只今、マリトル王国に潜伏中です。王都ルグナル 4
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
「追加での土地の購入ですか?」
「はい。そうです」
驚いているが牧師さんに条件を伝える。
「もちろん今度は税だのと言って、国だろうと奪い取られないように、しっかりと契約を結んでください。その分土地代が割り増しになっても構いません。差額分もちゃんとお支払いいたします」
ただの寄付だと思っていたのだろう、提案内容に固まっている。
「購入後の建物と城壁も私どもが承ります。もし、計画に乗られない場合でも、当初の土地には城壁はお作りいたしますので、城壁が完成しましたら、後日にでも建築される方に依頼をしていください」
「わ、私の一存ではお答えできませんので、他の教会の者達と一度相談してもよろしいでしょうか」
牧師さんが再起動し出した。
「ええ、勿論です。関係者となる他の孤児院経営の方々ともご相談ください。後日、お返事をお聞かせいただければ構いません。今日は寄付とは別に野菜と肉を置いていきますので、他の孤児院にも届けてもらえますか」
応接室から食堂に向かい、テーブルの上にどんどん大量の野菜と肉を置いていく。
寄付として、それぞれの教会用に金貨5枚を袋に入れて渡しておく。
ただの肉と野菜だが、ゾロゾロ集まって来た子ども達の目が輝きだす。
しばらくして、牧師さんが険しい顔をしながら俺に声をかける。
「一つだけお聞きしたいことがございます」
「はい、お答えできる範囲であれば」
「ここまでの援助。何か目的でもございますか?」
確かに、普通は寄付だけで終了だ。気になるのも当然だ。
「はい、二つございます。一つは、まだ孤児院に入り切れない子の受け皿と、生活困窮者への食事などの支援活動を教会側にお願いしたいのです」
更に険しい顔をする牧師さん。
「その二つとも、あなた方には何も恩恵はございませんが」
納得いかない顔をしている。そりゃそうだ、自分でも思うよ『怪しさ万歳』だってね。
「私たちは他の大陸から同胞やその子孫を探している、アースの民です。これまで幾人もの生活に困窮している同胞や、両親をなくし孤児となってしまった子孫たちに出会いました。まだ発見されずにいる同胞たちの為に、少しでも憂いを取り除いてあげたいのです」
なんか詐欺師になった気分だ。
悪い事してないが嘘が上手くなっていく。もしかして『詐欺師』なんてスキルついちゃったら即隠蔽だな。
「そうですか。疑ってしまい申し訳ございません。ここ数年もの間、このような多額の寄付を頂いた事がいなく、つい疑ってしまいました。本当に申し訳ない」
平謝りする牧師さん。
「いいえ、出資は「アースの民」ですが、土地の名義は必ず孤児院の名でお願いします。そして国や貴族、商業ギルドに絶対に奪い取られないよう、きっちりと契約を結んで頂く事はお願いします」
話が終わったので食材をそれぞれの孤児院に運ぶようにお願いした…が、いつの間にか既に動いていた。
子ども達の動きが早い。
牧師さんと話している間に、それぞれの孤児院の子ども達は代表のシスターを呼びに行ってたらしく、凄い勢いでシスター達がやって来た。
再度、お話をしたら、善は急げとばかりに牧師さんを引き連れて役場に向かわれた。俺は…
「にーたんたちだけ、おいし〜ものたべてずるい!」
嗅覚が鋭い。匂いで分かったらしく、みんなにドーナツを配布中。他の孤児院にも人数分お届け隊を派遣した。ついでに食材も運んでもらっている。
孤児だけの家には食材が良いか出来上がりの物が良いかと尋ねたら、
「薪代がかかるから出来上がったモノの方が嬉しい」との事だったので、帰りに渡すことにした。
しばらくして牧師さんとシクター達が帰ってきて
「しっかり手続き出来ました。兵士の常駐無しですが、最大限の土地を確保出来た」
とパワフルなシスター達に連れてかれた牧師さんが答える。
場所の確認は3日後で、それまでに契約金の支払いを済ませないといけないそうだ。
「金額が金貨18枚追加になりましたがよろしかったのでしょうか」
と大金なので心配なのだろう。ドキドキしながら牧師さんが尋ねてくるので、直ぐに金貨18枚を手渡すと、
「急いで役場に払っといで!ちゃんと受取証書と契約書を貰ってくるんだよ」
と尻を叩かれて牧師さんもう一度、役場に走って行った。
シスターと言うより肝っ玉母ちゃんだな。
俺も気になるので牧師さんが帰るまで孤児院に待機。
暇なのでちびっ子達には壁にプロジェクターで人気のファンタジーを流すと子ども達は映像にくびったけ。
その隙にシスター達と今後の事について話をする。
「実際どうなのでしょう。土地の問題は孤児院だけで済む話でしょうか」
俺の問いに、シスター達が神妙な顔で語り出す。
「正直申し上げまして、教会部分も危ないと思ってます」
この王都には教会が5つ存在する。
王宮内に一つ、貴族街に一つ、そして庶民街に3つだ。
その中でも庶民街の教会が建てられている場所は、街のメイン通りに存在している。
昔から存在している為、比較的好立地なところに広い土地に建てられている場合が多い。本来、移動させるのであれば、それなりの立ち退き料が発生するのだが。
今回は地価高騰による借地代の未払いとなる為、建物の移築代は発生しなくなる。そこに目を付けたのであろう。
孤児院の建物を半分壊して土地の借地権を半分を返却するぐらいなら、全て更地にして土地の借地権利を売った方が、新たに建てる孤児院の費用の足しに出来るのではと、教会側が考えると予想したのだろう。
商業ギルド側が提案として提示してきたのが『教会と孤児院全体の借地権利の買取金額』と『新たに城壁外の土地の購入金額』だった。
「引き渡し期日はいつでしょうか」
「六の月の末日です。それまでに子ども達が住める建物が間に合うでしょうか」
建設も俺が請け負う事を知っているが、日にちが無い。立ち退き日までに孤児院の建物が間に合うか心配している。
「それはご安心ください。ただ、確認をしてもらいたいのですが…」
とても、商業ギルド側が一つ教会立退させるだけでは、満足しない気がした。相手からしたら、絶好のチャンスで。商機は逃がさないのが商人だ。二手三手と準備していると考えるのが普通だ。
シスター達に俺の懸念を伝える。
とても驚いていたが、早速、確認をしてみると頷く。
話が終わったタイミングで、牧師さんがヘロヘロになりながら帰ってきた。
「ちゃんと受取証書と契約書を貰って来ました。予定通り3日後に場所の確認で管理のお役人さんと向かいます」
しっかり受取証書と契約書を手に握りしめられていた。
「3日後ですね。ではその時ご一緒しますので、当日サラの宿まで誰か迎えに来ていただけますか」
「わかりました。歩きになりますので少し早めになりますがよろしかったでしょうか」
そうだった。基本、歩きだもんね。
「ではこちらで馬車は用意しますが、道が不慣れなので御者ができる方いらっしゃいませんか」
「あっオレできるよ!」
丁度、他の孤児院に配達していたアーサーが立候補する。
「あ〜アーサーだけずるいオレも」
自分もとどんどん手が上がる。
「こら!遊びじゃ無いんだから!」
と叱られたが、そんなことお構い無しにほぼ全員の子ども達の手が上がる。
ちびっ子もよく分からないけど皆んなと一緒に参加して手を上げる。
こりゃ、当日も全員参加だな。仲間外れは嫌だからね。
【次の更新日】 7月14日 火曜日 17時30分
同日更新の『ただの猫に転生しました。〜お気楽猫はご近所のスーパーと異世界ダンジョンを駆け回る〜』(猫が主人公)も宜しければお楽しみくださいませ。
★21時に更新★
引き続き、お付き合いくださいませ。
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