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只今、マリトル王国に潜伏中です。マリアヌの街 4

リアクション!ブクマ!評価!ありがとうございます!!

楽しんで頂けましたら幸いです。

 歳神月(としがみつき)の「神の1の日」。この世界では年末年始の5日間の初日だ。

 どこもかしこも賑わっており、あちらこちらでラマトルフィーバーだ。

 恒例のガラポン大会にも特別に『歳神賞』を設け、季節の高級フルーツであるラマトルを景品にした。

 卸元のお頭と世間話をしながら品を卸す。

 まだ商人さん達はここにいるが、グラデールさん達は商品を購入して既に下山している。

「ここで売ってる防寒服一式や、野営セットをいそいそ買ってたからな。もう一度あれから来て、大量に仕入れてったぜ」

「通りで品が少ない訳だ」

 卸元のお頭の注文数が余りに多くて、大丈夫かなと心配していたが、ガランとした卸し用倉庫を見て納得した。


 歳神月が過ぎれば、一の月となり、王都から人がやって来る。

 年明けからは、役人さん達は役人村に戻り対応をお願いする。降伏者は、すでに26階層を避難所として登録済み。

「年明けには役人達がやって来るが、もしかしたら軍も一緒かもしれない。また使い捨てされたくなければ、迎えに行くまで26階層に隠れているように。食料は届けさせるから安心しろ」

 と言っておいたので、食料が届けられてる間は大人しくしているだろう。

 その時は商人さん3人も役人さん達と一緒に楽園外に滞在してもらう。

 商人さん達は軍がここに来た時、慌てて監獄から出て下山しており、一の月早々に監獄(ここ)の様子を見にやって来た事にする。

 お三方には退職金を払っておく。

 それを元手に卸元のお頭から品を購入していた。3人とも三男や四男の部屋住みだったので、これを機に独立するようだ。

 この危険でとっても甘い仕事は、本家の家族には渡せないからだ。

 家族への優しさの思いか将又(はたまた)、他の思いからかは、いざ知らず。頑張って商品を広めてもらいたい。




「只今戻りました」

「お疲れ様でした。でどうでしたか浸透具合は?」

「はい、かなりの勢いで周辺の街には浸透しておりました。既に王都も浸透済みです」

 クラフさんとパトには、先行して周りの街や王都の様子を見て来てもらっている。

「じゃあ、準備が整い次第、移動しようかな」

 そう言って久しぶりに船のデッキに出ると、何やら賑やかな声が聞こえてくる。

「気の所為(せい)か、船の下が賑わってる様なんだけど」

「気の所為ではないですよ。毎晩、船の下に屋台が出て賑わってます」

 街からの要望があり、こちらの条件を提示したら直ぐに許可が降り他ので、船はステルス解除状態で城壁門近くで停泊中だ。

「知らんかった!いつからだ?」

「屋台はステルス解除して直ぐに開いてます。どうやら船を見にきた者を相手にしている様ですね。今までは住民の眠りを妨げないようにと8の鐘(20時)で船の外側のライトは消していましたが、出来れば遅くまで照らして欲しいと、領主側からの要望がありまして、通常時は10の鐘(22時)まで、歳神月は明け方まで照らしております」

 よく見たら家のハンターチームのメンバー数人が見える。他のハンター達と楽しそうに酒を酌み交わしていた。

 今は、アイルさん率いるハンターチームは、オートマタ数名とオートパペット達を連れて近くのダンジョンに潜っている。

 別に訓練なら監獄のダンジョンでも良いが、どうせならアースの戦力を見せつける意味合いで、近くのダンジョンに潜って特訓中だ。

 ついでにアースの商品宣伝の為に、いろんな便利な魔道具を使用してもらっている。

 で、釣られましたハンターギルド!

 特にオートパペット達は、斥候ができて素敵な機能を盛り沢山なので、ダンジョン攻略者にとっては垂涎(すいぜん)の的のようで、購入希望だと商会(うち)に提示してきた。だが、

「彼らは家族です。商品ではありません」

 と断る。

「では貸し出しではどうでしょう!」

 とハンターギルドが提案してきた。

「んー、分かりました。こちらの条件を呑んでもらえるのなら、商会としてお取引致しましょう」

 ハンターギルドの一本釣り!


●貸し出し窓口業務はハンターギルドが行う。

●貸し出しの種類や数はアースに一任する。

●貸し出し期間は一体に付き20日間。止むを得ずの延長は最大10日間。

●一体でも返却されない場合は、ハンターギルドが全責任を負い弁償、貸し出し業務は即終了とする。


 要はギルドが信頼でいる人にしか貸し出さないでね!ってことだ。

「金額については担当者と調節をお願いします。個体差がありますので、取得スキルなど、要望を全て満たすことは出来ませんが、出来るだけ添える個体を揃えましょう」

 概ね交渉は成立した。

 オートマタ達の知識に関しては、どのタイプも情報伝達以外にも取得した経験や知識は全員が共有しているが、オートパペット達は種族ごとの様だ。

 個々のスキルの底上げの為に、新人のレベルが低いパペットを貸し出す予定だ。

 だからと言って、スキルや魔法の種類は豊富であるから、不満は出ないだろう。

 パペット同士での意思の疎通は出来ているが、俺達に連絡を入れる場合は、オートマタが間に入らないとパペットからの連絡内容はこちら側には理解できない。


 だが先日、簡単な単語での会話を可能にした。

 その名も『単語会話タブレット』!

 ドワーフ二人が作り出した魔道具だ。これを装着すれば、片言だが意思の疎通が可能になる。やるじゃないか!二人とも!


「どうじゃ、凄いだろう!」

「うん。助かるし凄い!凄いけど、声が『ドイさん』と『ルワさん』なんだけど…」

 魔道具自体は凄いのだが、単語を話す可愛いネコ型オートパペットの声がおっさんである『ドイさん』。

 同じく、目がクリクリしていて愛くるしい姿のリス型オートパペットの声がおっさんである『ルワさん』。

「「そりゃそうじゃろう。わしらが作ったんじゃから」」

「…声って変えられる?」

「サンプルの声を録音すれば簡単に変えられるが。ん?何か問題あったか?」

 この問題に全く気が付いていない事が問題だが…。

 箱庭にいる声変わり前の子ども達、特に小さい子を中心にサンプルの声を録音していく。

 箱庭にいるリス型オートパペットたちは、マリアヌの子どもの声を使用した。



「えっ声ですか?」

「はい、魔道具でお知らせする時に発する声のサンプルです」

 マリアヌの孤児院に行き、サンプル収集の協力費と称して寄付をした。

 既にアースの名は、このマリアヌでは知らない者はいないほどの知名度となっており、子ども達に割の良い仕事を与えてくれる商会だという認知となっている。

「それは、子ども達の体に何か影響がございますか?」

 恐る恐る尋ねてくるお世話をしている女性達。

 そりゃ、いきなり『声ください』って言われれば、怪しさ満点でそうなるよね。

「いいえ、例えるなら、魔法で出した炎を回収する様なものです。同じ声なら、開発者のしゃがれたおっさんの声より、可愛い子ども達の声が良いですからね」

 理由が理解してもらえたようで、女性達は安心した表情を見せた。

「ふふっ、分かりました。体に影響が無いのであればご協力致します」

 こうして無事に、多くの子どもの声を録音回収できたのだが…



「悪い子は空からやって来た王様に声を取られるわよ!」

 巷ではいつの間にか、子どもを叱る(おど)し文句として使われる様になっていた。

 解せぬ。

次の更新日は、6月11日木曜日です。

更新時間は21時〜23時です。

同時更新『ただの猫に転生しました。』(猫が主人公)も宜しければお楽しみくださいませ。

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