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第46話 暁のジュラシック・サバトと、長老たちの菓子折り押し売り防衛戦

朝の光が粉砕されたトビラの大穴から差し込む、夜明け前の俺(漆黒の大トカゲ姿)の部屋。

ついうっかり魔法の目隠しが外れてしまったキアラちゃんは、至近距離にいた俺のトカゲ面を見るなり特大のパニック絶叫を上げ、ゼロ距離から俺の鼻先に向けて、地魔法の魔法陣をバチバチバチッと大展開し始めた。


(だから俺自身が本物のマモルさんなんだってばァァァ!!! 近い近い近い!! ゼロ距離でハルマゲドン魔法の銃口を俺の鼻面に構えるんじゃねぇよバカヤローーッ!!!)


俺がベッドの上で手足をバタバタさせて大パニックになっていると、その凄まじい大惨事の気配に、横にいたアリアちゃんが「……ひ、ひぃぃぃ! 生贄キアラが暴れて魔王(守)を本気で怒らせた! 世界が滅びるぅぅぅ!」と、名前通りガチでガクブル震えて白目を剥いて泡を吹いてその場に卒倒(気絶)した。


直後、キアラちゃんのパニック地魔法がドガァァァン!!!と天井を突き破って大暴発し、俺の部屋の天井にポッカリと青空が丸見えの巨大な大穴が空いた。


その特大の爆発音を聞きつけ、粉砕されたままのトビラの大穴から、ドス、ドス、と地鳴りのような足音を立ててリザードマンたちが乱入してきた。


「フシュゥゥゥゥウウウ……!?(※いったい何の騒ぎですかな!? って、また防衛隊のキアラ様ですか!?)」


現れたのは、本来のガチトカゲ姿(灰色のウロコを持つアリアの2倍近い巨体の老竜)の長老トカゲたちだった。

長老たちは、深夜の『身代わり夜這い潜入(※アリアの下見)』に続き、今度は夜明け前にキアラちゃんが目隠しミノムシ(身体拘束)の体勢で大暴れし、俺の部屋の天井まで粉砕している地獄絵図を見て、村のお買い物出禁ペナルティ(服やお菓子の交易滅亡)を察知して顔面を真っ白にさせた。


(大変じゃ!! お得様が朝から我が村の王の寝室を物理的に大爆破して攻め込んできたぞい!! これ以上怒らせたら買い出しが永久に出禁になる、総出でおもてなしをせねば!!)


長老トカゲは「これならどうじゃ!」と言わんばかりに、一族のとっておきのお宝――【1枚で人間の村に豪邸が建つ、光の聖女エルシエラ様の白い脱皮ウロコ】を、別の備蓄からさらに山盛りにして、菓子折りおかわりとしてキアラちゃんの鼻先にガッと差し出しして平伏したのだ。


その瞬間、白いウロコのまばゆい超お宝素材の輝きが、白目を剥いて倒れていたアリアちゃんの網膜を直撃した。


「……はっ!? ご、豪邸が建つ白いウロコが、またこんなに山盛りに積み上げられてるぅぅぅ!!!?」


恐怖で完全に気絶していたはずのアリアちゃんだったが、重度のウロコマニアとしての物欲の脳内麻薬がドバドバと一瞬で駆け巡り、奇跡のガチ大覚醒を遂げた。


アリアちゃんは、周囲を囲む2倍近い巨体のガチトカゲの軍勢に「ひ、ひぃぃぃ! 怖い! 殺される!」と涙目を流してガクブル震えながらも、物欲の執念だけで、手がシュババババッ!!と残像が見えるほどのハイスピードで動き、山盛りの豪邸ウロコを秒速で自分のカバンへと次々に回収し始めた。 恐怖と物欲が奇跡の等価交換を果たした、限界のマッドサイエンティストの動きだった。


それを見たキアラちゃんは、さらにルビーの瞳を血走らせて過去最悪の大勘違い超理論を大爆発させた。


「……な、なんてこと……! このおぞましい看守トカゲども、私を目隠しミノムシの体勢にして、この白いウロコを邪教の魔法陣の触媒に使いながら、私を泥棒猫の本隊の生贄に捧げようとしていたんだわ……っ! 師匠が取り乱して必死にそのウロコをカバンに封印してくださっているのが、その何よりの証拠ですわ……ッ!! 許さない、私の地魔法でこの部屋ごと全員消し炭にして――」



キアラちゃんが本当に村を物理的に滅ぼすレベルの魔法を杖に練り上げ始める。



(あかん!!! このままじゃ本当に村が物理的に跡形もなく圧殺されて終了する!!! クソ、もうなりふり構っていられねぇ!!!)



俺がベッドの上で白目を剥いた、まさにその瞬間。

東の地平線から太陽が完全に昇り、世界のシステム音が脳内に優しく鳴り響いた。


――カチリ。日付が変更されました。本日分の『1回目(3時間枠)』の擬態魔法の発動が可能となります。


(キターーーッ!! 今日の変身枠大復活だァァァッ!!)

俺はキアラちゃんが目を血走らせて魔法を溜めているコンマ数秒の隙を突き、粉砕されたベッドの裏の物陰へと音速のサイドローリングでダイブし、体内の新しい擬態魔力を一気に解放した。


シュゥゥゥゥウウウ……ドカン!!!


純白のまばゆいラノベの光が室内に大爆発し、タイムリミットが丸々3時間残った、漆黒の髪と瞳を持つ人間の少年のイケメン姿の俺が完全大復活を遂げた。俺は煙の中から、何食わぬ顔でさっそく歩き出た。


「……ふわぁぁ〜あ。よく寝たぁ。あれ? キアラちゃん、そんな目隠し紐を持って、一体何をしてるの?」


「――マモル……さん……ッ!?!?」


振り返ったキアラちゃんの目に、朝日に照らされてキラキラ輝く「本物のマモルさん(人間姿)」が飛び込んできた。

彼女は杖を放り出すと、俺の胸の中へと全力で飛び込んできて子供のように大号泣した。マモルさんの姿を取り戻した俺の力技ポップアップによって、誰も傷つかずに(アリアちゃんの精神以外)美しく大団円(?)を迎えたのだ。


だが、ウロコをカバンに詰め終えたアリア・クブル師匠だけは、俺が【大爆光を放って人間のマモル姿に成り代わった瞬間】を目の前で直撃目撃してしまい、さらに名前通りガクブルと激しく震え出した。


(……ひ、ひぃぃぃ!!! あの漆黒の魔王、人間の村を裏から支配しているだけでなく、完全にキアラの最愛の彼氏の肉体と姿に成り代わって、精神まで完璧に捕食して支配しちゃったんだわァァァ!!! 逆らったらボクのカバンの中の豪邸ウロコごと今度こそ消し炭にされるんだわァァァ!!!(白目を剥いて泡を吹いて今度こそガチの完全気絶))


(誰も乗っ取ってねぇよ!!! あとアリアちゃん、勝手に俺を『最悪の魔王』として脳内アップデートして名前通りガクブル気絶してんじゃねぇよバカヤローーッ!!!)



キアラちゃんをトカゲ姿のまま愛させるための、大魔導師アリアを巻き込んだ最悪のブラック裏工作。

俺はキアラちゃんに胸の中で大号泣され、その背後でガチ気絶している人間の100倍強い大魔導師を背負いながら、明日朝の変身タイマー切れの恐怖へと向かって、さらなる大混乱の日常へと容赦なく突き進んでいくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:明日12時20分!)

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