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第75話 目隠しステルス裏技口づけと、24時間擬態のシステム罠

「キ、キアラちゃん落ち着いて!!! 髪の毛実食おもてなしは本当に大丈夫だから!! 髪の毛を毟って食べる愛の証明は危ないから今すぐやめてェェェーーーッ!!!」


俺と、包帯ミイラ姿の大魔導師アリアちゃんは、顔面から滝のような冷や汗を流しながら、立ち上がってキアラちゃんの両手を全力のツッコミで必死に掴んで静止させた。

だが、キアラちゃんのルビーの瞳のヤンデレハイライトは完全に消滅し、「マモルさんが私の髪の毛を食べてくれないとここで不貞寝を始めますわ……ッ!」と、もはや普通の常識と言い訳の言葉では1ミリも脳内ハッキングを上書きできない限界に達していた。


(あかん、これ以上キアラちゃんの暴走を長引かせたら、本気で自分の髪を全部引きちぎって禿げ上がっちまう!!

……待てよ? 俺の手のひらには、リザさんから直接ドロップして貰った【黒の属性の髪の毛が2本】完璧に素材フルチャージされている。

そして、アリアちゃんがいつか、恐怖の泡を吹きながら涙目で提案していた、あの泥縄の暗殺隠密スパイ作戦が、今この極限状態の脳細胞の中にパキィィィンとカチッとロックされたぜ……ッ!!!)


「キ、キアラちゃん! 分かった、俺の負けだよ! 俺への愛の証明なら、自分の美しい髪の毛を毟るんじゃなくて……もっと、お堅い令嬢らしい、最高のロマンチックな『目隠しゲーム』をしようよ!」


「目隠し……ゲーム、ですの……?(※トロンとした瞳で動きを止める)」


俺はポケットから大人の常識人の白ハンカチを取り出すと、大人しくなったキアラちゃんのルビーの瞳の前へと、引きつったイケメン笑顔のまま優しく巻きつけ、彼女の視界を完璧に物理封鎖した。


「これから1分間だけ、目隠しをしたまま、じっと動かずに椅子で大人しくお留守番しててね。俺からの、真実の愛のサプライズだからさ」


「はふぅ……♡ 分かりましたわマモルさん。私、お堅い淑女としての貞操を信じて、目隠しをしたままマモルさんの情熱を全身で受け止めますわ……♡」


キアラちゃんが目隠し状態のまま、おねだり唇をジリジリと突き出してトロンとフリーズした、まさにそのコンマ数秒の瞬間。

俺は隣に座るミイラアリアちゃんに向けて、目をバキバキに血走らせて(アリアちゃん、今だ!! 第5回・泥縄隠密ステルス大作戦の執行じゃー!!!)と特大の共犯者アイコンタクトをブッ放した。


「ひ、ひぃぃぃ……っ!!(※ガタブル震えながら決死の思いで周囲を隠密魔法でガードするアリア)」


「よし――フシュゥゥゥッ(擬態魔法、自発的解除!!!)」


シュゥゥゥゥウウウ……ドカン!!!


俺が自らの意志で擬態魔力の出力をゼロに戻した瞬間、テラス席のテーブルの真ん中でまばゆい純白の光が激しく大爆発した。


光が晴れた椅子の真ん中に出現したのは、シャツとズボンの衣服をその場にパージした、全長2.5mの漆黒のウロコ肌に逞しいツノを蓄えた、本物の『黒の王(巨大リザードマン本体)』のゴツゴツした怪獣姿だった!!!


俺は大トカゲ姿のまま、手のひらに残っていたリザさんのお詫びの黒髪を、短い前足でガシッと掴むなり――ペロッ……と、大号泣の血涙を流しながら一瞬で口の中へインした!


――シャキィィィィィィン(※脳内に直接鳴り響く、世界最高神ココアの神聖なシステム解除音)。


『おめでとうマモルくん! 隣国の黒の転生者の等価交換素材のハッキングを確認したよ!♡ これで人間の姿のままキスしちゃった世界のシステムエラーは上書きされて綺麗に初期化(解放)完了だよっ!♡ さあ、トカゲ姿(本体姿)のままキアラちゃんに愛の裏技キスをブッ放して、人間の肉体へ完全大復活しちゃってねっ!♡』


(ココアァァァ!!! 髪の毛やっぱりクソ不味いけど、ハッキング初期化解除キターーーッ!!! 泥縄隠密スローライフの、本当の勝利の夜明けじゃバカヤローッ!!!)


俺は巨大怪獣姿のまま、目隠しをしておねだり唇を突き出してトロンと待っているキアラちゃんのコンマ数ミリ手前へと、しなやかに巨大な質量を音もなく前進させた。


そして――。

俺は大嫌いなトカゲのゴツゴツとした爬虫類の唇のまま、目隠し状態のキアラちゃんの柔らかくて甘酸っぱい唇へと、真っ真っ正面からガチッと力任せに『愛の裏技ハッキング口づけ(キス)』を豪快にブッ放したのである!!!


んむっ♡(※トカゲ姿のマモル本体の、人生初の真っ向からのキス)


「はふあァァァ……っ!?!?♡(※巨大トカゲの唇のワイルドな質量を網膜の裏で直撃で浴びて、エルフの耳を真っ赤にさせて大赤面大感動する目隠しキアラちゃん)」


――シャァァァァァキィィィィィィン!!!!!!


その瞬間、カフェのテラス席の空間全体に、世界のシステムが綺麗に初期化(解放)されたことを告げる、これ以上ないほど神聖なるおもてなしファンファーレのシステム解除音がド派手に鳴り響いた!


……のだが。

ファンファーレが鳴り終わって静まり返ったテラス席の真ん中で、俺は大トカゲ姿(黒の王本体)のまま、つぶらなトカゲ眼球をバキバキの点にして大混乱に陥った。


(……あれ? 待て。今、シャキーンって無敵の神聖システム音が鳴り響いたよな……?なんで俺、まだ漆黒の巨大トカゲの怪獣姿のまま、目隠ししてるキアラちゃんの真ん前でトカゲ座り(本体)をキメて微動だにしてねぇんだよココアのバカヤローッ!!!

人間の姿に完全大復活して自動で光に包まれるハッピーエンドじゃねぇのかよォォォッ!!!)


「……マモルさん? 今、凄まじい神聖な魔力の鐘の音が聞こえましたけれど……一体どうされたのですか……?♡(※目隠しをしたままトロンと呟くキアラ)」


「フ、フシュゥゥゥッッッ!!!(やべぇ、キアラちゃんが目隠しを外す前に、今すぐ自力で人間の姿に変身しなきゃ、ガチのトカゲ不祥事(正体バレ)で精神的即死をキメるわァァァ!!!)」


俺はトカゲの短い前足を震わせながら、脳内を120%の大パニックで埋め尽くされつつも、実質素材ハッキングでロック解除されたばかりの『新・擬態魔法』を大慌てでその場で全力起動させた!


シュァァァァァキィィィィィィン!!!!!!


その瞬間、今度こそカフェのテラス席の空間全体に、純白光が天井を突き破った。

光が晴れたテラス席の真ん中には、シャツとズボンの衣服を完璧に着こなした、正真正銘の『人間の姿の俺』が、顔面を滝のような冷や汗で濡らしながらバチッと大復活して仁王立ちしていたのだった。


あまりのまばゆい輝きに、キアラちゃんは目隠しのハンカチをポロリと床へ落とし、ルビーの瞳をキラキラと大感動に潤ませながら、人間の姿の俺を見上げて大赤面で悶絶した。


「ま、マモルさん……っ!? 今、私の目隠しの向こうで、一体どんな神聖なる真実の愛のキスが執行されましたの……っ!?♡」


俺は人間の青年の手足を見つめながら、大慌てで大復活をキメた焦りのなかで、魂の底から勝利の大大号泣を噛み締めた。


――ピキィィィィィィン(※脳内に直接直接鳴り響く、世界最高神ココアの追加のシステム条例アナウンス)。


『あ、ごめんねマモルくん! ココアのシステムがちょっと上書きアップデートしちゃったんだけど、今回の黒髪実食ハッキングの等価交換はね、人間に完全に戻るんじゃなくて――【擬態魔法の制限時間が、これまでの3時間枠から『12時間✕2回=実質24時間』にシステムが過剰インフレアップデートされただけ】だからねっ!♡

だから自動で人間に戻らずに、自分で変身しなきゃいけなかったんだよ。一回解除するごとに3時間のインターバル(クールタイム)の縛りは残っているけど、魔力の時間を【前借り】する超理論を使えば、実質『22時間30分』はずっと人間の姿のまま村で過ごせるし、その間に朝日は普通に昇るからスローライフ的には何も問題無しだよっ!♡』


「……は?」


俺の人間姿の脳細胞が、あまりの非情すぎる等価交換のバグっぷりに一瞬にして白目を剥いてガチフリーズをキメた。


(12時間×2回=実質24時間擬態できるようになっただけで……俺、中身は結局巨大漆黒トカゲのままじゃねぇかココアのバカヤローッ!!!(※涙目の大号泣クレーム))


だが、俺は引きつったイケメン笑顔のまま、隣にいるキアラちゃんに対してこの『24時間変身の秘密』を100%徹底的に極秘のまま隠し通すことを決意した。もし24時間人間のままだとゲロってしまったら、本当に防衛隊の宿舎に24時間監視付きで同棲完全密室監禁され、一族 of の王としての公務や、ベッドの上の不貞寝の時間が消し炭にされてしまうからだ。


新ルールのおかげで、俺の変身可能バッテリーはまだ約12時間も余裕たっぷりに残っているため、時間的な猶予は宇宙の果てまで存在しているが――。


(あかん、システム的は完全無敵になったけど、俺の精神と体力がこれ以上この狂ったドタバタ修羅場に付き合ってたら100%過労死する。一刻も早く大集落の自分のベッドへ帰って、大の字になって特大の不貞寝(有給休暇)を貪りてぇ!!!)


「あ、あはは、キアラちゃん!! ごめん、俺ちょっと昨日の昼間の特訓(※リザさんサンドバッグ)のせいで、身体のあちこちが地味にクソ痛くてさ!!ちょっと頭と身体を冷やすために、今日は一回大急ぎで帰るね!! それじゃあ、また明日お昼に会おうねっ!!!涙」


「あ、マモルさん――っ!♡」


俺はキアラちゃんがさらに激しいおねだり髪の毛毟りを執行してくるよりも早く、これ以上ないほど爽やかなイケメン笑顔で完璧な大嘘(※ただの本音の敗走)をブッ放すと、そのまま夜の村の街道の闇へと、サササッとマッハの速度で逃げるように直帰退散することに成功したのだった。



本日最後となる擬態制限時間を自発的にコントロール解除し、いつも通り元の漆黒の巨大トカゲ姿へと戻った俺は、魂の抜け殻のようになって大集落の我が家の自室へと逃げ帰ってきた。


トビラが粉微塵に吹き飛んでポッカリと最悪な大穴が空きっぱなしの部屋に入ると――そこには、水の青トカゲ姿のままのネレイダが、しなやかに濡れた長い尻尾をベッドの上で揺らしながら、当然のようにお留守番侵入していたのだった。


「マモル、おかえりなさい……。アタシ、一族の噂で全部知っていますよ……(※水属性の重低音ヤンデレおおもてなし鼻息)」


ネレイダは瞳のハイライトを完全消滅させ、物静かで底の知れない執念のバフを限界突破させて俺をじっと見つめてきた。


「エルシエラも、ゼフィラも、ガルダも、デメトも、みんなマモルにこのベッドの上で強引に組み伏せられて、そのトビラの大穴から廊下のガレキの山へと豪快に放り出されたらしいですね……。アタシだけマモルに大穴から廊下のガレキへダイレクトにぶん投げられないなんて、そんなの、不公平だと思いませんか……?

マモルは人間の姿の全裸の方が好きなんですよね。……だったらアタシも、今すぐ衣服の魔力を完全にゼロにして、他の娘たちみたいに、思い切りその大穴から外へ放り出していただきますね……♡」


シュゥゥゥゥウウウ……ドカン!!!


「物理パージされる権利を物静かに全力でおねだりしにくんじゃねぇよ水トカゲ!!!(※ブチ切れの漆黒トカゲ特大フシュゥゥツッコミ)」


ネレイダは衣服の魔力出力を完全にゼロ(全裸指定)のチェックマークを入れて静かな挙動でポップアップ変身をキメ、【服の概念をすべて光の彼方へ置き去りにした、ありのままの完全なる全裸姿のヤンデレ美少女】へと変身してベッドの上で俺に向かって両手を大きく広げて飛びかかってきたのだった!!


俺は怒りと疲労を爆発させ、2.5mの巨大な質量を暴発させて全裸のネレイダの身体を両前足でガシッ!!!と抱きかかえるなり、そのままポッカリと空いたトビラの大穴から、廊下のガレキの山へと向けて、ノータイムで本日2回目の豪快な特大ぶん投げをキメたのだった!!!


ドササササッ!!!

「きゃあああっ!? マモルのアタシを大穴から廊下のガレキへ丁寧にぶん投げる最強の野生の男らしさ、最高に、魂の底からゾクゾクしてしまいますね……っ!!♡(※ガレキの中でトカゲに戻りながらガチ恋バフ限界突破)」


俺は廊下で悶絶しているヤンデレ青トカゲを無視すると、そのままドスンとベッドへダイブし、毛布に頭まで深くくるまって特大の不貞寝をキメるのだった。


実質24時間の擬態バッテリーをハッキングして手に入れつつも、夜はトカゲ村のベッドで不貞寝し、明日からは人間の村を舞台にした『24時間擬態お買い物スローライフ(※ただし中身は怪獣、ウロコは脱皮でゴールドラッシュ)』という、もはや誰もコントロールできない超泥縄ループ日常から新ステージへと、容赦なく突き進んでいくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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(次回更新:明日18時40分!)

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