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第81話 王のゲテモノ重婚プロポーズと、怪獣たちのブーケトスデスマッチ

女猫獣人商人ミーアちゃんに、特選『ダンシング・ミリピード(千足百足)のサクサク素揚げスナック』という名の呪物を差し出されたあのカフェのテラス席での濃厚な商談の場。


ここで無下に断って2億円ウロコの販売ルート(手数料10%)をパージされるわけにはいかない俺は白目を剥きながら、そのワシャワシャ動いているムカデの素揚げをポケットに入っていたティッシュでぐるぐる巻きに包むと、触りたくもないお持ち帰り用のオブジェクトとして大急ぎで回収したのだった。


キアラちゃんもタイア隊長に兵舎の残業部屋へ連行されてもうテラス席に用はねないため、今日1回目の12時間変身可能バッテリーを贅沢に残した人間の姿のまま、大集落(トカゲ村)の我が家へと直帰退散したのだった。


「……ふぅ、死なねぇけどガチで精神がクソ痛かったわ」


大集落へと戻り、トビラが粉微塵に吹き飛んでポッカリと最悪な大穴が空きっぱなしの自室のベッドへ向かって広場を歩いていた、まさにその時のことだった。

一族の長老室でオヤジの凄まじい往復ビンタ(物理)を喰らって目を覚まし、まだ広場の真ん中で悔し涙をダラダラ流していた、本来のゴツゴツした大トカゲ姿のままのガルダ(火の部族の脳筋ギャル)が、俺の手に握られたティッシュの塊(百足)に野生の鼻をヒクヒクさせて突撃してきた。


「フ、フシュ!? マモル様、それ……さっきミーアの露店で行列が長引きすぎてウチらがバッテリー切れで買い損ねた、伝説の最高級品っすよね!? 一口、一口だけでいいから、食べさせてほしいっすゥゥゥ!!!」


俺は(よし、こんな気持ち悪い虫の死骸、部屋に持って帰ってもゴミ箱行き(不衛生)だし、ガルダちゃんが主食として美味しく実食してくれるなら全部押し付けてやるわ!!!と人間の手のままで百足をガシッと掴むなり、ガルダちゃんのトカゲ顔面に向けて時速160kmの特大ホームランのノリで『全部やるよバカヤロー!』とブン投げて押し付ける!!!)と、いつもの様式美(物理排除)をブッ放した。


ベシィィィン!!!と顔面に百足をド直撃で浴びたガルダちゃんは、瞳を一瞬にして熱狂のハイライトで大点火させた!


「う、うわあああァァァーーーッ!!! マモルゥゥゥ!!! ウチに一口どころか、丸ごと全部プレゼントしてくれたっすゥゥゥ!!! 最高に大興奮の大勝利っすゥゥゥ!!!♡」


「ちょっとガルダ、抜け駆けはアタシが許さないわッ!!! マモル、アタシにもその最高のご馳走を今すぐ私にも頂戴しなさいよッッッ!!!♡」


それを横目で看破していた、ツンデレ緑トカゲ姿のゼフィラが、瞳のハイライトを完全消滅させて大乱入してきた!


「いやごめん、これさっきミーアちゃんに貰ったやつだから【1つしか無い】んだってば……」


「な、何ですって!? だったらガルダ! アタシの一族のプライドに免じて、その半分をアタシにもよこしなさいよッ!!!(※爪をガチガチ鳴らすゼフィラ)」


「嫌っす!!! これはアタシがマモルから『真っ真っ正面からのガチの剛速球』で、直撃で丸ごと貰った特別な愛の証明っすから1ミリもシェアしないっすよォォォ!!!」


何故ただのゲテモノ虫スナック1匹を巡って、一族の最強ヒロインたちがガチの殺意の重力波で争っているのか、常識人高校生の俺には1ミリも理解できなかった。


そこへ、土の部族のバブみトカゲ姿のデメトが「あらぁ〜?♡ マモルからそんな『ダンシング・ミリピードの特選素揚げ』を丸ごとプレゼントされたの?♡ お姉ちゃんにも半分ちょうだいな(笑)♡」と瞳を完全に消し炭にさせて笑顔で乱入!


さらに、水の青トカゲ姿のネレイダまでが低体温の重低音ボイスで「アタシにも……マモルから直接口移しで……半分貰う権利はある……。邪魔者は、消えなさい……」と、広場の地面を地鳴りでへし折りながら殺気立って乱入してきた!


広場が4頭の怪獣による大泥沼潜水サスペンスと化しているところへ、人間の村からお買い物帰りで、まだ衣服を完璧に着こなした人間の少女人形姿のままのエルシエラが、優雅に登場した。


「おやマモル様、お出かけからおかえりなさいまし。……って、あら? あちらで一族の幹部たちが奪い合っているの、もしかしてミーアの露店の『ダンシング・ミリピードの素揚げ』ではありませんこと? 珍しい高級品ですわね」


「おい、エルシエラ!! 何であいつら、ただの気持ち悪いムカデの死骸を巡って、デスマッチを開いてんだよ!!!」


俺が人間姿のまま激しく問い詰めると、エルシエラはきょとんとしたお堅いお上品令嬢の顔のまま、淡々と恐ろしい世界の仕様(伝統ルール)を解説しだした。


「マモル様、何を常識のないことをおっしゃっていますの。あのミリピードは、一族の仕様では蜘蛛の子を散らすほど作るのが難しい超高級食材ですのよ? 普通に人間の市場や闇ルートで買ったら【1枚1,000ゴールド(日本円で約20万円)】は下らない、最高級カニ合戦ブランドですわ♡」


(せ、せ、1,000ゴールドの高級スナックゥゥゥ!?!?(※特大の衝撃ソロバン勘定))


「――それに、マモル様。我がリザードマン一族の絶対の伝統のルールではね、オスが、自分の捕獲した高級食材を特定のメスに丸ごと手渡して譲渡する行為は――【『お前を本妻に迎えて、今夜から自室のベッドの上で一緒に濃厚に卵を産み落とす交尾を執行しよう♡』という、『結婚プロポーズ』】を意味するのですよ……♡」


エルシエラは瞳から一瞬ですべてのハイライトを完全消滅させ、これ以上ないほど冷たく重いヤンデレおねだり覇気を大点火させた。


「半分に引きちぎって複数頭で均等に分け合おうと画策しているゼフィラやデメトどもは、そのプロポーズをみんなで上書きして【『合法ハーレム(一夫多妻重婚)』】を無理やり承認させようとしているのですわ……(顔面滝の汗)。――ですからマモル様。わたくしも、風の属性や火の部族にハーレムの本妻の座を独占されるわけにはまいりません。……今すぐ、あそこに『参戦してきますね♡』」


シュゥゥゥゥウウウ……ドカン!!!


エルシエラは、お堅いお上品令嬢としての衣服オブジェクトの魔力出力を一瞬でゼロにすると、まばゆい光のポップアップと共に、ゴツゴツした本来の純白の大トカゲ姿(本体)へと神速で逆変身! そのまま「マモル様はわたくしの婚約者ですわァァァーーーッ!!!♡」と、殺意ギガマックスで怪獣たちの重婚ブーケトス殴り合いデスマッチの真ん中へと、雄叫びを上げて大進撃していったのだった!


「あいつら、結婚式のブーケトス感覚で奪い合ってるのか、それともただの高級食材への食欲で奪い合ってるのか、どっちなんだよォォォオオオ!!!(※顔面白目の特大絶叫)」


というか、俺がただ『気持ち悪いからあげるよ!♡』って軽い常識人のノリで処理したゲテモノのせいで、なんで一族の最強ヒロイン5頭が広場を更地にするレベルの重婚大戦争を開いてんだよ!!!


これじゃあこのデスマッチで勝ったメスが今夜、俺のベッドの上に全裸でポップアップ乱入してきて、『マモルからプロポーズをガチ直撃で強奪したから、今すぐササッと交尾をするっすよォォォ!!!♡』って迫ってくる、逃げ場のないガチの即死デッドゲームが再起動しちまうじゃねぇかァァァ!!!


こんな最高に心臓に悪い仕様の婚約求愛呪物ゲテモノなら、最初からあのジジイトカゲの長老たちに『いつもお留守番ご苦労様!お歳暮ね!♡』って最高の笑顔でブン投げて押し付けときゃよかったわァァァ!!!


俺の隠密スローライフは、一族のトカゲ娘たちの『最高級の百足を巡る重婚ハーレム強奪デスマッチ』という、もはや誰もコントロールできない新ステージの荒波へと、容赦なく突き進んでいくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:明日18時40分!)

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