第82話 ドラゴンのガチ生首サプライズと、徹夜明け隊長の気絶ズルズル回収
大集落の広場で、5頭の最強ヒロインたちが、未だに大爆発させていた夜。
俺(人間姿)は夜の街道を全力の隠密ダッシュで人間の村へと爆走離脱したのだった。
夜の人間の村のいつもの馴染みのカフェのテラス席。
だが、当然そこにキアラちゃんの姿はない。今日の昼、タイア隊長に書類残業の後処理のために首根っこを掴まれて兵舎の隔離執務室へ強制連行されたため、今頃は「マモルさんのおもてなしがぁぁ」と泣きながら書類を絞られているのだろうと判断し、俺は先にのんきに夜のディナーを開始していた。
そこへ、夜の街道の向こうから、巨大リュックを背負ったお上品な丁寧語姿の猫耳商人ミーアちゃんが、これ以上ないほど胡散臭い満面の営業スマイル(猫かぶり)を浮かべてテラス席へ笑顔で登場した。
「マモル様♡ あの脱皮ウロコ1枚、さっそくミーアの独自のツテでお売りしてきましたわ♡ こちらが、売上金(100万ゴールド)からミーアの手数料10%を差し引いた、正真正銘の『90万ゴールド(日本円で1億8,000万円くらい)』の現金ですわ♡」
ジャラララッ!!!と、金貨がギチギチに詰まった特大の布袋がテーブルの上にドロップされた。
(えええええええッ!?!? もう売れたのォォォ!?!?(※脳内ソロバン弾け飛び))
「当然ですわ、マモル様のあの神話級の漆黒ウロコともなれば、人間の国の王宮のバカ貴族どもがすぐに買いにきますもの♡本気で頑張ってオークションに出品すれば【500万ゴールド(日本円で10億円くらい)】でも売れますわが、今は薄利多売で市場の信頼(利益)を得るべきだと思い、100万ゴールドでお売りしましたわ♡」
俺は(う、うわあああァァァーーーッ!!! 自分のベッドの上のただのウロコ1枚が、本当に一瞬にして大金になっちまったじゃねぇか!!!スケイルラッシュ、マジで大勝利のホワイト天国モードキターーーッ!!!)と、降って湧いた大金に脳内テンポがギガマックスに浮かれ、金貨袋を抱きしめながら「よしミーアちゃん!! 今日は最高の勝利の祝杯だ!! パスタでも何でも好きなものをメニューの端から端までジャンジャン注文しちゃってよォォォ!!!」と、意気揚々と祝杯モードへ突入したのだった。
まさにその数秒の瞬間のことだった。
「……マモルさん? その、翡翠色の緑髪の子猫ちゃんと、夜のテラス席で、一体何がそんなにお盛んで楽しそうですのォォォ……?」
夜の街道の闇から、タイア隊長による24時間兵舎監禁(残業)を命がけで大脱走してきた、私服姿のキアラちゃんが、ルビーの瞳のハイライトを完全消滅させ、国家壊滅級の暗黒ヤンデレ覇気を大点火させてぬっと乱入してきたのである!
俺は金貨袋を一瞬で隠すと、顔面から滝のような冷や汗を流して、極限の1秒の中で泥縄言い訳ディフェンスをブッ放した。
「い、いや、違うんだキアラちゃん!!! 俺、キアラちゃんへ最高のサプライズプレゼントをあげたくて!!この旅の商人さん(ミーア)に、何か女の子が喜ぶ良い商品が無いかと、テラス席で熱く相談をしていたところなんだよォォォ!!!」
俺はキアラちゃんの殺意の杖を納めさせるため、隣のミーアちゃんに向けて目をバキバキに血走らせて(ミーアちゃん、後で金は何億ゴールドでも払うから、今すぐ何か女の子が120%喜ぶ最高の商品をリュックからドロップしろ!!!)とアイコンタクトをブッ放した。
「あら、そういうことですのね旦那様♡ では、こちらの特選品を――」
ミーアちゃんが巨大リュックからサッと取り出したのは、さっき俺を精神的即死に陥れた、無数の足が口の中でワシャワシャ動く【ダンシング・ミリピード(百足)の素揚げ】だった。
「違う違う違う!!! そんなゲテモノ虫スナックじゃねぇよ!!!(※顔面完全に白目)もっとお堅い人間の令嬢が120%大感動する、綺麗で最高に良いやつを早く出せェェェ!!!」
「くぅぅ、注文の多い旦那様ですニャ!!(※素のニャが大ポロリ)わかりましたわ、ではミーアのとっておきの中のとっておき(神話級最高級品)を出して差し上げますわァァァーーーッ!!!♡」
ミーアちゃんが巨大リュックの底から、ズバァァァンッ!!!と両手で誇らしげにテーブルの真ん中にドロップしたのは――
【体に残った魔力の残滓のせいで、二つの巨大な眼球がギョロギョロギョロギョロ!!!と不気味に動き回り、キアラちゃんに向けてアゴをガチガチガチガチ!!!と噛み鳴らして火花を散らして威嚇している、行商リュックの容量を泥縄に大破させない、ちょうど『スイカくらいの大きさ』をしたレッサードラゴン(下級竜)の生首】だった。
――バタリ。
テーブルの真ん中でギョロギョロ動くスイカサイズのドラゴンの生首(特級呪物)と目が合ったコンマ数秒の瞬間、私服姿のキアラちゃんは泡を吹いて、喜ぶどころかショックのあまり白目を剥いてテラス席の床の上へドサァッとダイレクトに完全失神(即死ノックアウト)をキメて倒れ込んでしまったのだった。
「喜ぶどころかショックでガチの気絶しちまってんじゃねぇかバカヤローォォォオオオ!!!(※精神的お通夜状態の絶叫)」
「あれえ? マモル様の最愛の恋人ってことは、彼女もリザードマン一族のメスですよね?何故ドラゴンのお頭を見て秒速で泡を吹いて行き倒れてるんですの?」
「この子は100%清廉潔白な人間の令嬢だバカヤローッ!!!(※涙目の特大絶叫)」
俺がテラス席の床の上で気絶しているキアラちゃんを前に涙目でツッコミをブッ放している、その数秒の瞬間のことだった。
夜の街道の闇から、バリバリと胃薬を噛み砕きながら、アイスブルーの長い髪を振り乱した女性魔法剣士が、殺気立った覇気を放ってぬっとテラス席に入ってきた。
「……おいキアラ、アタシに書類仕事を全部ぶん投げて大脱走したと思えば、何を見知らぬトカゲの生首の前で優雅に気絶してサボってやがる。――ほら、まだ昨夜のバリケード報告書の公務は終わってないぞバカキアラ」
タイア隊長はこれ以上ないほど冷徹な苦労人の眼光を放つと、床の上で白目を剥いて気絶したままじたばたしているキアラちゃんの首根っこ(襟元)を防衛隊の強靭な腕力でガシッ!!!と力任せに鷲掴みにし、「ほら、執務室へ強制連行だッッッ!!!」と、そのままズルズルと薄暗い兵舎の残業部屋の闇へと引きずって夜の村へ去っていってしまったのだった。
(タイア隊長が書類残業の恨みパワーでキアラちゃんを2連続で連行していっちまったせいで――
俺がリザさんの黒髪を実食して完全無敵の仕様に成功し、今夜こそ人間の姿のままキアラちゃんと合法的にめちゃくちゃイチャイチャして、最高の甘いおやすみ唇(青春デート)を堪能しようとしていた大歓喜の予定が、システム的には無敵になったのに物理的に完全消し炭ロストをキメちまったじゃねぇかァァァ!!!)
さらに俺の正面のテーブルの上には、まだ二つの眼球をギョロギョロ動かしてアゴをガチガチ鳴らしてるスイカサイズのドラゴンの生首が、90万ゴールドの金貨袋の真横で居座り続けてるんじゃねぇかァァァ!!!
俺の隠密スローライフは、キアラちゃんが兵舎へ再連行されてせっかくのイチャイチャ耐久レース大勝利の夜を強制大破させられたその日の夜、女猫獣人商人ミーアちゃんが「やっとまた2人きりになりましたわね♡では、このドラゴンの生首をムシャムシャ貪りながら、次なるウロコ商談の続き(スケイルラッシュ)を濃厚に執行しましょうかニャ……♡」と、ドラゴンの目玉をペロッと実食しながら迫ってくるという、もはや誰もコントロールできない超泥縄日常コメディ新ステージの荒波へと、容赦なく突き進んでいくのだった。
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(次回更新:明日18時40分!)




