只今、マリトル王国に潜伏中です。王都ルグナル 11
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
◆ 数日前 ハウス内にて ◆
「仮名店ですか?」
「いえ、加盟店です。支店や暖簾分けに近いですが、ウチから商品を買って店頭で売っている店との中間的な店です」
定例会でもあるハウスメンバーが集まる会議、通称『ハウス会議』でサテスさん達に説明をしている。
「それは他の二つとの違いは何ですか?正直今のままでも充分な売り上げは上がっていますが」
商会チームのマイロスさんが質問した。
「メリットは3つ。1つ目はウチが直接街に支店は出さなくて済むので、煩わしい貴族への繋ぎは殆ど無いと思われるでしょう。2つ目は、支店と同様に品替えや在庫調整など万が一の自体でも対応できます。例えば、普段は化粧品販売だけだが、災害時は全て食料品や生活必需品に、とね。3つ目は支援してくれる仲間をを各地に増やす事です」
皆んなが真剣そうにこちらを見ているのでそのまま話を続ける。
「箱庭に住む仲間を増やすには場所的にも限界があります。逆にウチの支店を増やすには経験不足で人手が足りません。子供達も頑張っていますが、流石に店を任せるまでは早すぎます。ですので、支店の代わりに加盟店を増やす形をとって行こうかと」
実際に商売の経験者であってもその土地の習慣や価値観など見極めるには時間がかかり、人員をここに居るメンバーでこなすのであれば1、2店が限界だろう。
「であれば、加盟店になりたがる者が大勢名乗りを上げてくるでしょう。どのような基準で選考致しますか」
ヴァルさんからの質問が出た。
ヴァルさんこと、ヴァルモアさんもハウスメンバーに加わっている。
「対外的にはこの地に居る『アースの血縁者』って事にします。まだ決まった基準は無いけど例えば、真面目な方、弱き者に手を差し伸べる事が出来る方、優しいすぎて商売が下手な方とか(笑)」
「ハハハ、最後の『優しいすぎて商売が下手』なやつは商売やめた方がいいぜ、だが方向性は分かった」
セナルトさんが大笑いしながら、納得したように返事をした。
「本当は、支店はあまり出したく無いから、アースの実態を知っている人の店を『直営店』。自分たちが血縁者とだけしか知らない人の店を『加盟店』。品質を保証できる店を『代理店』として、ギルドみたいに認定の看板を出したいんだけどね。一応、国民探ししてるから名を売ってますテキな」
「支店ではダメですか?」
「別に良いけど、直営店なら別の商会となるから、アース商会の会長に取次をって言われても『本店か支店でお願いします』って言えますからね。商品の品質などについてはお店から担当者へ連絡が行くだろうから面倒な取次だけカットできればな〜って」
面倒なお偉いさん関係は出来るだけ避けたい俺の怠け案です。
「確かに、支店だからマリアヌの商業ギルド長からすぐに連絡をと言われるが、他の商会ならどれだけかかっても仕方ないと感じるな」
「それに基準が『アースの血縁者』であればどれだけ言い張ろうが血縁者じゃないって済みますね」
「そうじゃのう、だが血縁者の判別方法はどうするんじゃ?自分を確かめろっと言うやつが出るじゃろう」
皆んなからの質問がでる。
「王族が所有する特別なスキルでしか判断がつかない、って事に。それでもしつこい人には血が薄くなりすぎて何かの拍子でアースの血が強く出た時でしか王様も探し出せないので、旅をしているとでも」
それでも引き下がらないなら、反応が出た時はお迎えに上がります。ってセリフを付けてアディオスだ。
『直営店』『加盟店』『代理店』は可決され、代理店基準を後日、あらためて話し合いで決めることになった。
◆ 現在 自由市場 ◆
「凄いな」
ハイエルさんのお店を出て、アース商会に辿り着く前に凄い人だかりに驚いた。
「あっユート来た!良かった!店に縄を預けようっと思ったけど近づけなくて」
そう言って縄を運んでいたメンバーと呼んできた30名ほどの子達がビビりながら離れた場所で待っていた。
「じゃあ、まずこの金属製の筒についている金具に縄を通して言ってもらえる」
昨晩、ギン経由でたてるくんJr.に頼み、パーティションポールを大量発注しておいた。
卸売はしてないが化粧品、装身具、屋台飯、それぞれ凄い人混みだ。
全て通し終えると、3グループに分け指示を出す。更に二つに分かれパーティションポールを持って、最後尾に配置。
「ピイーッ!」俺がホイッスルを鳴らす。ホイッスルは何故か、カタログ通販の日用品で売られていた。
一斉に動き出す。ホイッスルの音で一時的に動きが止まったお客さん達の境目にパーティションポールを置いていく。境目が曖昧なところは、どちらのお店が目当てかを尋ねているから問題ない。
配置し終えると俺がパーティションポールに結界を張る。横入り禁止です。
「この後お買い求めのお客様は、立札前に一列でお並び下さい。番号札をお配りします。おひとり様一枚です。番号札は本日は残り500までです。それ以降は明日の番号札となりますのでご了承ください」
立札看板持ち、番号札配り、順番待ちの誘導係、最後尾看板、店頭では帰り出口への誘導と、テキパキと動いてくれる。
「明日からの番号札は午前と午後に分かれております。ご都合の良い方をお選びください」
「なぁ坊主、明日でも良いのか?」
「ええ、前日予約番号札と当日番号札がございます。どちらも数に限りがございます」
こちらも凄い人だかりだが、札を貰うだけだからすぐに捌けていく。
「お一人一枚です。並ばずに横入りや複数枚受け取りが発覚した時点で、お客様のお取引は中止とさせていただきます」
注意をしながら周るが、やはり一定数いるもんだ。
「俺を誰だと思ってるんだ!」
とか言う輩がね。
「手前共は王都にきて日が浅く存じ上げませんが、嘸かし名の知れたお方なのですね。是非お名前をお聞かせください」
通常はゴニョゴニョ言って立ち去るが、本当に名乗るやつは
「◯◯◯◯様ですね。無知な手前共に是非その偉大な功績をお教えくださいませ。本店にお越しの際は会長自らお出迎えするよう責任を持ってお伝えいたします」
と深々と頭を下げる。周囲からの視線が気になるのか、程なくしてすごすごと帰って行く。そして出禁名簿に記載決定。
「俺は会長と知り合いだぞ!」
勇者だ!勇者がいた!もし、ここに会長いたらどうすんだ!って考えもしないヤツだ。
「ウチの会長とお知り合いなら、本店への乗船カードをお持ちでしょうからそちらでのお買い物された方がお安いですよ」
「じょ、乗船カードを無くした」
「そうでしたか。乗船カードは会長しか発行できませんので、会長に頼んで再発行して頂いたらよろしいかと」
「か、会長に最近会ってないから、お前がもらってこい」
「会長ならいますよ、ほらあそこに」
人混みを指差す。
周りにいるお客さん達も一斉に目を向ける。
「顔を知られてないから、ああやって一人市場調査してるんですよ。お知り合いなら特徴が有りますからすぐに分かりますよね」
「おおお前が行って貰ってこい」
「いえ、会長から直接ここの仕事を任されましたので、終わるまでは離れられませんよ。夕方までお待ちくださいませ」
「くそ!役立たずが!」
と叫び、指差した人混みの方に駆け出していった。
会ってどうするのか知らないが、まぁ会長さん見つかるといいね。
「なぁ、お前が会長だよな」
ビットが先程のやり取りを見て、小声で話しかけてきた。
「ええ、アース商会の商会長ですが、何処かの会長さんなら沢山いますからね」
勇者を見送りまた仕事に戻る。
【次の更新日】 7月30日 木曜日 17時30分
★同日21時に更新★
『ただの猫に転生しました。〜お気楽猫はご近所のスーパーと異世界ダンジョンを駆け回る〜』(猫が主人公)も宜しければお楽しみくださいませ。
引き続き、お付き合いくださいませ。
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