一番下のクラスのボックス席にしてもらった。
オークション会場である演劇場は勿論、周りもはかなりの人混みになっていた。
「セルジュオさん。よろしくね」
「はいお任せください。それにしても、まさか私がアース商会の会長だという噂がここまで定着しているとは思いもよりませんでした」
そう、俺が言った『会長は見れば分かる』が独り歩きして、いつの間にか世間では『エルフが会長』に変換されていた。
訂正せずにそのままなのは、『いつも出歩いてるユートの安全を考えれば、セルジュオが商会長だと勘違いしてもらえる方が良い』とアイルさん達との意見だった。セルジュオさんも俺の安全を考えれば妥当な意見として採用された。
「お陰で誰も気にされなくて動きやすかったですよ」
完全に付き人のお小姓だと思われているので、関係各所に出向いても疑われていない。
セルジュオさんに皆んな目を向けるので、周りにいる俺達には誰も見向きもされない。
既に数名に『アースの商会長か?』と尋ねられていたが、『違います』と答えている。
尋ねて来た人物はその返事を聞くと、すぐに去っていった。
「疑わないんだね」
「看破系のスキルでもお持ちなのでしょう。嘘はついてませんからね」
なるほどね。商会長はエルフの噂があっても、具体的な特徴や名前までは余り知られていない。
まずは人混みを避ける為、特別席に向かう事にした。
特別席は、ゆったりと席が取られていおり、隣の席からの声は聞こえない。
オークションでは王族以外では、ギルドの招待客以外は使用される事は無い。
「今回の出品協力のお礼を込めて、アースの国の元王族って事で用意してくれたみたいだね」
「おかげで、ゆっくり見学ができますね」
さすが、特別席だけあって、部屋付きで購入担当が控えていた。
「購入したい商品が舞台上に出され、開始の合図でこのパネルに金額を打ち込むと、その中から最高金額と購入者番号が舞台上に表示される仕組みのようですね」
購入担当の方にオークションパネルの操作方法を教えてもらう。
何気にハイテクだった。
担当者に頼んで打ち込む事が出来るが、楽しみたいのでまずは自分達でやってみる事にした。
購入担当者さんも、
「どうしても落札したい物はスピード勝負になるので、その時はお声をかけてください」とオークションの楽しみ方を色々と説明してくれた。
「私たちも渡されてしまいました…」
ドギマギしながらプレートを見つめるテール達。
実は今回、セルジュオさんと俺の他に、初期メンバーのテール、ハルス、ニデルの3人と、グリムモア脱出組のグレンデが参加している。
この4名は今現在、ヴァルさんから指導を受けており、今日は場ならしの為に一緒に同行している。
彼らは幹部候補生として現在猛勉強中だ。
「別に高額商品を買わなければ問題ないじゃないの?出品リストを見る限り、昼間は一般市民でも買える品も有りますわね。フフ楽しみですわ」
緊張気味のテール達とは対照的に、余裕をみせるグレンデさん。
そして何気に迫力あるオーラ。グレンデ女王様は健在だった。
引き続き、お付き合いくださいませ。
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【更新スケジュール】
火曜日・木曜日・土曜日 17時30分
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★同日 21時に更新★
『ただの猫に転生しました。〜お気楽猫はご近所のスーパーと異世界ダンジョンを駆け回る〜』(猫が主人公)も宜しければお楽しみくださいませ。




