只今、脱獄いたしました。
今回から新しい章になります。
今後ともストーリーもお楽しみくされば幸いです。
次の更新日は、後書に記載していきます。
こんにちはユイル・モーニア改めユート・アースです。
只今、新天地であるマリトル王国へと一人で向かっております。マリトル側は断崖絶壁になっており、下には広大な森がひろがておりました。
予定では【移動手段】の「小型高速船」のオプションをつけて『この船で別大陸からやって来ました』作戦だったのですが、25階層から31階層入り口まで続いた、オペレートタイプのヒシャとの二人っきりの長い車での移動や、今回の一人で脱出し下山していた事が要因なのか、有難いことに【移動手段】Ⅴの『クルーズ船』が購入可能となりました。
こちらもカタログ通販ポイントと連動しており、なんと一番小さな物でも200億ポイントにもなる高額品でしたが、【余剰貯蓄】の利用でMが上限設定がなく貯まってくれたお陰で、購入が可能になりました。
更に、更に、【快適生活ラグジュアリー 】のおかげて、オプションは全て標準装備となってます。
『クルーズ船』の概要には、乗船人数は一番小さいⅠランクで500名(オートマタは含まず)。
1日に必要な魔素は『省エネ機能』が働いてるおかげかランクⅠは30万M/ランクⅡは50万M/ランクⅢは100万M/ランクⅣは200万M/ランクⅤは300万Mとなっており、低ランクであれば魔水晶を使用しなくても自分自身のMでも対応できそうなので、ハウス会議で一番小さな船を購入することに決定しました。
他にも『リンク設定』という機能が装備されており、ディメンションエリアと『リンク設定』すれば、必要な時だけ外に出し、それ以外はディメンションエリアに収納が出来るのです。
メリットは、普通の収納とは違い船内の使用ができ、収納時の必要魔素量は10分の1ほどまで節約できることです。
デメリットはディメンションエリアの一つを丸々クルーズ船用として使用する為、10haを他のディメンションエリアへの分配はできなくなる事です。
たまたまですが、運良くディメンションルームがレベル3になった事で、ディメンションエリアを統合させ、新たに発生したディメンションエリアⅣを『箱舟』と命名し、アース国のアースの民の住居兼商会本店にする計画です。
『箱舟』と『箱庭』を通行許可不要で合鍵Eを1本作ったので、これで皆んな自由に行き来ができますし、500名も乗船できる大きさならば何処かの街に本店を置くよりも、狭くても船に本店を置くのが良いだろうという話からの結果です。
多分、皆んなが想像してる船と違うと思うけどな〜。まぁいいや、どうせ空を飛んでる時点でおかしいし、他の大陸から来たってってことだし、非常識な事もアースでは常識って事で押し通そう!あれ?今、フラグが立った?
ハウスのメンバーや子ども達全員も外に出て、船が出現するのを楽しみに待っている。
森の中だが周辺の警備はまもるくん、みはるくん達にお願いしてあるから安心。
「クルーズ船、命名『マーキュリー』始動!」
ちょっとかっこよく叫んでみた。初のお披露目だしね。
頭上が光り輝き、出現したクルーズ船は想像通りの豪華客船だった。
標準装備に『ラグジュアリー』が付くんだよ!当然、普通の船な訳ないよね。
大人達は目と口をこれでもかってぐらいに大きく開いて見上げて固まっており、子ども達は目を輝かせながら興奮してる。
だって、船が電飾された様にキラキラ輝いてるんだぜ。前世でもラグジュアリーとは無縁だった人種に、ラグジュアリーについて問われても困るが。まあ、夢があって良いじゃないか!?で納めておく。
今は乗船して船内を確認している。蛍光灯でも使用しているかの様に船内は明るく、こちらも負けずにキラキラ美しく輝いており、まさに豪華客船だ。
乗ったことあるのかだって?あるわけないでしょう!テレビで観ただけですよ。いいな〜って思いながら。
だから今は、ドワーフ二人組も加わり、子ども達と一緒に船内を案内しているメイ達に付いて散策中だ。
(うお〜めっちゃ楽しい!!)
大人達はと言うと、
「ユイル、いやユートさんの世界の船は凄いですね。先ほどご本人に尋ねましたら、乗った経験は無いそうですが、こういった船は幾つも存在はしており、このサイズでも小型に分類されるようです」
セルージュさんの言葉に更に目を見開きながら、暫し無言で辺りを見渡している。
「わー!ビュッフェがある!すげー!ちゃんと『ビュッフェ』って文字が読めるようになったぜ!」
「こっちに知ってる文字が『パティスリーカフェ』だ!」
「あそこにパン屋がある!なんか良い香り〜パンって幾らなんだろう」
子ども達はキラキラと食べ物に夢中のご様子。うん、安定した行動パターンだ。…ん?ん?!しまった!
子ども達の会話で気が付く『貨幣がない!』
国なのに貨幣がないって有り得んだろう!
「うっかりしてました。確かに外の大陸から来たのなら別の貨幣が使われているものですからね。初めだけでも少量の準備が必要ですね」
初めから、この大陸で使用されている『大陸共通』の貨幣を使用するのはマズい。
「クリエで採掘した金や銀で貨幣を作ったとしても、ダンジョン産のものは純度が高いので、外に流出したら溶かされてしまいます。かなり高額な貨幣以外は避けたいですね」
セルージュさんの意見に、装身具屋だったノベルドの意見も加わる。
「ねえ、ノベルドさん。このコインの加工ってこの大陸の常識からして実現可能?」
俺は手に持っているコインを手渡す。
「なっなんですかこれ!木ですか?いや、木製にしては重さがおかしい。それに硬い」
「どれどれ?おお確かに、なんらかの金属でも間に入ってるような重さじゃ」
「ほう!凄いぞ!細かな細工を施してあるのに刃物を当ててが削れもしない」
みんな回しながら確認している。
途中でドワーフのルワさんが気づいた。
「ん?これは楽園の連中が騒いでたガラポンの抽選券か?」
「正解!偽装されない様に細部まで細かい絵柄にしている木で作ったコイン。ガサツに扱われても欠けることのない様に全体を強化の為にコーティングしてあるんだ」
みんなコインを再度じっくりと眺めている。
「これをウチの国のコインにできないかな。楽園の皆んなにはダンジョン内で大量に見つけた事にしてあるし」
俺の意見に、せルージュさんが納得しながら答える。
「なるほど!確かこのコインを使えば、昔からこの大陸に根を下ろした同族達がいる設定や、監獄が独立した後になりますが信憑性が付きますね」
ダンジョンのお宝の一部は、ダンジョンで吸収された品だと、この世界では信じられているからだ。
「偽物はまず製造されないでしょうね。これ一つ作るのに金貨数枚は必要となりますから、ですが材料は只の木です。物質的な価値はどの貨幣より低いですが、美術的価値は十分に有ります」
ノベルドさんからも高評価だ。
なら、よそ者が使用している『物質的な価値が無い貨幣』は全く受け入れられないが、ダミーの貨幣としては効果的だ。
貨幣経済であろう世界に、なんちゃって紙幣経済(紙幣ではないけど)を取り込めば、明らかによそ者感が漂って来るだろう。
こうしてアースの貨幣ができた。
「後はもっと単純にした銅貨1枚用と高額用で銀や金を使用した貨幣の制作にお願いします。高額用は全てユートさんの顔を描いた貨幣にしましょう。国の貨幣とは己の力を示すものでもありますので、是非お願いしますね」
渋々制作を受け、以前と同様にカクに細かな指示を出しクリエでの制作を頼む。
銅貨用の新通貨はすんなり通っだが、高額用のコインデザイン(俺の顔肖像画)は何回も没をくらってやっとOKがでた。
価値観の擦り合わせの結果、船で売られている物は何故か円表示になっており、全て設定価格の商品相場より10倍の価値が有ると査定された。
金額は全て円価格での表示されておるので、アースの貨幣は『エン』となり、品質と価値のバランスを考慮したコインの交換率にした。それに伴い、最少額1エンの新通貨を新たに製作された。
俺だけがややこやしく感じるが、頑張って覚えよう。
1エン(新たに製造した木製コイン)
10エン(新たに製造した木製コイン)=銅貨1枚(およそ100円)
100エン(抽選補助券1枚コイン代用)=銅貨10枚
1000エン(抽選券1回用コイン代用)=銀貨1枚
1万エン(抽選券10回用コイン代用)=銀貨10枚
10万エン(俺の顔肖像画の銀貨)=金貨1枚
100万エン(俺の顔肖像画の金貨)=金貨10枚
そんなことをしながらも船は順調に進んでおり目的地を目指す。
目的地はマリトル王国の第三都市マリアヌだ。
監獄から直線で一番近くの大都市で、北の国境近くの大きな湾に構える街で、大きな港を利用し隣国との貿易が盛んな大都市と言える。
隣の国とは大森林を間に挟んでいるので、陸路より海路が盛んになった理由であろう。
ステルス機能がついている船は離れて停泊してもらい。
準備ができ次第、馬車で街に向かう予定だ。
箱舟に収納すれば良いが、子ども達がデッキで外を見たいと言っていたのでそのままにしてある。
「それにしても派手な馬車ですね」
どう見ても王侯貴族様仕様で、ゴテゴテといろんな装飾がされている。
「それならドイさん達が改造した馬車にします?」
「…いえこれで良いです」
ドイとルワ。二人のドワーフに王族がお忍びで使用しているように馬車の改造を頼んだ。
出来上がった馬車はSF?と思わせる流線型をしており、引いている馬が小型高速船用の偽装装備用のペガサス型ゴーレムだ。
一体どこがお忍びなのか、何を隠そうとしているのか全く解らない仕様となっている。
子ども達には大ウケなのだが、今回はささっと皆んなの身分証を作るのと現金を確保するのが目的だ。
出来るだけ普通の仕様にと思ったのだが、別大陸の王族設定だから余り馬車のランクは落とせないらしい。
本当は、見る人には分かるすごい馬車!を希望したのに何故SFに?
馬車にはセルージュさん、商人のサテスさんマイロスさんフェスナさん、装身具制作のノベルドさん、食堂料理人のセナルトさん、護衛としてアイゼルさんが同乗している。
正確には闇魔法で俺の影にまもるくんをはじめとしたオートマタたちが常に潜伏している。
元家宰さん、元文官さん達やガラス職人のフィーメルさん達は後日の登録となる。
理由は「あの馬車のサイズで8人も入るっておかしいよ」だ。
現在、最大に拡張された馬車は8人乗りだそうで、王族貴族仕様で存在する。だから限度まで内部拡張を施された仕様って事で貫き通せば問題ない。
怪しい集団が街に近づいてくる。とても平民では有り得ない仕様の馬車だ。
「マリアヌへようこそ。目的と身分の証明出来るものの提示をお願いします」
馬車の中からエルフであろう美しい人物が顔を出す。
「我々は遠く離れた他国のものですので、身分証を持ち合わせておりません」
ああ他国の貴族だろうが、まともそうで良かった。
「では一人銀貨1枚の徴収になってしまいます。すみません規則なもので」
「こちらの貨幣を持ち合わせておりませんので手持ちの貨幣でよろしいでしょうか?」
よくある話なので問題は無い。
一般的に『大陸共通貨幣』を使用している国の方が多いが、未だに自国の貨幣を使用する国も存在するからだ。
「貨幣により価値が低く査定されてしまう場合がございますが、よろしいでしょうか」
交換量りで貨幣を査定すると、その貨幣の価値より含有量の価値で数値化される為、金貨等は国により低めの結果が出てしまう事もよくある。
「構いません。この金貨で査定していただけませんでしょうか」
渡された金貨を見ると、少年の横顔が描かれており、王冠部分には何やら光り輝く物が嵌め込まれていた。
交換量りに乗せる。
『金貨95枚』
「…え」
(ききき金貨95枚!!!)
「申し訳ございませんが。もう少し価値が少ないものはございますか」
恐る恐る金貨を返しながら伝えた。
「ではこちらでは」
今度は銀貨だ。
先ほどと同じ少年の横顔が描かれており王冠には赤色の煌めくものが埋め込まれている。
『金貨45枚』
(またかよ!!)
「度々申し訳ございません。もう少し価値が少ないものはございませんか」
「困りましたね。硬貨以外ですとポーションぐらいですか」
「はい!大丈夫です」
『涙ポーション最上級 金貨10枚』
(もーやだー!!!)
結果的に、明日もここを利用するので、その時に差額分を返金するということで話がつき、城壁門をくぐりマリアヌの商業ギルドへ向かった。
次の更新日は、6月3日水曜日です。
更新時間は不規則です。
0時過ぎに出来なければ、17時〜22時になります。




