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第45話 目隠しミノムシの強制生贄と、ゼロ距離ジュラシック・パニック

深夜のトカゲの引きこもり部屋での、アリアちゃんとガチトカゲ姿のゼフィラ(風)による最悪の『深夜の鉢合わせ夜這い大戦』 。俺(漆黒の大トカゲ姿)の全力の尻尾パージによって2頭まとめて物理的に部屋から追い出されたアリアだったが、 彼女の脳内では「やっぱり弟子と世界を救うためにボクが何とかしなきゃ! 」という自己犠牲の炎が、夜明け前に向けて最悪の方向へ限界突破していた。


それからさらに数時間後、東の空がうっすらと白み始める、夜明け前の丑三つ時。


(はぁ……さっきはゼフィラたちのせいで最悪な大騒ぎになったな……。もうすぐ朝日が昇って人間に戻れるようになるんだ、それまで大人しく寝かせてくれ……)


俺がベッドの上でゴツゴツした巨体を丸めて怯えていると、ズガァァァァァン!!!と、昨日から粉砕されっぱなしだった我が家のトビラの大穴から、一睡もしていないせいで目がバキバキに血走ったアリアちゃんが、涙目を流しながら猛烈な勢いで再突入してきた。


しかも、彼女が魔法の土の触手でガッチリと抱え込んでいたのは、【頑丈な遮光布で目隠しをされ、身動きが取れないようにガッチリと魔法の蔓で縄縛り(身体拘束)にされたキアラちゃん】だった。ミノムシのようにグルグル巻きにされたキアラちゃんが、ジタバタと暴れている。


「うぅ、師匠!? いきなり寝込みを襲われて目隠し拘束されて、私は一体どこへ連れて行かれるのですか!? 何が何だかさっぱり分かりませんわ!!」


アリアちゃんは、俺(漆黒の大トカゲ)の前に、ミノムシ状態のキアラちゃんをドカンと丁寧にお供えすると、滝のような冷や汗をダラダラと流しながら必死の形相で叫んだ。


「……許しておくれキアラ、すべては世界平和と、お前の命を守るためなんだ……っ! さあキアラ、よくお聞き! ボクの命令だ! 今からこの目の前にいらっしゃる『マモル様』と、これ以上ないほど濃厚な真実の愛の誓いのキスを交わして、魔王の婚姻を今すぐここで成立させるんだァァァ!!! (隣の部屋にいるあの恐ろしい風の化け物トカゲ(ゼフィラ)が起きてきてボクたちをミンチにする前に、早く唇を差し出すんだよォォォ!!)」


師匠からの突然の「マモル様とキスしろ」という涙目の命令を浴びたキアラちゃん(目隠し中)。

だが、彼女の脳内ガチ恋フィルターは、昨日の「誰も見ていないロマンチックな場所で、俺から男らしくさせてほしい」という俺のイケメンフォローと言い訳に120%完璧にドッキングしていた。


(ええっ!? マモルさんの宿屋の自室(※本当は大トカゲの自室)に連れてこられて、今からマモルさんと深夜のロマンチックな初キスイベントなの……!?!?)


キアラちゃんは顔面から湯気を噴き出して猛烈に大赤面した。


「い、今からですか……っ!? 嬉しいですけど……っ! でも、目隠しをされて縄縛りにされた体勢のままマモルさんと唇を重ね合わせるなんて、いくら何でも高度なプレイすぎて、女の子として心の準備がァァァーーーッ!!!♡」


(嬉しそうにもじもじ身悶えしてんじゃねぇよキアラちゃん!!! 高度なプレイじゃなくて、お前、ただのガチの『怪獣に捧げられた生贄のミノムシ』としてアリアに拉致されてきただけなんだよ!!! あとココアの設定した【トカゲ姿のままキス】という条件は、奇跡的にこれでクリアできる大チャンスだけど、絵面がホラー映画すぎて無理だわバカヤローッ!!)


「あわわ、でも師匠の命令なら、私、覚悟を決めます……っ!」

キアラちゃんは目隠しをしたまま、可愛い唇を「むぅ……♡」と突き出して、ベッドの上の俺のトカゲ面へとじりじりと顔を近づけてくる。


だが、緊張のあまりキアラちゃんがベッドの上で不器用に手足をバタバタと悶絶させた、その瞬間だった――ポロッ。


師匠の魔法の目隠しが、枕の角に引っかかってうっかりスポーンと外れて床に落ちてしまった。


バッと視界が開けたキアラちゃんの、至近距離の目の前に飛び込んできたのは――朝日に照らされてキラキラ輝く人間のマモルさんではなく、【漆黒のウロコがギチギチに詰まった、ゴツゴツしたガチトカゲ(俺)のどアップのトカゲ面】だった。


キアラちゃんのルビーの瞳が、驚きと激しい爬虫類嫌いの嫌悪感で過去最高に丸く点になった。


「ひ、ぎゃああああああああああああーーーッ!!! 出たわね、あの拉致犯の泥棒猫の片棒を担ぐ、マモルさんの名前を騙るおぞましい看守トカゲェェェエエエ!!! 汚らわしい爬虫類め、今すぐ私のゼロ距離地魔法で消し炭にしてあげますわァァァーーーッ!!!!」


キアラちゃんが身体の縄を地魔法の魔力でブチベリに引きちぎり、ゼロ距離から俺の鼻先に向けて、爆弾レベルの地魔法の魔法陣をバチバチバチッと大展開し始めた!


(だから俺自身が本物のマモルさんなんだってばァァァ!!! 近い近い近い!! ゼロ距離で地魔法の銃口を俺の鼻面に構えるんじゃねぇよ!!! あとアリア・クブル師匠、お前が『生贄キアラが暴れて魔王がキレた!』みたいな顔して、名前通りガチでガクブル震えて白目を剥いて泡を吹いて気絶してんじゃねぇよォォォオオオ!!!)


東の空から、ついに今日最初の擬態ストックが復活する『夜明けの朝日』が差し込み始める、まさにその瞬間。

キアラちゃんのゼロ距離パニック地魔法の爆撃が始まる絶体絶命のコンマ数秒前のなかで、俺の隠密スローライフは、これまでのすべてのやらかしのツケが一気に大爆発する過去最大の『ジュラシック・修羅場デッドゲーム』を迎えるのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:本日18時40分!)

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