第73話 夜の森のスタンピード大誤解と、涙目のギャルトカゲ大暴走
「マモルさん、来ましたわ……!! あれが国を焦土に変える、暗黒モンスタースタンピードの凶悪な魔王に違いありませんわァァァーーーッ!!!(※殺意ギガマックスの防衛隊分隊長)」
昼間に俺が隣国の戦闘狂おばあちゃん(リザさん)と繰り広げたお買い物(髪の毛1本実食)のタイマンの衝撃ログが、世界のシステムエラーにより『魔物の大進撃の前兆』として大誤解されてしまった、今日の夜。
松明の不気味な光が揺れる夜のリザードマンの森の奥へと、防衛隊の特注杖をシャキーン!と構えたキアラちゃんを筆頭に、頭からつま先まで包帯をグルグル巻きにした満身創痍のミイラ姿の大魔導師アリアちゃん、そして本日『2回目』の最後の3時間枠で人間の姿に変身した俺(人間姿)を交えた緊急夜間調査隊が、慎重にガレキの森を突き進んでいた。
すると、まさに今日の昼間に俺とリザさんが木々をマッハでなぎ倒して空間を大爆破させた、森の最奥にある戦闘跡地(爆心地)のあたりから――バキバキバキッ!!! ドゴォォォン!!!と、凄まじい地鳴りとさらに木々をなぎ倒す破壊音が夜の闇に響き渡った。
(ひえええええええ!? まさか本当に、俺の知らないところでガチのモンスタースタンピードが起きてしまったのか!?)
俺が漆黒の脳細胞(中身高校生)を大パニックさせて冷や汗を流すなか、調査隊はおそるおそる松明を掲げ、音がする方へと慎重に足を進めた。
そして、ガレキの煙の向こうに現れた『スタンピードの親玉』の姿を見た瞬間、全員が呆然とフリーズした。
「ウ、ウチの、ウチの初めてのベッドの上での子作り交尾の権利がァァァ!!! マモル様に最高のドヤ顔トカゲ笑顔で『ロック解除されたからもう卵産まなくていいよ!♡』って秒速で有給休暇にされたっすゥゥゥ!!! 嘘だと言ってよマモル様ァァァ!!!(※火の属性の大号泣重低音フシュゥゥボイス)」
そこにいたのは、モンスタースタンピードの魔王などではなく、2.5m級のゴツゴツした本来の赤色火トカゲ姿(本体)のまま、昼間の失恋(産卵仕様変更)の腹いせにわざわざ村から離れた森の爆心地までやってきて、涙目をギガマックスに燃え上がらせて残った木々を火属性の怪力でバキバキになぎ倒して大暴れしているガルダだったのだった。
「モンスタースタンピードではありませんでしたわ……。ですがマモルさん、凶悪な野生のリザードマンの怪獣が、夜の森で何かおぞましい地獄の底からの呪いの咆哮を上げながら大暴走をキメておりますわァァァーーーッ!!!」
人間の調査隊の兵士たちにガチの戦慄と緊張が走った、まさにそのコンマ数秒の瞬間だった。
ガタバシッと森の奥の闇から、さらに2.5mの巨大なゴツゴツした大トカゲ(火の部族の戦士長であるガルダのオヤジ)や、ジジイトカゲの長老たちがワラワラと大集結して現れたのだ。
「ひえっ!? さらにリザードマンの巨大怪獣の軍勢が増えましたわァァァーーーッ!!! 消し炭に消毒――」
キアラちゃんが大絶叫して地魔法を大点火させようとした直後、ガルダのオヤジが、大暴れしているトカゲ姿のガルダの脳頭部に向けて、右前足を大爆発させて思い切りパコォォォーーーッ!!!と往復ビンタをブッ放した。
「フシュゥゥゥーーーッ!!!(このバカ娘がァァァ!!! 王(マモル様)に産卵権をパージされたからって夜中にこんな森の奥まで遠出して八つ当たりサバトを開いてんじゃねぇよ!!!)」
ドサァァァッ!!!
ガルダちゃんはトカゲ姿のまま白目を剥いてガレキの地面へと豪快にぶっ倒れた。
「……え?」
防衛隊の兵士たちの殺意の地魔法陣が、あまりにも理不尽な家庭内トカゲバイオレンス(物理パージ)の絵面を前に、呆気に取られて一瞬にして完全フリーズをキメてしまった。
すると、人間の調査隊の存在に気付いたトカゲの長老たちが、トカゲの手を泥縄にバタつかせながら、大慌てでペコペコと人間の姿の俺たちに向かって頭を下げて謝罪してきたのだった。
「いやぁ、人間の戦士のお嬢ちゃんたち! こんな夜中にウチの若いバカ娘が、失恋のショック(※産卵枠ロスト)でうるさくお騒がせして本当にすんませんじゃ! ガハハ!」
「ぽ、ぽかーんですわ……。あの、もしかして……今日の昼間に、この大集落の奥の森で空間が粉々に粉砕されて国が滅ぶレベルの大爆破(暗黒魔法)が起きていたのも……この娘の仕業なのですか……?」
キアラちゃんがぽつりと尋ねた瞬間、長老たちは「いいえ? 昼間の件はウチの偉大なるマモル様が隣国の黒の天災を――」と真実をゲロりそうになった。
俺は人間の姿(キアラちゃんの真後ろ)のまま、つぶらな人間眼球をバキバキに血走らせて、両手を高速のブンブン静止ジェスチャー!!!と必死のサインをブッ放した!
長老たちはマモル(王)の必死のジェスチャーにコンマ数秒で気付くと、ガタガタ震えながら大慌てで脳内超理論を上書きハッキングした。
「あ、あ、あああ! そうじゃ! 昼間の国家壊滅級の大爆破も、全部このウチのバカ娘が火の部族の根性を全開にして大暴れした仕業ですじゃ!!! 帰ってから一族の長老室でよく説教しておきますので、今夜はこれで免じてくだされぇぇぇ!!!」
トカゲの長老たちはペコペコと何度も不格好に頭を下げると、白目を剥いて気絶している巨大トカゲガルダちゃんの尻尾をズルズルと引きずりながら、大急ぎで大集落の闇の奥へと帰っていったのだった。
(……ふぅぅぅ!!! 助かったァァァ!!! 俺のブンブンジェスチャーのおかげで、昼間のリザさんとのタイマンの犯罪現場の容疑が、完璧にガルダの八つ当たりとして脳内脳内上書き解決されたぞォォォ!!!)
「……なんだか、最高に不完全燃焼ですわねマモルさん」
最新の特注杖を構えたまま、キアラちゃんは肩をすくめて、夜の森の静寂のなかでため息を吐いた。調査隊の兵士たちも「ただのトカゲの親子の喧嘩かよ……」とバリケードを片付けながら、人間の村へとトボトボと帰路につくのだった。
そして、なんとか人間の村のいつものカフェの前まで無事に帰り着いた、まさにそのタイミングだった。
杖を松葉杖代わりにして執念だけでついてきていた包帯姿のアリアちゃんが、ぷはぁっ!!!と限界の白目を剥きながら、ガタガタと生まれたての小鹿のように両足を震わせた。
「じゃ、じゃあボク……国の一大事(※大違い)は無事に解決したみたいだから、治療院のベッドに戻るね……。あはは、さすがに全身の骨がバキバキで、もう1秒も立っていられないからさ……(※ガチの限界の涙目)」
アリアちゃんはそれだけをフラフラと口にすると、夜の村の街道をゾンビのような千鳥足で、治療院へ向かって強制お留守番(Uターン退場)していってしまったのだった。
(アリアちゃん待って!! 帰るんじゃねぇ!! お前が今ここで病院へ行っちまったら、俺、本当にこの不気味な夜のテラス席の前で、ブレーキのぶっ壊れたキアラちゃんと『ガチの2人きり(防衛線大崩壊)』になっちまうだろォォォ!!!)
俺の人間姿の脳細胞が恐怖で絶叫するなか、キアラちゃんが静かに振り返った。
「それじゃあマモルさん、師匠も無事に治療院のベッドに戻られましたし、私はこれから防衛隊の夜間警備の後処理(報告書作成)が残っていますので、今夜はここでお別れですわねっ♡」
「あ、あああ、うん! キアラちゃんも夜遅くまで本当にお疲れ様。……それじゃあ、おやすみ!」
俺は(よし! 今夜こそキアラちゃんのおねだり不意打ち唇を1ミリも喰らうことなく、お預け耐久レースの本番をホワイトに解散して『2日目』の防衛線を死守できたぞォォォ!!!大勝利!)と心の中で大号泣の歓喜を噛み締めながら、カフェの椅子から立ち上がって大集落へ帰ろうと、くるりと後ろを向いて歩き出した。
「――あ、マモルさんっ!」
「ん? どうしたのキアラちゃ――むぐッ!?(※人間姿の特大のフリーズ)」
俺がのんきに引きつったイケメン笑顔のまま振り返った、まさにそのコンマ数秒の瞬間だった。
お堅い令嬢としての理性を最高のロマンチック愛の暴走バフで上書きしたキアラちゃんが、唇を突き出して俺の正面から飛びかかってきて、俺の唇に向けて逃げ場のない不意打ちの『おやすみ口づけ(本日2回目の人間姿のままのキス)』を真っ真っ正面からガチッと強奪してきたのである!!
柔らかくて甘い、最高の女の子のキスの感触(ちゅっ♡)。
「ふふっ♡ おやすみなさい、私の照れ屋で世界一誠実なマモルさん♡」
キアラちゃんは大満足の極上の幸せ笑顔を浮かべると、夜の村の街道をステップを踏むようにして可愛らしく実舎の宿舎へと帰っていった。
夜の街道のど真ん中に、ポツンと1人きりで残された俺。
何が起きたのか一瞬脳細胞が理解できず、人間眼球から光を完全に消滅させてガタガタとリアルに痙攣しだした次の瞬間、俺は世界の絶対システムが非情に作動したことに気づいて、その場に絶望の血涙を流して大号泣した。
(うわあああ大歓喜だけど、ラッキースケベだけど、リザさんの髪の毛をペロッと食べて世界のシステムロックを初期化(1日目)にハッキング成功したまさにその初日の夜に――
またあの完全復活の裏技システムにガチガチの『再ロック』がかかって、明日からまた最初から『お留守番1日目の我慢レース』を泥縄にやり直すハメに大再起動しちまったじゃねぇかァァァ!!!(※魂の完全大号泣ツッコミ)
俺は本日最後となる2回目の擬態制限時間をすべて使い果たし、元の漆黒の巨大トカゲ姿(黒の王本体)へと強制定時退社すると、呆然としてトボトボと大集落の我が家の自室へと逃げ帰ってきたのだった。
トビラが粉微塵に吹き飛んでポッカリと最悪な大穴が空きっぱなしの部屋に入ると、さっきオヤジに往復ビンタされて目を覚ました赤色火トカゲ姿のガルダが、ベッドの横でつぶらな涙目をボロボロと流しながら、必死の形相で俺に向かって謝ってきた。
「フ、フシュゥゥゥ……ッ!!!(マモルゥゥゥ!!! ウチ、夜中に大暴れしてマモルのお使い(食材発注)を台無しにして本当にすんませんっっす!! )」
「フシュゥゥゥ……(いや、ガルダは悪くないんだ。……ただ、俺、今さっき人間の村の帰り際にキアラちゃんに不意打ち唇を喰らって……また裏技システムにガチガチの『再ロック』を喰らっちまったよ……トホホ)」
俺があまりの精神的即死拷問の絶望のせいで、トカゲ姿のままついポロリと本音の失言を漏らした、まさにそのコンマ数秒の瞬間だった。
ピキィィィィィィン……!!!
ガチの涙目だったガルダのルビーの瞳から一瞬にして光が消滅し、お腹を愛おしそうにさすりながら、最悪のヤンデレ繁殖ハイライトが大点火した!
「フシュ!?(え!? 再ロックされたってことは……マモル、またウチらトカゲ娘に卵を100個産みつけさせないと人間の姿に永久ロック解除できなくなったってことっすよね!?♡)」
シュゥゥゥゥウウウ……ドカン!!!
ガルダは「じゃあ、ササッと今すぐここでウチと交尾するっすよォォォ!!!♡」と、衣服の魔力出力を完全にゼロ(全裸指定)のチェックマークを入れて神速で変身!
まばゆい光のポップアップと共に、【服の概念をすべて光の彼方へ置き去りにした、ありのままの完全なる全裸姿の赤髪ギャル美少女へと大復活してベッドの上で俺に向かって両手を大きく広げてきたのだった!!
「しねえよバカヤローォォォオオオ!!!(※ブチ切れの漆黒トカゲ特大フシュゥゥツッコミ)」
(トビラの大穴から人間の姿の全裸のままベッドの上で待ち構えてんじゃねぇよ火の部族の脳筋ギャル!!!俺は今日だけでリザさんにお買い物サンドバッグにされて全身バキバキの消し炭状態なんだってばァァァ!!!)
俺は2.5mの巨大な質量(黒の王としてのチート筋力)を暴発させ、ベッドの上に全裸で迫ってきたガルダの身体を両前足でガシッ!!!と抱きかかえるなり、今回はトビラなんて衣服オブジェクトは最初から存在しないため、そのままポッカリと空いたトビラの大穴から、廊下のガレキの山へと豪快にノータイムで外へブン投げて完全パージをキメたのだった!
ドササササッ!!!
「きゃあああっ!? マモル様のウチを傷つけないように大穴から廊下へ丁寧にブン投げる最強の野生の男らしさ、最高にマジでリスペクトっすゥゥゥ……ッ!!♡(※ガレキの中でトカゲに戻りながらガチ恋バフ限界突破)」
俺は廊下で悶絶しているヤンデレ火のギャルを無視すると、そのままドスンとベッドへダイブし、毛布に頭まで深くくるまって特大の不貞寝をキメるのだった。
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(次回更新:本日21時20分!)




