第91話 直りたてのトビラの前と、怒涛の4連キス爆撃
ガルダに俺の脱皮ウロコを渡したらお返しにガルダのウロコと不意打ちのキスをもらった、そんな大波乱の夜から明けた翌朝のことだ。
コンコンコンコンッ!!! コンコンコンコンッ!!!(※大工のトカゲたちが直してくれたばかりのピカピカドアを激しくノックする爆音)
「う、うぅん……。誰だよ朝一番から俺の極上の二度寝の防衛線を大破させようとしてる奴は……」
俺が死んだ魚のバキバキの目のまま毛布から手探りで這い出し、不信そうに新しいドアをバチッと開けた瞬間、俺の人間姿の網膜は、朝の眩しい光の中に仁王立ちしている美少女4頭の満員御礼オブジェクトを直撃で感知してガチフリーズをキメた。
そこに立っていたのは、人間の姿に変身して衣服を完璧に着こなしたまま、瞳のハイライトを一瞬で完全消滅させた、ゼフィラ、デメト、ネレイダ、エルシエラの一族の幹部4頭だったのだった。
「……ねえマモル。さっきガルダのやつがさぁ、『マモル様からお留守番の部屋の前で新しい黒ウロコを直撃でドロップして貰ったっす!大勝利っす!♡』って、広場の真ん中でマモルのウロコを自慢げに掲げてイキり散らしてたんだけど……アタシの一族のプライド(風の属性)がそんな不公平、許さないわよッッッ!!!(※ツンデレツインテ・ゼフィラちゃんの暗黒ヤンデレ覇気)」
「あらぁ〜♡ マモル、ガルダちゃんだけにあげるだなんて、アタシたちもそのウロコが、とっても欲しいなぁ〜って……(※土のバブみ・デメトの笑顔のままの消し炭覇気)」
「マモル……アタシも、その黒ウロコ……一生、ベッドの横のコレクション部屋で、命よりも大事にする……から……(※水の人魚トカゲ・ネレイダちゃんの冷徹な低体温ボイス)」
「マモル様、ガルダだけにお与えになられては一族のパワーバランスとして不公平ですわ♡ みなさんにも、平等にウロコをお与えになられてくださいまし♡」
一番お堅いお上品令嬢の顔のまま、お買い物ギルドのトップとして当然の利権を主張して詰め寄ってくる側近エルシエラ。
俺は(まあ、俺の体からベッドの上に毎日ポロポロ落ちているただの抜け殻(フケ皮素材)だし、ポケットの中にまだたっぷり大量に余ってるからいいけど……(顔面滝の汗))と納得し、「あ、あはは、いっぱいあるからいいけどさ……」と、人間の手で漆黒の脱皮ウロコを1枚ずつ(合計4枚)をポイポイとゴミを分別する感覚で彼女たちの手のひらの上へと手渡してやったのだった。
すると、ウロコをポケットへと秒速で格納した4頭は、これ以上ないほど大興奮の満面の笑顔を浮かべると、今度は「代わりのお返しです!♡」とばかりに、それぞれの身体から剥がれ落ちたというカラフルで不気味な光沢を放つ脱皮ウロコを、俺の手のひらの上へと一斉にガシバシ押し付けてきたのである!
ゼフィラからは新緑に輝く緑色のウロコ、デメトからは大地の包容力を秘めた琥珀色のウロコ、ネレイダからは深海の冷徹さを宿した青色のウロコ、そしてエルシエラからは白銀の後光が射す白色のウロコ――!
俺の手のひらには、昨夜ガルダから無理やり押し付けられた赤いウロコを合わせて、5色戦隊ヒーロー級のカラフルな【人外トカゲ美少女たちのフケ皮素材の山】がジャラララッ!!!と集まってしまったのだった!
俺は人間の姿のまま(いや、他人の、しかも爬虫類人外ギャルどもの剥がれ落ちた不衛生なフケ皮なんか、5色セットで綺麗にコンプリートしたところでこれっぽっちもいらねぇわ!!!)と顔を滝汗にさせて、「いや、こんなのいらないけどさ……」と突き返そうと言いかけた、まさにそのコンマ数秒の瞬間のことだった。
「――っ、マモル、大好きッ!!!♡」
ゼフィラが、俺がウロコを突き返そうと油断したその瞬間に瞳を大点火させると、俺の正面から突撃して俺の唇へと不意打ち口づけをチュッ♡とブッ放し、「あへぅ♡」と顔を真っ赤にして最高のステップで立ち去っていったのだった。
(お、おい、またやられたッ!!!)
俺が驚愕して両手で頭を抱えてフリーズした、まさにその隙(コンマ数秒の無防備)を、一族のヤンデレ怪獣どもが1ミリも見逃すわけがなかった。
「ふふっ♡ アタシもマモルのこと、だーい好きよ♡」
デメトが、豊満なボディを衣服ごと俺に密着させるなり、頭を抱えている俺の唇へと不意打ち口づけをちゅむっ♡と濃厚にチャージし、「はふぅ♡」とトロンと悶減しながら最高のバブみ笑顔で去っていったのだった。
「あ、呆気にとられてる場合じゃねぇよ俺のバカヤローォォォオオオ!!!(※俺の人間姿の顔面完全に土気色の絶叫)」
脳内ソロバンが完全に大破して呆然と立ち尽くする俺の網膜の前に、嫌な予感を1ミリも挟み込ませる間すら与えず、今度は冷徹な水の美少女が目の前にポップアップ乱入してきた!
「マモル……アタシも、マモルが世界一……大好きです……♡」
ネレイダが低体温のボイスのまま、俺の唇へと不意打ち口づけをんちゅっ♡と冷たくも情熱的に強奪すると、瞳のハイライトを完全消滅させてトロンと悶絶しながら去っていったのだった。
(ひ、ひぃぃぃ!!! 俺のチェリーの唇の防衛線が一瞬にして3連続で完全更地消毒されちまったじゃねぇか!!!)
俺が涙目でガタガタとマッハの速度で痙攣していると、最後に取り残された純白の少女人形姿の側近エルシエラが、これ以上ないほどお堅い側近の真面目な顔のまま、トトトッとゼロ距離まで大進撃して顔を近づけてきたのだった。
「マモル様、わたくしは『すでに2回目』ではありますが……♡」
俺は咄嗟に人間の両手で自分の口元をカチカチに覆って、完全無敵の鉄壁のハンドガードをキメた!
だが、お堅い衣服を完璧に着こなしているエルシエラは、瞳から一瞬ですべてのハイライトを完全消滅させて暗黒ヤンデレ覇気を大点火させると、王の側近の強靭なチート腕力をフル作動させ、俺の口元をガードしていた人間の両腕を、ガシッ!!!と力任せに鷲掴みにして上方へ無理やり引っ剥がしたのである!
「なっ……、腕力がチートすぎてガードが大破して上がらねぇぇぇッ!!!」
「――マモル様、わたくしも、魂の底から深く深く、お慕い申しておりますわ(ちゅ♡)」
んむぅゥゥちゅっ……♡♡(※ガードを物理的にへし折られたマモルへの、側近エルシエラからの強引な強奪口づけ)
俺の人間の唇へとこれ以上ないほど濃厚で強引なおもてなし口づけを上書きチャージしたエルシエラは、顔を真っ赤にしてトロンと悶絶しながらも、どこか一族の絶対の伝統仕様をカチッとロックしたような、不気味で意味深な微笑みを浮かべたのだった。
「ふふっ♡ これでメス5頭全員との『愛の婚約の既成事実』が、完璧にシステム承認されましたわね♡ ――それではマモル様、わたくしたちはお昼時まで少々中退場をさせていただきます。これから始まる『一生で一度の大切な公務』に向けて、メス総出で最高の花嫁衣装の準備を整えてまいりますので……どうぞ夕方まで、お部屋でごゆっくりおやすみくださいまし♡」
「え? 花嫁衣装の準備……? お昼時から公務って、一体何のこと――(※マモルの人間姿の顔面滝の汗)」
俺がガチの初耳バグに思考フリーズをキメる間も与えず、衣服をカチッと鳴らしたエルシエラは、先に去っていったゼフィラたちを追いかけるように、どこか一族の最高のお祭りを控えたようなホクホク顔のまま、廊下の闇へとマッハの速度で全員一斉に立ち去っていってしまったのだった。
………………。
本当に誰もいなくなって静まり返る早朝の我が家の廊下。
一族の最強ヒロインたちの不意打ち口づけの悲鳴が廊下の闇へと完全に消え去り、嵐の後のように誰もいなくなった自室の前。
俺は人間の手で自分の唇と、ポケットの中の大量のウロコを見つめながら、何故か一族のメス全員が「夕方までマモルさんの前から完全に姿を消す」という異様なスケジュール管理に首を傾げつつも、命からがら部屋の中へとダッシュで逃げ帰ると、直ったばかりの美しいドアをバチィィィン!!!と内側から鍵ごと完全封鎖したのだった。
そして、そのままベッドの上へドスンとダイブし、毛布を頭から深く深くかぶると、理性の防衛線を最大出力で魂の大号泣大暴発させた。
「何なんだよもーーーーーーーーッ!!!(※部屋の中に響き渡る、俺の人間姿のガチの大号泣絶叫)」
くそォォォ!!油断したわバカヤロー!!!
あいつらは全員めちゃくちゃ可愛くてムラッときたけど、あいつらの本体姿は全員がガチのゴツゴツした大トカゲ一族じゃねぇか!!!
キアラちゃん以外の最強人外怪獣娘5頭に俺のピュアなチェリーの不意打ち唇を朝一番から強奪されたとか、キアラちゃんには絶対に秘密にしなきゃならねえ!!!
俺がどんなに大号泣で毛布を抱きしめて現実逃避をキメようがキスされた現実は変わらないが、俺をこの布団の暗闇の中で涙をダラダラ流しながら不貞寝をキメることにしたのだった。
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(次回更新:来週土曜日18時40分!)




