第63話 トビラ新調の12時間寿命と、隣国からの人間砲弾テロ
俺が人間の姿のままキアラちゃんに3日連続の不意打ちキスを喰らって『1日目』へと無慈悲にカウントリセットさせられ、部屋に戻ってまだ人間姿だったエルシエラを新調トビラを傷つけないようにズルズルと外へ引きずり出して2度目の物理パージをキメて不貞寝した、あの怒涛の夜から明けた、翌日の早朝。
俺(大トカゲ姿)は、自分の部屋の入り口にバチッとハメ込まれている、リザードマンの大工たちが俺のために汗を流して必死に直してくれた【出来立てホヤホヤのピカピカの新しいトビラ】を眺めていた。
(はぁ……3日連続のスピードリセマラ(お預けカウントリセット)に血涙を流したけど…… でも、トカゲ大工たちが直してくれたこの新しいトビラだけは、俺が昨夜エルシエラをズルズル外へパージしたおかげで無傷だぜ!よし、今日こそこのトビラを閉めて、100日耐久レースを1日目から仕切り直すぞ……)
俺が短い前足で「カチャッ」と新調されたばかりのトビラを閉めて鍵をロックした、まさにそのコンマ数秒の瞬間だった。
ドゴォォォォォォンッ!!!!!
「ひえええええええ!?!?(※アリアちゃんの涙目の絶叫)」
突如、不気味な森の彼方(隣国の方向)から、紫色の暗黒雷撃の魔力を尻からブッ放した【大魔導師アリアちゃんの肉体(人間砲弾)】が、音速のスピードで大集落の広場を突き抜けて俺の部屋へと真っ直ぐ飛来してきた!
バガァァァァァン!!!!
せっかく直ってまだ【12時間】しか経っていないピカピカの新しいトビラに、外側からアリアちゃんの頭が弾丸のようにド直撃し、トビラは家臣たちの涙の努力のガレキごと再び跡形もなく粉々に粉砕されたのである。
「フシュゥゥゥーーーッ!!!(アリアちゃんのバカヤローッ!!!職人たちの涙の残業大工作業を、人間砲弾として吹っ飛んできて2秒でゴミにしてんじゃねぇよー!!!)」
俺が漆黒のウロコを逆立ててキレ散らかすと、トビラのガレキの山の中に頭から突き刺さって白目を剥いていたアリアちゃんが、ガタガタ震えながら涙目でボロボロと起き上がってきた。
「ひ、ひぃぃぃ! マモル様ァァァ!!! 隣の国のあの【黒】の属性のチート人間に『魔王様へのお使い(※髪の毛毟り)』を頼まれて極秘でタイマン勝負を仕掛けたんですけど……っ!ごめんなさいマモル様、やっぱりボクじゃ、あの『黒の天災』には全然敵わなかったよぉぉぉ!!!(※白目を剥いて泡を吹いてガチ気絶)」
俺の人間姿の脳細胞(中身高校生)が、あまりのタイムラインのバグっぷりに大音量でブチ切れた。
「いや、髪の毛をもらってきて(お使い)って頼んだだけなのに、何で隣の国でその化け物を相手に命がけのタイマン勝負をガチで仕掛けて返り討ちに遭ってんだよアリアちゃんのバカヤローッ!!!(※涙目の特大フシュゥゥツッコミ)」
俺がコンビニの買い出し感覚で頼んだ素材剥ぎ取りを、国家予算規模のデスゲームに勝手に超進化させて玉砕したアリアちゃんがその場にドスンと倒れ伏した、次の瞬間だった。
粉砕されてもうもうと煙が立ち込めるトビラの大穴の向こうから、フフッ♡と、これ以上ないほど不敵でサバサバとした、最高に強者の余裕に満ち溢れた美しい笑い声が響き渡った。
煙をかき分けて、何食わぬ顔で俺の部屋へと優雅に不法侵入してきたのは――。
闇を吸い込んだような漆黒の瞳に、艶やかな黒髪ロングをなびかせた、隣国最強のバトルジャンキー(戦闘狂)と恐れられる【黒】の属性の超絶美少女だった。
彼女は自分の放った暗黒カウンター魔法で吹っ飛んでいったアリアちゃんを空間転移魔力で平然と追跡し、俺の自室のガレキの真ん中に立つと、巨大な俺の姿(黒の王本体)をじっと見つめて、不敵にニィッと笑ってみせた。
「あら……。アリアが泣きながら『マモル様がお怒りになるぅぅ!』って私の髪の毛を毟ろうとしてきたから、どんなおぞましい化け物が親玉なのかと思えば――」
黒髪ロングの美少女は、大トカゲの俺の姿を上から下まで網膜に直撃させるなり、それまでの攻撃的な表情を一瞬にして完全に消し炭にさせ、顔面をこれ以上ないほど大赤面(限界オタク化)させて漆黒の瞳をギラギランに輝かせた。
「――ちょっと待ちなさいよ。ナニコレ最高にワイルドでカッコいい超理想の巨大トカゲじゃないのォォォ!!!」
(は?)
黒髪美少女は、アリアちゃんをワンパンで殴り飛ばした世界のバランスを崩壊させている天災のはずなのに、俺の漆黒のゴツゴツしたウロコ肌や逞しいツノを見るなり、獰猛な肉食獣のような眼光で、ベッドの上の俺に向かって両手を広げてじりじりと距離を詰めてきた。
「私、前世の日本にいた頃から爬虫類が大好きでねぇ!お前が黒の王かい。いい面構え(トカゲ面)だねぇ!さあ……どっちの魔力が上書きされるか、今すぐここでタイマンの命がけのモフモフを全力で執行いたしましょうじゃないかァァァ!!!♡(※暗黒破壊魔法バチバチ)」
(髪の毛か切った爪をコンビニ感覚で毟り取ってこいって相談しただけなのに、なんで隣国の世界最強の『トカゲ大歓迎な戦闘狂の美少女』が、アリアちゃんを人間砲弾にして自力で俺の部屋に不法侵入してきてんだよ!!!(※特大の精神的即死ダメージ))
キアラちゃんとのキスお預け100日耐久レースを1日目からやり直すはずのタイムラインの防衛線が、アリアちゃんのお使い大失敗テロのせいで朝一番から過去最も凶悪な『SSS級チート転生者タイマンモフモフデッドゲーム』へと大爆発し、俺のお買い物隠密スローライフは、もはや誰もコントロールできない新章幕開けの超カオスな日常へと、容赦なく突き進んでいくのだった。
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(次回更新:明日12時20分!)




