表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/42

只今、ダンジョン内を逃走中です。2

 どうもユイルです。ついにお見えになりましたよ王国軍御一行様が。

 それも勇者様5名も連れて。

 今は六の月の中程です。季節は真夏ですが、山間部なので茹だるような暑さは感じられません。

 魔人国との戦争の演習も兼ねての事でしょうか、およそ2万もの軍勢です。

 皆さんは、万が一に私が奴隷の首輪を解除出来たとしても、軍が去った後では雪が深くて逃げだすのは難しいと観ての調整だと、おっしゃっています。

(ハ〜、そこまでして捕まえたいのかね〜)




 軍隊の到着が思ったより遅かったおかげで、しっかりと準備ができた。

 お頭と商人さん達には子たち達の生存確認偽装に協力してもらった。

 一度に居なくなると記録に残り目立つので、徐々にプレートを使用されなくなれば「モンスターにやられたんだ」と思われる算段で動く事にした。気にもされないだろうが、念の為だ。

 商人さん達への納品の種類も食材と薬草中心なので、換金所では扱わない品はチェックもかなり甘いので大助かりだ。

 サテスさん達には、軍が到着するまでは通常通りの行動をしてもらい、俺のこと聞かれたら「逃げたのは知ってるが支援できるほど余裕はない」と言い張ってもらった。

 やはり、関わりあるメンバーの後をつけたり、壁穴通路の出入り口に見張をつけたりと、俺との接触を待っていたようだ。

 アイゼルさんやセルージュさん達は、俺と繋がっていることは明白なので、初めっから一緒に雲隠れ。

 サテスさん達には当面の間、ここの商人さん達との仲介役をお願いした。

 化粧水や湿布などの卸値は据え置きで、代金の代わりに子供達から買い取った薬草の買い戻しと王都の情報、あと残された家族への手紙の配達依頼を頼んだ。

 手紙の配達はかなり高額依頼だが、化粧水と交換ならと大喜びで引き受けてくれた。

 軍が到着以降はお頭経由の販売となる事を伝えたら、とっても嫌そうな顔をしていたが仕方ない。



「極悪人ユイル討伐に協力しない者には配給はせぬ」

 軍はまず初めに、食堂の貯蔵庫の食料品を全て奪っていく。この行動に対し、一部の囚人たちは

「俺らの食料を奪い取ってく奴らに従えるかよ!」

(ごもっとも)

「兄である俺たちが裏切るわけねーだろう!!」

「「「「「「「「「「そうだ!弟を裏切らね!!」」」」」」」」」」

(違う気がするが、ありがたい)

と協力を断固拒否。旧地区の一部にバリケードを作り立てこもる。


 「食事担当の者によれば2階層出口近くに食の木の畑があると情報があり、既に押さえに向かっている。今ならば極悪人ユイル討伐への前線参加として許してやるが、そのまま立てこもるのならば、お前達は極悪人ユイルの仲間として討伐対象となる。四半時(30分)猶予(ゆうよ)をくれてやる」

 軍の指導者の近くでは、この状況をいやらしい笑顔で観ている新入りの厨房二人がいた。


 その頃、立てこもり屋内では、お頭も負けないぐらい、いやらしい笑顔をして語り出す。

「おう、オメェらよく聞け!ここにいるヤツは裏切り者は居ないはずだ。まぁ、少なくとも俺らの食料をぶんどる奴らに尻尾を振るやつは居ねえ。だからアイツらに一泡吹かせてやらねぇか」

「どうやってだ?みんなで殴り込みか?!」

「バカ、この首輪がある限りそんなこたぁ出来ねぇよ。だが方法はある。オメェら、軍に牙を向く気でいいんだな」

「「「「「「「「「「おおぉぉ!!」」」」」」」」」」

お頭の問いに野太い声が響く。

「ばか!声がでけえ!よし。そんじゃ、おっ始めるか」

 お頭の側に不思議なドアが出てきた。

「時間がねぇ、手に印を付ける。付いたヤツから中に入れ。俺がいいって言うまで中で騒ぐんじゃねぇぞ」

 お頭達は次々と手の甲にスタンプを推していく。


 四半時後、突入した軍であったが、もぬけの殻であったことを知り、指揮官は顔を真っ赤にし怒り狂った。



「ようこそ『楽園』へ」

 極悪人ユイル君が笑顔でお出迎えです。

「「「「「「「「「「なんじゃ!ここは?!」」」」」」」」」」

「私のスキルです。ディメンションルームみたいな感じですね」

「街だよな」

「街だな」

「それも立派な街だな」

「なんか王都の建物より立派な家が立ってんな」

「立派だな」

「「「「「おおおおお」」」」」

 街と言われるほどに立派に作りあげられた「楽園」は、道は石畳ではなくアスファルトのように平に仕上げ、馬車が3台がすれ違えるほどの余裕の道幅が真っ直ぐのび、左右には3階建ての建物がずらりと並んでいる。

 街路灯も設置しており、外と同じ時間で暗くなると同時に点灯されるのであろう。

 所々に街路樹の様に食の木が植わっており、季節のフルーツが実をつける。途中で「やりすぎだ」と叱られた。


 建物は全て現代日本のアパート、もしくは寮のようになっており、1階部分には飲食店の様な店構えが点在している。

 そして突き当たり右奥には素敵なお城風の建物と、隣には「ゆ」の字が掲げられた施設がある。

 「ゆ」の字はご想像通りの銭湯だ。

 【魔道具】にあった『給湯機能排水機能付き』を『魔道具製作加工つくるくん』で大型仕様に改良し、『大型建造物製造機たてるくんハイパー』で建てた自信作だ。

 日本の銭湯風にしたかったが、隣に洋風の白亜の城が建っているので外装がミスマッチにならないように控えた。

 洋風の白亜の城は、お姉様方のお仕事場である。

 お頭に「アイツらの仕事場所も頼むわ」と依頼され出来上がった。

 『楽園』内にある、男達の『楽園』でございます。


 二本の道がクロスしたメインの道路を中心に、それと並行するように半分ほどの幅の道を数本通っている。

 お姉様方のお仕事場以外は、1階部分は店舗スペースで、2階と3階は全て住宅スペースとしている。

 住居スペースは相部屋から一人部屋、一軒家など色々と揃えてみた。

 新たに楽園で使用するプレートを発行。

 銅貨1枚分1ユイ。

 自分の名前からとるなんて恥ずかしいから嫌だと主張したが、分かりやすい功績として良いじゃないかと採用になってしまった。

「徴収金の回収と比べたら楽なもんだぜ」

 色街の再建を頑張った代わりに、部屋代の徴収やプレートの入金作業は、お頭達が管理してくれる事になった。


 今いるのはおよそ800人ほど。お姉様方や普段ダンジョンに潜らない食堂人やお頭達、たまたまお休みしていた人達と、なぜか商人さん達がいた。

 お姉様方は新しい場所でのお仕事が楽しみで、張り切って来ているのは分かるが、囚人じゃないんだから外に逃げればよかったのにと尋ねたら「「「直感で」」」だそうな。


 ここに居ないのは、ダンジョンに潜って今の現状を知らない人がおよそ3200。現状で日和見の人がおよそ700。そして軍についた者およそ300との見立てだ。

恩恵(おんけい)目当てで何も考えてない奴らか、お前に恨みがある奴だな」

 恨みを買うような事はしてないはずだが…。

 神様、仏様、お願いします。300人全員が俺への恨みがある人ではありませんように。なむなむ。


 それにしても凄い数の囚人達だ。5000人とは改めて凄い数だと思う。

 聞いたところ、この国はここしか収容できる監獄は無く。ここに送られなければ、その場で処刑か奴隷送りの二択らしい。

 奴隷になれば家族が買い戻しが出来るらしく。大半の金持ちは奴隷となるシステムだとか。


 皆んな、ふらふらと自由に動き回り粗方見学したようで興奮しながら戻ってきた。

「「「「「「「「「「なんだここは!すげーな!」」」」」」」」」」

「皆さんには軍が帰るまで此処で生活していただきます。部屋割りなど詳しい事は、後ほどお頭から説明があります。軍の進行状況は随時、掲示板などでお知らせします。後、この状態を知らない方が1階層に戻り首輪の効力に歯向かえず前線に駆り出される可能性があります。出来るだけ説明して此方の味方になってもらうための説明をお願いします」

 俺の説明に皆が渋い表情をする。

「でもここから出れば軍が待ち構えてるぜ、それに俺たちも首輪の効力で抵抗できなくなるぞ」

 確かに、普通なら不安状況だが、

「その事でしたら安心してください。入り口は他にもあり、まだ軍がしばらく到達しない階層です。あと奴隷の首輪の一部効果の『絶対命令』は解除できます。『脱出防止』『暴力禁止』は解除できませんので、バレて争いになる前に離脱しなければなりませんけどね」

「「「「「「「「「「マジか!」」」」」」」」」」

 闇魔法もレベルが上がり書き換えが1つできるようになった。

「それ以外は今までと同じで、魔水晶の採掘をお願いします。ここでの使用は別プレートになりますが、換金値は今までと一緒です。徴収金はありませんのでご安心を、商人さん達はここでの商売のお手伝いお願いします。ちゃんとお給金はお支払いしますのでお願いしますね」

「「「はい、喜んで!!」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ