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第67話 還暦超えの自動カウンターと、涙目の黒髪ハッキング実食

(よし、今日の夜の最後の変身枠を使って、キアラちゃんとの夜デートへ行くぞ……っ!)


日付が変わってストックされた、本日分『2回目』の、今日最後となる貴重な3時間擬態枠を発動する、まさにその直前のことだ。

俺(大トカゲ姿)が気合を入れてリザードマンの大集落の自室から出ようとしたその時、壊れたトビラの大穴から、ガタバシッとガレキを踏みしめる不穏な足音と共に、一人の黒髪ロングの美少女がぬっと現れた。


「いやぁ〜、今朝は最高に痺れる物理パージをありがとうねぇ。あまりにも気持ちよく隣の国まで吹っ飛んじゃったから、私、嬉しくなってマッハの速度でこの大集落(トカゲ村)まで自力で這い上がって帰還して、リターンマッチにきちゃったよ!♡」


「フシュ、フシュゥゥゥーーーッ!?(さっきのカフェで嫌な予感はしていたけど、やっぱりまた来やがったなバトルジャンキーおばあちゃん!!!)」


俺の漆黒のトカゲ脳細胞(中身高校生)がパニックを起こすなかで、俺の脳が高速のソロバン勘定を弾いた。


(待てよ!? アイツが自らここに突撃してきたってことは……ココアの言っていた【人間の姿のままキスした世界のシステムロックを初期化するための、隣国の黒の属性の髪の毛(素材)】を、今度こそ直接ドロップ(剥ぎ取り)できる千載一遇の特大ボーナスチャンスじゃねぇかッッッ!!!

だけど、今ここでアイツとタイマンのモフモフ殺し合い魔法戦なんか始めたら、人間の村のカフェで待ってるキアラちゃんの夜デートに大遅刻して、今夜こそ浮気確定の最大出力の地魔法で存在を更地消毒されるじゃねぇか!!!)


「フフフシュ(ごめんリザさん、俺、今からキアラちゃんとの命がけの夜デートで超大急ぎ中だから、タイマンはまた今度にしてねっ!)」

俺は短い前足をパタパタさせて敗走を試みたが、リザ(中身還暦超え)の漆黒の瞳がギランと獰猛に輝いた。


「逃げるのかい? 面白いじゃないの! 私のトカゲ大歓迎な爬虫類レーダーからは、世界の果てまで逃げられないよォォォ!!!(※全力の暗黒破壊魔法起動)」


逃げ道を塞がれ、やむを得ず大トカゲ姿のまま応戦する俺!

だが、俺はさっきアリアちゃんが給水器の前で吹っ飛ばされた大お通夜の教訓を完璧に活かしていた。


(ただ応戦するんじゃねぇ! 今回の最優先目標は、アイツの身体をホームランする前に、まずは後ろ髪に爪をハッキングさせて【髪の毛1本】を極秘で隠密剥ぎ取りすることだァァァ!!!)


俺はトカゲの短い手足を泥縄にバタつかせ、リザさんの凄まじい破壊魔法の死角をすり抜けて、死ぬ気で彼女の背後をガチッとホールドすることに成功した!


だが、背後に立たれた瞬間に発動するリザさんのクソ仕様な自動迎撃魔法――『暗黒破壊重力波』が、コンマ数秒の猶予すらなく、俺の漆黒の巨体へダイレクトにブッ放された!


ドゴォォォォォォンッ!!!!!


「フシュ、フシュゥゥゥ……ッ!!!(痛ってぇぇぇ!!! さすがアリアちゃんの3倍強いおばあちゃん、自動カウンターのキレ味がガチの怪獣で骨が軋むわ!!!)」


俺は自室の前の壁に向かって豪快に人間砲弾として吹っ飛んでいき、ガシャーンと背中を強打した。

すると、俺の漆黒の質量を綺麗に壁へめり込ませたリザさんは、両手をポンポンと叩いて衣服の煤を払うと、これ以上ないほど爽快でサバサバとした笑顔を浮かべた。


「あー、スッキリした! 私、一汗かいて大満足だから、んじゃまたねー!♡(※お散歩終わりのような超軽快な挨拶)」


(人の部屋を2日連続で大爆破しておいて、一汗かいてスッキリしたからって現地のジム帰りみたいなノリで定時退社してんじゃねぇよバトルジャンキーおばあちゃんのバカヤローッ!!!(※壁にめり込みながらの涙目の特大絶叫ツッコミ))


リザさんは満足そうにフフッと笑うと、おばあちゃん特有の恐ろしいフットワークの軽さで、夜の市場の闇へと逃げるようにサササッと直帰していった。


リザさんの姿が完全に見えなくなり、大集落に静寂が戻った、その数秒後。

俺が涙目を流しながら、自分のトカゲの短い前手の爪を何気なく見つめた、その瞬間だった。


ピキィィィィィィン……!!!


ゴツゴツした黒い前足の爪の隙間に、【リザさんの黒髪ロングの黒い髪の毛が、芸術的に『1本だけ』ガチガチに絡みついてドロップ(残留)している】のを俺は看破した!


(よっしゃァァァ!!! 吹っ飛んだ(完敗した)けど、アイツの自動カウンターを浴びる寸前のコンマ数秒の指先ハッキングで、人間に戻るための【黒の属性の髪の毛1本】の極秘回収に完璧に大勝利じゃねぇか!!!)


俺は大集落の廊下のガレキの山の中で、大トカゲ姿(黒の王本体)のまま、漆黒のウロコ前足の爪を涙目で凝視しながら、その髪の毛をペロッ……と恍惚の表情で口の中へイン(実食)した。


騒ぎを聞きつけて集まってきた周りのリザードマンたちから見れば、「うわあああ! 王(マモル様)が、黒髪美少女にホームランされた直後に、ガレキの床で彼女の髪の毛を『ペロッ♡(※国宝級の変態の絵面)』って美味そうに実食されてる……ッ!!! 覇気が完全にバグって不衛生なサバトを開かれてるぞォォォ!!!」 と、リザードマン一族が恐怖でドン引きして泡を吹くおバカすぎる絵面。


――シャキィィィィィィン(※脳内に直接鳴り響く、世界最高神ココアの神聖なシステムメッセージ音)。


『おめでとうマモルくん! 隣国の【黒】の人間の素材の髪の毛の実食ハッキングを確認したよ!♡ これでキアラちゃんと人間の姿のままキスしちゃった世界のシステムエラーは上書き初期化リセット完了だよっ!♡

これでもう一度、トカゲ姿(本体)のままキアラちゃんにキスをさせれば、いつでも人間の肉体に完全大復活できる裏技(システム解除)が使えるようになったからねっ!♡』


(ココアァァァ!!! 髪の毛美味しくねぇけど、初期化成功キターーーッ!!!

よっしゃ出陣だキアラちゃん!! 今夜の俺は素材フルチャージの完全無敵のホワイト常識人マモルさんだ、いくらでも好きなだけおねだりに来やがれ!!!)


俺は大トカゲ姿のままガレキの中からガタバシッと立ち上がると、本日『2回目』の最後の3時間擬態魔法を発動させ、髪の毛1本で呪いを完全ハッキング解除した無敵の人間の姿にポップアップして、夜の村の街道へと全力の隠密ダッシュで爆走(出陣)を開始するのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:本日21時20分!)

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