只今、マリトル王国に潜伏中です。王都ルグナル 12
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
何とか午後からは問題なく捌け出した。
店舗前には仕切りを作り、呼ばれた番号札の人のみが中に入れるようにした。
高価な装飾品をホイホイと買うものでは無いので、一日40名で午前20名午後20名で10日先まで予約が取れる形に変更する。
初日はガラス職人のファーメルさんと弟二人も一緒だったが、生産に間に合わず今は箱庭で忙しく製作している。
替わりに装飾に詳しいセルジュオさんがピンチヒッターで参加したら、販売員のセルジュオさん目当てで更に大ブレイクしてしまった。
番号札にしたことで入り口に居座る人は居なくなったが、周りには未だにセルジュオ目当てで、眺めてる方々が大勢いる。
セルジュオさん大忙しだ。
そして、俺が言った「会長は特徴でわかる」がいつの間にか「会長はエルフだ」に変換されて、独り歩きをし出した。
セナルトさん達は暖かくなってきたので屋台のメニューを変更し、アースパンはおやすみにして今度のメニューはクレープにした。
当初はベビーカステラやたこ焼きを考えていたが、作りたてを提供する待ち時間がかかり過ぎて断念。
生地を冷まして使用するフルーツホイップと熱々の生地にのせるシュガーバターの2種類の甘味が今回の屋台での主力の様だ。
王都でも既にアースパン人気は一定数あるので、『初めてアースセット』銅貨10枚のみを扱う事にした。
今回は、新しく入って来たメンバーの売り子が手伝っているので、番号札で順番に注文が受ければ問題なく捌けれる。
「相変わらず凄いねサテスさん」
一区切り付いたのでサテスさんに話しかける。
「いやいや、他人事のように言わないでくださいよユートさん。仕切ってもらえて助かりましたよ」
「一応本日の番号札が500と明日の午前の予約番号札100と午後の予約番号札100は全部配布終了になったから、明日も同じように仕切ったりして誘導すれば、何とかなりそう?」
俺の問いに対して、少し疲れ気味のサテスさんが口を開く。
「でも毎回朝の方が人が多いのですよ」
「マジで!また店内で悩む系多いとか?」
「ええ、やはり一定数いますね。品数も減らしましたので、マリアヌの時ほどは悩んでいる方は少ないですね」
「また限定イベントすると人が集まり過ぎちゃうし、とりあえず現状維持だね」
「嬉しい悲鳴です」
うれしい悲鳴でも続けば疲れ過ぎて、ただの悲鳴になる。
「今日、誘導に来てもらった子達はサラの知り合いの子だけど、明日も来れるか聞いておく?」
「是非、お願いします」
「あっでもギルド通してないや!」
「問題ないですよ。互いに信用出来ているなら、普通の雇用と似たようなものですから」
なら終わったら皆んなの今後の予定を確認しておこう。
少し落ち着いた隙に、俺はサテスさんと自由市場のまとめ役に会いに行った。
見た目はグラドールさんに似ていてかなり強面だ。
「よう、サテスさん!ん?迷子か?」
「いやいや、ウチの会長ですよ!」
サテスさんに似てないから、迷子確定されてからの紹介だった。
「初めまして、アース商会の会長を務めてますユート・アースです」
「こりゃたまげたまさか会長さんとは!ん?さっき番号札配ってなかったか?」
「はい、配ってましたよ」
さすが、まとめ役だけあってよく見ていらっしゃる。
「配布場所に居た奴らが数名、アース商会の会長を探して彷徨いてたぞ」
「あぁ、会長の知り合いだと言ってた人達ですね。私は知らない方なので、どこかの会長と間違えたのでしょう。適当に指差したら何処かに行かれました。会長さん見つかると良いですね」
………………。
サテスさんにちょっと呆れた顔をされた。
「グワハハハハハ、ハ〜腹が痛て〜!久しぶりに大笑いしたぜ。おっと自己紹介まだだったな。俺はここの自由市場を仕切るグラミスってもんだ。グラデールの従兄弟にあたるもんだ。アイツらが話題のアースの化粧品をいち早く仕入れてくるから、締め上げてルートを吐かせようと思ってたところに、アース商会が店を出すって聞いて声を掛けさせてもらった」
急にまとめ役のグラミスさんが笑い出して、さらっとグラデールさん締め上げ計画を語る。
いやいや従兄弟を締め上げて吐かせるって…怖え〜一族だな。
外見もお頭達と似てて、でっかくてごっつく盗賊顔だ。言ってる事とマッチし過ぎる。
「結局、ルートは吐かなかったが、商会長はジジババ級だと吐いて逃げやがった。だが、まさか外見が子供だったとは」
結局グラデールさんは締め上げられた様だが、ルートは守死した様だ。
「いえ、外見だけじゃなく年齢もまだ未成年ですよ」
ここでも出てきたジジババさん達。前世の年齢を足しても、まだそんな歳ではないぞ。
「はん!ろくでなし達を追い返す方法がすでに普通の子供じゃねぇよ」
鼻で笑われてしまった。
「ところで、何か私に御用があるとか」
「おお、話はこの自由市場の事なんだがな」
商業ギルドに締め出された商人たちが、どんどん自由市場に流れて来てしまい飽和状態になった。
治安の悪化を防ぐ為、見回りの強化しておるのだが、困った事に宿にも王都内で泊まれない行商人達が、ここで寝泊まりしており、更に自由市場が溢れ返ってしまっている。
って、ここで寝泊まりしてんのか行商人の人達!
「で、お前さんが孤児院と教会に力貸して、外に買った土地の周りに王都より立派な城壁を一瞬で建てたんだろう」
「何のことでしょう?」
とぼけてみたが、何で既にバレてる!
「とぼけても無駄だぜ、こう見えて耳が良いんだよ。最初は単に顔つなぎのつもりだったがな」
恐ろしい情報収集能力!これ以上グラデールさんが締め上げられない様に、こちらから少し種明かしするか。
「で、依頼内容は?」
「簡素で部屋数が有る建物を頼みたい。安心して行商達が素泊まりできる物を作って欲しい。今はいいが冬になれば死人も出る。王都の建築業者に頼んだが、来年までは無理だと全て断られた」
やはり大手商会の建物が関係してるな。
「本来、自由市場は朝収穫した食材を売るのがメインの場所だったんだが、締め出しが始まった途端に宿無しが増えてな、出来れば元の朝市に戻したいが先に宿無し達の雨風凌げる場所が必要だ。将来的にはでっかい建物の中に宿や店舗、劇場などがあって雨が降っても買い物できる街の様な物をと考えてるんだがな」
この一族は凄いな、まさに発想が商店街よりもホテルが併設されたショッピングモールに近い。顔は怖いがスキルでズルしている俺とは違い商人として尊敬する。
「もちろん、料金は払う。一括が無理なら分割でも払う。協力してもらえねぇか」
「一度持ち帰って仲間と相談してみます。行商人さん達の寝泊まりスペースを作るだけなら直ぐにお受け出来ますが、少しばかりこちらの計画との兼ね合いが有りますので正式なお返事はまた後日に」
「おう、よろしく頼む。因みに計画って何だ、話せる事か?」
計画内容が気になった様だ。
「孤児院の新規事業とグラミスさんの思い描いた様な建物計画です」
「!計画の秘密は厳守するから詳しく教えてくれないか!」
お頭一族って、こういう話には直ぐ話に乗ってくるな。
こうして自由市場まとめ役グラミスは俺の計画の仲間になった。テッテレ〜
【次の更新日】 8月1日 土曜日 17時30分
★同日21時に更新★
『ただの猫に転生しました。〜お気楽猫はご近所のスーパーと異世界ダンジョンを駆け回る〜』(猫が主人公)も宜しければお楽しみくださいませ。
引き続き、お付き合いくださいませ。
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