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第80話 強欲猫耳の手数料と、ワシャワシャ百足のポップスナック

ミーアと2人きりになってしまったお昼時のカフェのテラス席。


「マモル様も、これほどの人間の国の国宝・神話級の最高級ウロコ(素材)、簡単には人間の村の市場やギルドでは換金できずに困っていらっしゃるのではありませんか?」


ミーアちゃんは普段の品行方正なお上品お姉様としての【丁寧語口調(猫かぶり)】を完璧にカチッとロックし直し、これ以上ないほど胡散臭い営業スマイルで俺の顔を覗き込んできた。


俺は(まあ、確かに……。1枚100万ゴールド(日本円で2億円くらい)の価値を持つヤバい素材、普通の村のギルドに持っていったところで換金できないしなと120%常識的なソロバンを叩いて、コクコクと頷いた。


「ミーアには、人間の国の王宮や大富豪への確かな独自の販売ルートがございますわ♡もしよろしければ、売上金からの『手数料10%』で取引をお引き受けいたしませんこと?♡」


(ほう、売上金からの手数料が10%とな……?)

俺の脳細胞が爆速で計算を弾き出す。

もしウロコが1枚100万ゴールドで売れれば、10%でも【ミーアの手数料は10万ゴールド】というバグレベルの大金だ! 手数料だけでも一財産だが、それでも俺の手元には【90万ゴールド】がノーリスクでチャージされる…… 。悪くない、どころか最高にホワイトでお得なビジネスじゃねぇか!


俺は腹を括ると、これ以上ないほど爽やかなイケメン笑顔(ドヤ顔)を作って応じた。


「わかった、お願いしよう! じゃあ、さっそくさっき広場で差し出した【今朝のあのウロコ1枚】を売ってきてくれるかな?」


その言葉が鼓膜に届いた瞬間、ミーアちゃんの翡翠色の猫耳がピキィィィンと直撃し、これ以上ないほどお上品だった彼女の表情がひっくり返った。


「えええええええッ!?!? あのウロコは、さっき広場で一族の皆様が暴れてお店をめちゃくちゃにした【お詫び(損害賠償)】として、ミーアにそのまま進呈してくれたんじゃなかったのかにゃァァァーーーッ!?!?(※素のニャが大漏出)」


「ああ、いいよ。もし今回の密輸の【手数料を1%】にしてくれるなら、そのウロコはそのままミーアちゃんに進呈プレゼントするよ?」


俺がさらに極上の営業スマイルでエグい交渉を仕掛けると、ミーアちゃんはお財布を握りしめたまま、その瞳をバキバキに血走らせて猛烈に脳内のソロバンをパチチパチチッと叩きだした。


(な、何ですってニャ!? 手数料を1%にされたら、これから何十枚もスケイルラッシュを販売する時のミーアの長期的な純利益ロイヤリティが消し炭ロストの大損になるにゃ……ッ!)


ミーアちゃんは翡翠の猫耳をヘナヘナに垂らしながら、涙目で激しく悔しがった。


「くぅぅ……わかりましたニャ。今回は【手数料10%】のビジネス契約でお願いするにゃ……っ(※目先のお金より、将来の利権を取る強欲さ)」


「うん、交渉成立だね! じゃ、これからよろしくねミーアちゃん!」


「ふふ、これで正式な密輸パートナー契約が成立いたしましたわね♡では、この素晴らしい記念に、ミーアのリュックから『とっておきの最高級品』をマモル様にプレゼントして差し上げますわ♡」


ミーアちゃんはガクブル涙目から一瞬で完璧なお上品お姉様(猫かぶり)へと大復活を遂げると、背負った巨大リュックのトビラをガサゴソと開けた。

マモル(元日本人高校生)は、(う、うわあああ! さすが有能なケモミミ商人お姉様! 一体どんな異国の激レアな極上スイーツ(サプライズ)をくれるのか知らんけど、ワクワクして止まらねぇぜッ!♡)と胸のソロバンを弾ませた。


だが、ミーアちゃんが嬉しそうにリュックから取り出したお祝い品を見た瞬間、俺の網膜は100%ガチの絶望フリーズをキメた。


「じゃーん♡ 特選『ダンシング・ミリピード(千足百足)』の、サクサク素揚げスナックですわ♡ さあ旦那様,これで乾杯しましょう!」


「…………(※網膜のシャッターがガシャーンと閉まる音)」


差し出されたのは、カラリと揚げて乾燥させているはずなのに、体に残った「魔力の残滓」のせいで、【無数に生えた足だけが今もなおウネウネと不気味にワシャワシャワシャワシャ!!!と動き続けている、巨大なムカデの化け物】だった。


ブォォォンッ!!!(※俺の人間姿の全身の鳥肌が最大出力で大暴発するエラー音)


俺は一瞬にして顔面を蒼白にさせ、リアルに込み上げてくる吐き気を堪えながら、必死の形相で特大の絶叫ツッコミをブッ放した。


「うぷっ……!! ごめん遠慮する……っていうかミーアちゃん、まさかそれ……今から自分のその可愛い女の子の口で食べるの……!?(※精神的即死ダメージ)」


「はい! 我々獣人(ケモミミ一族)は、こういう昆虫・多足系モンスターが世界一の大好物ですの♡ マモル様もリザードマン(トカゲの王)なのですから、本当はこれが主食のはずですよねぇ?遠慮なさらず、さあ、あーんするのですニャ♡」


ミーアちゃんはつぶらなルビーの瞳を輝かせると、その無数の足がワシャワシャ動いている巨大百足を「ムシャリ」と躊躇なく丸かじりし、ムシャムシャバリバリとこれ以上ないほど幸せそうに咀嚼し始めたのである!!


「――んーーーっ!!!♡ この無数の足のウネウネした動きが、口の中の粘膜をパタパタパタパタパタパタッ!!!と激しく刺激して、最高にポップでスパイシーな新感覚フライドスナック食感ですわァァァーーーッ!!!♡」


美少女の顔のまま、口の中でまだ足がワシャワシャ動いてる巨大百足をポップでスパイシーとか言って笑顔で咀嚼してんじゃねぇよ!!!(※顔面完全に土気色のガチドン引き)


ガルダたちのイモムシ口移しから命からがら森の奥へ逃げ延びたと思ったら、今度はこの有能猫耳がカフェのテラス席で2人きりで『百足あーんサスペンス』を仕掛けてくるとか、ウロコ販売の前に俺の理性が泡を吹いて過労死するわ!!


俺の隠密スローライフは、キアラちゃんを兵舎へパージして防衛線に勝利したと思った昼下がり、新キャラの強欲猫耳商人ミーアちゃんによる本当の商談本番という、もはや誰もコントロールできない新ステージの荒波へと、容赦なく突き進んでいくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:明日18時40分!)

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