第56話 卵100個のノルマ分担と、大集落のジュラシック・産卵サバト
「……マモル様。昨日は本当に、申し訳ございませんでした……。わたくし、一族の長として、大変な不手際を仕切ってしまいましたわ……(※ガチのトカゲ涙目)」
あの宿屋のトビラ大爆破からキアラちゃんによる夜の濃厚証明口づけ(1日目スピードリセマラ)、そして自室のベッドの上の白竜占拠事件から明けた、翌日の早朝。
日付が変わって本来の2.5m級のゴツゴツした白いトカゲ姿(白竜)に戻ったまま目を覚ましたエルシエラが、上品に長い首を垂れて大真面目に謝罪の重低音ボイスを響かせてきた。
(ああ、昨日の夜、カフェのテラス席でキアラちゃんの目の前で一番バラしちゃいけない絶倫産卵の密約をゲロってハルマゲドンを起こした件を反省してくれてるんだな……。ま、キアラちゃんの件ならその後なんとかサプライズオムレツの言い訳(大嘘)で誤魔化せたし、キスされて1日目にリセットされたけど命の皮は繋がったから大丈夫だよ)
「フシュ、フシュゥ(あ、いや、キアラちゃんの件ならなんとか誤魔化せたから大丈夫だよ)」
俺が大トカゲ姿(重低音フシュゥゥゥ)のまま、不器用に前足をパタパタさせてエルシエラを許してやろうとした、その数秒後だった。
エルシエラ様は不思議そうにつぶらな瞳をパチパチさせると、長い尻尾をベッドの上にペチペチと叩きつけた。
「え? キアラ様への暴露の件ですの? いえ、そんな些細なことではなく……わたくし、お部屋のベッドで冷静に一族の繁殖シミュレーションを魔導計算し直してみたのですが、リザードマンの仕様上、わたくし【1頭だけで卵を100個も産み落とすのは物理的に不可能】だと今更ながら気付きましたの……(※ガチの猛省)」
「フシュゥゥゥーーーッ!!!(※そんなことって何だァァァ!!! カフェ大爆破の危機を『些細なこと』で片付けるんじゃねぇよバカヤローッ!!! っていうか卵100個の絶倫残業の件は今すぐ脳内から抹殺して永久に忘れろォォォ!!!)」
俺の魂の絶叫フシュゥゥツッコミを、エルシエラは「マモル様が朝からお元気で愛おしいわ♡」とおっとりスルーし、ドヤ顔(トカゲ面)のまま続けた。
「ですが、安心してくださいましマモル様。1頭で20個くらいなら、火事場の馬鹿力(産卵バフ)で何とか産み落とすことが可能ですわ。……ですので、残りの80個のノルマを補うために、すでに一族の優秀なメスたちを、このお部屋のトビラの大穴の前に一斉招集しておきましたの♡」
「え?」
俺がブチ壊されっぱなしのトビラの大穴(防犯性ゼロ)へと視線を向けた、その瞬間だった!
「――マモルゥゥゥ!!! ココア様から直々に【5頭で20個ずつ卵を産めば、魔王様の永久ロックが解除される】っていう、公式の産卵おもてなし大義名分(仕様)が出たってエルシエラから聞いたわ!!!♡」
ドガガガガガガガガガッ!!!
トビラの大穴から、人間の姿ではなく、2.5m級の本来のゴツゴツした怪獣姿に戻った、ゼフィラ(風)、ガルダ(火)、デメト(土)、ネレイダ(水)の4頭が、野生の筋力を全開にして部屋の中へと凄まじい地鳴りを立てて不法侵入(雪崩)してきた!
「マモルのためなら、アタシも20個死ぬ気で産んでやるわよッ! さあベッドへ行くわよッ!!(ゼフィラ・風)」
「マモルをお救いするため(※ベッドへの突撃権)なら、アタシの火の部族の根性で20個なんて秒速で産み落としてみせるっすよ!!♡(ガルダ・火)」
「あらあら、マモルくん照れちゃって。男の子の初めての繁殖サバト(残業)は……お姉さんたち4頭が、こうやって優しくリードしてあげるからねぇ♡(デメト・土)」
「マモル……やっと他の邪魔者のいない、トカゲの姿のままの、本当の『二人きり(※5頭)』の密室サバトになれましたね……。一生離しませんよ……(ネレイダ・水)」
部屋の中に2.5m級のゴツゴツした漆黒(俺)、白、緑などの巨大な怪獣が計6頭も大集結し、部屋の壁や床が質量だけでギチギチと軋みを上げて大バグを起こしている。
ココアの狂ったトカゲ超理論のせいで、完璧な「既成事実強奪のバフ」を脳内にかけまくったトカゲ美少女たちが、今まで以上の凄まじい野生の力(物理ハグ)で、大トカゲの俺のウロコ肌にギチギチと擦り寄って愛を叫んできた。
(お前ら、本音はアリアちゃんのハッキング作戦が失敗して俺が一生ガチトカゲ(本体)のままになったのを『人間の泥棒猫に取られなくて最高♡』って内心大喜びしてるクセに、ココアの大義名分に便乗してどさくさに紛れて俺との既成事実(産卵)を全力で執行しようとしてんじゃねぇよ!!!
エルシエラのバカが余計な連立方程式(分担ハッキング)を解いたせいで、俺のスローライフが、朝一番から5頭の怪獣に部屋の中でマウント取られて押しつぶされる、過去最も激しい『全力拒絶・逃走デスゲーム』に強制アップデートされちまったぞォォォオオオ!!!)
「フシュ、フシュゥゥゥーーーッ!!!(誰が産ませるかバカヤローッ!!! 全員まとめて今すぐ部屋から出て行けェェェ!!!)」
俺はトカゲの短い手足でベッドから転がり落ちると、部屋の窓からリザードマンの大集落の広場へ向かって命からがらダッシュで大敗走をキメた。
アリアちゃんが隣の国で「魔王様の暗殺命令(※ただの軽いお使い)を果たさなきゃ世界が滅ぼされるぅぅ!涙」と命がけの単独テロに挑んでいる裏で、俺は大集落の広場を5頭の巨大トカゲ娘たちに「マモル様ァァァーーーッ!♡(※凄まじい地鳴り)」と地響きを立てて追いかけ回されながら、もはや誰もコントロールできない『ジュラシック・産卵大戦』の戦火のなかを、涙目でひたすら爆走し続けるのだった。
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(次回更新:本日21時20分!)




