第60話 お姉さんの生々しすぎる朝帰り爆弾と、お預け2日目のヤケクソ高速リセマラ
「はぁ……はぁ……ッ!!! クソ、泥沼の中に丸一日中潜水して、やっとの思いで全裸の怪獣どもの拉致包囲網から逃げ切ったぞ!!!(※涙目の特大フシュゥゥ)」
翌日の朝――。
すべての魔力を産卵に全振りしたココアの安産多産バフを浴び、確信犯で全裸指定のチェックマークを入れて人間の姿にポップアップ化し、森の木々をなぎ倒しながらマッハの速度で追いかけてきたエルシエラたち5頭のヤンデレ美少女の猛襲 。
俺はトカゲ大嫌いなはずの自分のアイデンティティを泥縄にへし折り、一族の生臭いドブ川(泥沼)の底へとザブーンと丸一日中潜水ステルスをキメることで、なんとか命の貞操を守り抜くことに成功していたのだった。
だが、本来の姿のまま夜通し泥水をすすりながら逃げ回ったせいで、俺はキアラちゃんとの昨日のデートを1日中完全にすっぽかしてしまっていた。
そして、太陽が完全に昇りきった、今日のランチタイム。
なんとか大集落を脱出し、本日『1回目』の擬態魔法を発動して人間の姿にポップアップした俺は、全身の骨がバキバキに軋み、目の下に真っ黒なクマを作った【完全な死にかけの満身創痍状態】で、這うようにしていつもの村のカフェのテラス席へと現れていた。
「マモルさん、昨日は一体どうしたんですの……!? ――って、お待ちになって、そのお姿、全身ボロボロで衣服も乱れて、腰も使い果たしたようにフラフラではございませんかァァァーーーッ!!!(※特大のパニック)」
テラス席で待っていてくれたキアラちゃんが、俺の死にかけの絵面を見るなり、ルビーの瞳をカッと見開いてガタバシッと立ち上がった。
普通の可愛い女の子なら「約束をすっぽかされて別の泥棒猫と浮気していた」と疑って怒るところだろう。だが、ツッコミ役のアリアちゃん(隣国へ隠密出張中)が不在のせいでブレーキの完全に壊れたキアラちゃんのヤンデレ脳は、最高に筋の通った『最恐の大勘違い』を秒速で弾き出していた。
「……やはりそうですわ、全てが繋がりましたわ!! 一一昨日の夜、マモルさんは私を呪いから守るために冷たい麦茶のエンドレスおもてなしで体内の拒絶反応の熱と一人で孤独に戦ってくださっていましたわよね……!そんなマモルさんが昨日丸一日私の前に現れなかったということは、熱がギガマックスに達して、ご自分の部屋のベッドで高熱を出して寂しく寝込んで(※ただのトカゲ泥沼逃走劇)いらっしゃったに違いありませんわァァァーーーッ!!!」
(呪いの熱で寝込んでたわけじゃなくて、俺の貞操を守るために、全裸美少女5頭に24時間物理的に押し潰されてドブ川で溺れてただけなんだよキアラちゃん!!!あと『深い愛の必死の看病説』を勝手に脳内でカチッとロックしてカバンから不衛生トカゲ消毒用の地魔法陣の魔導セットをガチガチ並べ立てて実家へお持ち帰り監禁しようとするんじゃねぇよ!!!)
「あ、あはは、キアラちゃん落ち着いて! 料理のサプライズ(オムレツ)の準備に熱中しすぎてちょっと疲れただけだから、実家での24時間つきっきり監禁看病は本当に大丈夫だからねっ!」
俺が手の甲にトカゲのウロコ(部分エラー)が出るのを必死に抑え込みながら、引きつったイケメン笑顔で泥縄の言い訳(大嘘)を並べ立てていた、まさにその数秒後だった。
カフェのテラス席のすぐ真後ろの闇から、琥珀色の髪をゆるく三つ編みにした豊満ボディの人間姿のデメトが、お買い物袋を片手に、これ以上ないほど上品で優しいバブみ全開の笑顔でぬっと現れた。
「あらマモルくん、こんなところにいたんだ? 昨日は最高に楽しかったわねぇ。今日はちょっと部族の用事があるからもう先に帰るけど、また今夜、ベッドの上でたっぷり楽しみましょうねぇ♡(※ただの泥沼チェイスの感想と今夜の卵20個産みつけ残業予告)」
ピキィィィィィィン……!!!
(お前、よりによってそんなガチの濃厚な朝帰りの浮気(事後)にしか聞こえねぇ最悪の大爆弾発言を笑顔で平然とゲロって帰るんじゃねぇよデメトのバカヤローッ!!!(※魂の絶塊ツッコミ))
デメトが「じゃあねぇ♡」と優雅に去っていった瞬間、テーブルの対面にいたキアラちゃんのルビーの瞳から、一瞬にして光が完全消滅した。キアラちゃんが静かに杖を床にコツンと突いた瞬間、カフェのテラス席の周囲の地盤が物理的にドカンと数センチ沈下し、夜のテーブルの上にあったカボチャスープの皿が、パキパキと重力波で粉砕されてペシャンコに潰れていく。
「……あら? マモルさん、今、何とおっしゃいましたの……?私のために高熱で寝込んでいたはずのマモルさんが、何故その泥棒猫お姉さんと【昨日丸一日、何がそんなに楽しかったのかしらァァァ……?】しかも、今夜もベッドの上でたっぷり楽しむだなんて……一体、マモルさんのそのボロボロの腰で、私に内緒でどんな破廉恥な浮気を執行されるおつもりですの……?(※ヤンデレ覇気・第二宇宙速度で大点火)」
キアラちゃんは杖をガチガチと鳴らし、俺の鼻面に最大出力の地魔法の魔法陣をバチバチバチッと大展開させ、ガチの殺意の重力波を放ち始めた。
(あかん、言い訳の限界だ!!! オムレツのデリバリー食材の言い訳の次は、5人がかりで上になり下になり骨が軋むほど激しく絡み合ってた浮気疑惑をどうやってイケメンな大嘘で上書きしろって言うんだよバカヤローッ!!!)
俺はキアラちゃんの誤解による物理的消滅の恐怖で一瞬にして白目を剥くなかで、脳内でカチカチと減っていく変身時間と、ココアから突きつけられた「うっかり人間のままキスしたら1日目からカウントリセット」という絶対ルールを思い浮かべ、極限の1秒のなかで非情なヤケクソソロバン勘定を弾き出した。
(……待てよ? ココアの言っていた新ルールは、人間の姿のままキスされたら『1日目から最初からやり直し』だったよな……?ってことは、俺、昨日デートを丸一日すっぽかして泥沼に潜水してたから……今日もまだ【お預け2日目の最初の昼】だから……今ここでキアラちゃんにキスをされて1日目にリセットされたとしても、失う我慢日数は【わずか1日分】じゃねぇか!!!)
「……分かったよ、キアラちゃん。これが俺の、愛の証明ね」
俺は引きつったイケメン笑顔のまま、腹を括って、殺意の重力波を放ちながらジリジリと迫るキアラちゃんの甘い唇に自ら、テラス席の真っ正面から濃厚な『3回目のフライングキス(2日連続の人間姿のままのキス)』を真っ向から交わしてしまうのだった。
柔らかくて甘い、女の子の唇の感触(※ただし2日連続のスピードリセマラ)。
(うわあああ大歓喜だけど、最高にご褒美ラッキースケベだけど、100日間キスを我慢しようと硬く誓ったまさにその翌日に、2日連続で秒速カウントリセット(1日目リセマラ)をキメる俺のこの意志の弱さ不甲斐なさよォォォオオオ!!!(※心の中で大号泣の血涙)
アリアちゃん!! 早く隣の国から3倍チート怪物の髪の毛を毟り取って帰ってきてくれねぇと、俺、明日からも毎日キアラちゃんに怪しまれるたびに押し切られて、一生永遠に『1日目』をループするハメになって永遠にガチトカゲのまま飼育監禁されるぞォォォオオオ!!!涙)
キアラちゃんが「はふぅ……♡ マモルさん、最高の愛の朝帰り証明(ちゅっ♡)ですわ……♡」と幸せそうに抱きついてくる横で、マモルさんが白目を剥いて(明日からまた1日目の麦茶ガードやり直しだわ……)と心が精神的即死をキメる、もはや誰もコントロールできない超泥縄ループへと、容赦なく突き進んでいくのだった。
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(次回更新:本日18時40分!)




