第54話 言ってるそばからの秘密暴露と、ヤンデレ挟み撃ちハルマゲドン
「マモルさん、聞いてください。今日のわたくしの12時間変身制限時間が残り少なくなっていますの」
夜のカフェのテラス席に、フライング乱入(ストーキング不法侵入)してきたエルシエラは、ルビーの瞳のハイライトを完全に消滅させ、満面の聖女の微笑みを浮かべたまま、俺に向かって上品に両手を広げてじりじりと距離を詰めてきた。
「マモル様は、トカゲ(白竜姿)のわたくしよりも、こちらの【人間の姿】の方がお好みですわよね?ですから、わたくしの変身制限時間が完全に切れて本来のゴツゴツした白竜姿に戻ってしまう前に、今すぐリザードマンの大集落の我が家のベッドへ一緒に帰って、神聖なる卵100個の交尾を全力で執行いたしましょうねぇ……ッ!!♡(※お盆の親戚の集まり並みに上品な顔でのガチ襲撃)」
(やるわけねぇだろバカヤローッ!!! お前、見た目はどんなに完璧な銀髪の超絶美少女に変身していようが、中身は人間の2倍近い質量を誇るガチの怪獣(白竜)じゃねぇかァァァ!!!
俺は大の爬虫類嫌いなんだってば!! 誰がカフェからお前の家に場所を移してまで、中身怪獣のヤンデレ聖女と、オスとしての尊厳を消し炭にするような絶倫産卵の強制深夜残業に付き合うかよ!!!それに俺は、大好きなキアラちゃんを裏切って浮気なんて絶対しねえ!!!)
俺がピュアな貞操観念とガチトカゲアンチ感情を大爆発させて心の中で大拒絶を叫んでいる真ん前で、俺の一秒の猶予もない魂のツッコミが物理的な絶叫となって炸裂した。
「執行するわけねぇだろバカヤローッ!!!
っていうかエルシエラお前、さっき昼間に光の神殿に乱入してきた時は、ドヤ顔で『キアラ様には、この卵100個のことは絶対に内緒にしておきますわ♡』って大真面目に言っていたじゃねぇか!!!
なんで本人の目の前に現れた瞬間に、言ってるそばから一番バラしちゃいけない絶倫産卵の密約を自分からフルオープンでゲロってんだよ!!!(涙目の特大絶叫)」
俺がエルシエラの秒速の裏切り(大自爆)にキレ散らかした、その瞬間だった。
ピキィィィィィィン……!!!
エルシエラを直撃で睨みつけていたキアラちゃんのルビーの瞳から、一瞬にして光が完全消滅し、周囲からこれまでの人生で一度も体感したことのない【本物の暗黒ヤンデレ覇気】がドバドバと濁流のように噴き出し始めた。
キアラちゃんが静かに最新の特注杖を床にコツンと突いた瞬間、カフェのテラス席の周囲の重力が狂ったように数倍へと跳ね上がり、夜のテーブルの上にあったパセリの皿や空の麦茶ピッチャーが、パキパキと嫌な音を立てて物理的に粉砕されて自重でペシャンコに潰れていく。
「……あら? マモルさん、今、何とおっしゃいましたの……? そのマモルさんを拉致監禁していた主犯の銀髪泥棒猫と、マモルさんの間で交わされていた……『私には絶対に内緒にしておくべき、夜のベッドでの卵100個の破廉恥な交尾』とは、一体何のことですの……?(※ヤンデレレーダー第二宇宙速度で大点火)」
キアラちゃんは杖をガチガチと鳴らし、俺とエルシエラの2人を交互にロックオンしながら、人間の村を更地(焦土)にするレベルの最大出力の地魔法の魔力をバチバチバチッと大展開させ、ガチの殺意の重力波を放ち始めた。
(近い近い近い!!! 浮気を疑われるようなやましいことは1ミリもしてねぇのに、エルシエラのバカの自爆発言のせいで最悪のハルマゲドンが勃発しちまったじゃねぇか!!!
アリアちゃん(ツッコミ役)が隣国へ隠密出張に行って不在のせいで、このキアラちゃんの暴走を止めるストッパーが誰もいねぇんだよォォォ!!!)
俺がキアラちゃんの誤解による物理的消滅の恐怖で一瞬にして白目を剥くなかで、エルシエラはそんなキアラちゃんの更地化魔法陣など1ミリも気にする風もなく、首筋を上品に傾げて見せた。
ピキピキ……ッ!
「あら……。マモル様、大変ですわ。人間の姿のまま執行いたしましょうと言ったそばから、本当にわたくしの12時間変身魔力の寿命が尽きかけているようで、今、骨格の奥で白竜の筋肉がピキピキと大暴れし始めていますの。もし今ここで擬態が強制解除されてしまえば、大変なことになりますわ……♡ さあ、早く一緒に大集落へ連れ帰って、ベッドの上でわたくしを優しく産卵(※大違い)させてロックを解除してくださいましね……っ!!♡」
「12時間の大容量変身バッテリーをそんなストーキングと自爆暴露のために使い果たしてんじゃねぇよバカヤローッ!!!(特大の精神的即死ダメージ)」
キアラちゃんのおねだり強襲から始まった修羅場と、エルシエラ様の「人間姿がお好みよね?♡」からの言ってるそばからの絶倫自爆暴露、そして2頭のヤンデレによるテラス席での全面戦争勃発 。
俺の隠密スローライフは、変身時間に1ミリの焦りもないはずの第四章の初日の夜にして、キアラちゃんとのキスを100日間我慢するはずのタイムラインの防衛線が、 2人の激突による宿屋に続くカフェの物理的消滅(即死)かという、逃げ場のない究極の『ヤンデレ全面戦争・挟み撃ちデスゲーム』の荒波へと、容赦なく叩き込まれるのだった。
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(次回更新:明日12時20分!)




