第71話 滅国の漆黒魔法と、涙目の黒髪ハッキング実食
「来ないのかい魔王の坊や!? ならこちらから行くよォォォ!!!(※漆黒の瞳のハイライト完全消滅)」
大魔導師アリアちゃんを2日連続でカフェの天井の大根にして病院送りにした、隣国最強のバトルジャンキーこと、リザ・ウェカム。
彼女は、俺(大トカゲ姿)が「勝ったら死体から髪の毛を毟れ」という最悪の暗黒デスマッチの提案にフシュゥゥゥと白目を剥いているのなど1ミリも気にせず、国家壊滅級の暗黒重力弾を両手に練り上げて不気味な森の奥で猛然と突撃してきた。
(来るな来んじゃねぇバカヤローッ!!! 俺は世界最強だけど、ダメージがゼロなだけで【痛いのは普通にめちゃくちゃ嫌なんだよォォォ!!!】)
通常のリザードマンの時点で身体能力は【人間の1,000倍】。さらにその中で最強の王たる俺のチートスペックからすれば、人間の100倍強いアリアのたった3倍程度であるリザさんの暗黒魔法なんて、直撃を喰らおうがウロコにバチバチと電撃が走って「ちょっとクソ痛いだけ」で、HPは1ミリも減らないし俺が負ける要素など100%どこにも存在しない。
だが、自分があまりにも強すぎるがゆえに、いちいちチマチマした『魔力感知(索敵レーダー)』なんて高度な技術を最初から脳内生成カットして生きているリザさんは、目の前の漆黒の大トカゲ(俺)が自分より遥かに格上の化け物だという事実にもこれっぽっちも気付いていないのだ。
俺は短い手足を泥縄に激走させ、リザさんの全力攻撃を必死の形相でパタパタと避けたが、「吹っ飛ばされる前にまずお買い物(髪の毛剥ぎ取り)じゃあ!」と、必死の執念でリザさんの後ろに回り込んで髪の毛を奪おうとした。
死ぬ気で彼女の「背後」をガチッとホールドすることに成功したものの、後ろに立たれた瞬間のリザさんの自動カウンター魔法(暗黒破壊重力波)が、コンマ数秒の猶予もなく俺の巨大なトカゲ脇腹にド直撃した!
ドゴォォォォォォンッ!!!!!
「フシュ、フシュゥゥゥ……ッ!!!(痛ってぇぇぇ!!! ガードの上からでもカウンターの衝撃がガチの怪獣で骨が軋むほどクソ痛てぇんだよバカヤローッ!!!涙)」
俺は背後の大木をへし折りながらガシャーンと吹っ飛んだ。すると、俺の漆黒の質量を綺麗に地面へめり込ませたリザさんは、驚いてつぶらな瞳を丸くした。
「ありゃ……? あんた、本当に頑丈だねぇ! 今の私、一国家の精鋭騎士団を更地にするレベルで【本気で全力の暗黒魔法を当てた】んだけど、ウロコ1枚剥がれてないじゃないの! ナニコレ最高に楽しいねぇぇぇ!!!♡」
(本気で国を滅ぼすレベルの魔法を俺の脇腹に直撃させてんじゃねぇよバカヤローッ!!! 死なないけど地味にガチでクソ痛いんだってばァァァ!!!)
大興奮したリザさんは「最高だよマモルくん! もっと滾らせておくれよォォォ!!!♡」と、完全にスイッチが入って笑顔で怒涛の追い打ち(漆黒連撃)を仕掛けてきた!
ドガガガガガガバキィィィン!!!
(痛い痛い痛い! 痛ってぇぇぇ!!! 死なないけどガチで涙目になるくらい痛ぇんだよ還暦バトルジャンキーおばあちゃん!!!)
俺は森の中に涙目の絶叫フシュゥゥ声を響かせながら、世界最強の耐久力のせいで、リザさんの国家壊滅級の暗黒拳を「ただひたすら痛い思いをしながら全身で受け止め続ける」という、理不尽すぎるサンドバッグ地獄に陥った。
「あはははは!!! 私の全力の暗黒連撃をここまでノーダメージで耐えきったやつは、前世から数えて人生で初めてだよおぉぉぉ!!!♡(※還暦オーバーの大歓喜)」
「いい加減にしろォォォオオオ!!!(※疲労と痛みの限界での黒の王の咆哮)」
俺は1,000倍パワーのチート筋力を一瞬だけ解放し、突撃してきたリザさんの猛襲を真っ真っ正面からパチーンとハエ叩きばりに強引に受け流すと、死ぬ気で彼女の後頭部の背後へ回り込み、その黒髪ロングに前足の爪をハッキングさせて「髪の毛1本」を極秘で隠密剥ぎ取りすることに成功した!
だが、後ろに立たれた瞬間のリザさんの下半身自動カウンター(空中反転ローリングソバット)がノー猶予で俺の顔面に炸裂し、俺は再びガレキの山へとドカンと豪快に吹っ飛んで強打した。
「フフフシュゥゥゥ……ッ!!!(痛ってぇぇぇ!!! 2日連続でアリアちゃんが天井のゴミにされたローリングソバット、直撃で喰らうと脳細胞がロック解除されるほどクソ痛てぇわ!!!)」
俺が涙目を流しながら、自分のトカゲの短い前手の爪を何気なく見つめると――。
ピキィィィィィィン……!!!
ゴツゴツした黒い前足の爪の隙間に、【リザさんの黒髪が、芸術的に『1本だけ』ガチガチに絡みついてドロップ(残留)している】のを俺は看破した!
(よっしゃァァァ!!! クソ痛い思いをさせられたけど、髪の毛1本の極秘回収に完璧に大勝利じゃねぇかバカヤローーッ!!!)
俺は大集落の森のガレキの中で、大トカゲ姿(黒の王本体)のまま、その黒髪をペロッ……と恍惚の表情で口の中へイン(実食ハッキング)した!
それを真っ正面から直撃で目撃したリザ(中身還暦超えおばあちゃん)の表情から、一瞬にして戦闘狂のハイライトが完全消滅し、本物の変態を見る目で後退りした。
「う、うわあ……。あんた、私がカウンターをブッ放した瞬間に何をしたのかと思えば……ボクの髪の毛を涙目を流しながら恍惚の表情でペロッて本当に口に入れて食べてるよ……。いくらこの身体がピチピチの18歳だからって、さすがにその性癖はガチで寒気がするねぇ……」
――シャキィィィィィィン(※脳内に直接鳴り響く、世界最高神ココアの神聖なシステムメッセージ音)。
『おめでとうマモルくん! リザちゃんの髪の毛の実食ハッキングを確認したよ!♡ これでキアラちゃんとの【うっかりキスしたら1日目からカウントリセット呪い】のシステムエラーは上書きされて綺麗に初期化完了だよっ!♡
これでもう一度、トカゲ姿のままキアラちゃんにキスをさせれば人間に完全復活できる裏技が使えるようになったけど……人間の姿のまままたキスされたら再ロックだから、今度は本当に気をつけてねっ!♡』
「……ま、まあ、あんたがボクの髪の毛を食べる変態で満足したならそれでいいさ(※顔面滝の汗)。じゃあ、今度はボクを満足させておくれよ魔王の坊やァァァ!!! さあ、3戦目の決着を――」
( 素材をハッキング回収した以上、お前にもう用はねぇんだよバカヤローッ!!! )
俺は1,000倍パワーの王のチート筋力を今度こそ完全暴発させ、突撃してきたリザさんの身体を正面から両前足でガシッ!!!と抱きかかえるなり、
「フシュゥゥゥーーーーーッッッ!!!!(※お買い物が終わったから、隣の国の方向へ、2度目の特大ホームラン物理パージィィィ!!!)」
ブォォォンッ!!! ドゴォォォォォォンッ!!!!!
俺はリザさんの華奢な身体を、国境の向こうの隣国の方向へ向けて、夜空の流星ばりに音速の彼方まで豪快に2度目の特大ホームランをキメて吹っ飛ばした!
「あ、あはははは! やっぱりあんた最高に強くてワイルドじゃないのォォォ!!! ボクこれでお腹いっぱい大満足だよぉぉぉ!!! また絶対モフモフしにくるねぇぇぇ……♡(※キラリと星になる音)」
リザさんが大満足の笑顔でお散歩終わりのように去っていき、しんと静まり返った森の奥。
俺は素材(髪の毛)のハッキング成功というこれ以上ないほどの完全無敵の天国状態(大勝利バフ)を脳内に噛み締めながら、涙目のまま、大集落へと帰路につくのだった。
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(次回更新:明日12時20分!)




