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第40話 お昼のカフェの魔力看破と、国宝級ウロコの大盤振る舞いチップ

あの地獄のトカゲ村深夜置物レース、そして昨夜、我が家に突入してきたキアラちゃんの金髪エルフ師匠アリア・クブル(人間の100倍強い大魔導師)を村中総出の『豪邸ウロコ波状おもてなし』でマッハの速度で敗走させた大激動の夜から、明けて次の日――。


日付変更によって無事に本日分『1回目』の変身ストックが大復活した俺(人間姿)は、太陽が真上に昇った【お昼のランチ時間前後】の賑やかな人間の村の市場へとやってきていた。


目的は、もちろんいつも通り、大好きなキアラちゃんとの楽しいお買い物ランチデートだ。

人間の姿(擬態魔法)でいられる貴重な3時間、できることなら下らんトラブルは忘れて平和なスローライフを100%満喫したい。……満喫したいのだが、馴染みのカフェへと向かって歩く俺の脳細胞は、現在、泥縄な悩み事のせいで完全にゲシュタルト崩壊を起こしていた。


(はぁ……あかん、せっかくのキアラちゃんとのデートなのに、昨夜アリアがウロコを剥ぎ取ろうと部屋に殴り込んできた恐怖の残像と、何より光の神殿でココアから突きつけられた『トカゲ嫌いのキアラちゃんに、ガチトカゲ姿のまま愛されてキスを交わさせろ』っていう理不尽な無茶振りのせいで、頭の中が完全にトカゲのことでパンパンじゃねぇか……。あんな爬虫類アンチのキアラちゃん相手にどうしろってんだよ……)


俺がトボトボと歩きながらため息をつき、ようやくお目当てのオープンテラスのカフェの横を通りかかった、まさにその時だった。


「あ、マモルさん……ッ! お昼にまた会いに来てくださったのですね!!」


テラス席でサンドイッチを食べていたキアラちゃんが、俺の姿を見つけるなり、ルビーの瞳をキランキランに輝かせて嬉しそうに立ち上がって声をかけてくれた。俺の脳内のトカゲを一瞬で消し去ってくれる極上の癒やしの笑顔だった。


だが、そんな彼女と同じテーブルに座っていた、まばゆい金髪とツンと尖った耳を持つエルフの少女――昨夜、カバンいっぱいの高級ウロコを抱えてマッハで逃げ帰ったアリアちゃんが、俺(人間姿)の顔をじろじろと検分しながら、ニヤニヤとからかうように声をかけてきた。


「ほう、キアラの彼氏かい? なかなか良い男じゃないか……って、ええええええええええええええ!?」


ニヤニヤ笑いながら俺の横を通り過ぎようとした次の瞬間、アリアちゃんは笑顔のままガチガチにフリーズした。

人間の100倍強い大魔導師である彼女の鋭すぎる魔力感知が、俺の人間姿の肌の奥に潜む、昨夜自分を精神的お通夜に追い込んだ【あの国宝級ウロコを持つ漆黒の大トカゲ(黒の王)】の固有魔力波長を、1ミリの狂いもなく100%完璧に看破してしまったのだ。


アリアちゃんの顔面から一瞬で血の気が引き、額から滝のような冷や汗がダラダラと吹き出していく。


(……え!? 嘘……でしょ……? なにこの男の肌の奥からチラ見えしてる、国家予算規模を遥かに凌駕する禍々しい野生のオーラは……。この魔力の波長、昨夜ボクを密室で包囲してミンチにしようとしてた、あの漆黒のバケモノトカゲのボス(黒の王)と完全に同一人物なんだけどォォォ!!!?(大絶望))


俺はアリアちゃんの引きつった顔を見て、(ひえっ!? コイツ、俺の擬態魔法の奥の魔力波長を見抜きやがったな!! 正体バレだ!!)と心臓が止まりそうになった。


だが、ここでコイツが叫んだら俺の隠密スローライフは即死(終了)する。俺は冷徹なイケメン笑顔(大嘘)を浮かべながらアリア師匠の真横へとスッと腰掛け、キアラちゃんが「マモルさん、今お水を取ってきますね!」と席を外した数秒の隙を突き、アリアの耳元へ超低音のブラックボイスで囁いた。



「……静かにしろ大魔導師。お前が俺の正体を見抜いたのは褒めてあげる。ただし、もしキアラちゃんにお前のそのお上品な口から俺の正体を1文字でもチクってみろ。……交換条件だ。もし黙秘して、さらにトカゲ嫌いのキアラちゃんと、トカゲ姿の俺が『本当に相思相愛(ガチ恋)』になれるように裏から全力で無茶振りアシストしてくれるなら――」


俺は自分のポケットから、朝一番に自分の皮膚からポロリと剥がれ落ちた、まばゆい漆黒のウロコを取り出し、テーブルの下でチラつかせた。


「お前が喉から手が出るほど欲しがっていた、俺のこの【国宝級の漆黒ウロコ】を、お前の研究素材として差し上げるよ……♡」


アリアちゃんのルビーの瞳が、恐怖と国宝級素材への物欲で過去最高に血走った。彼女の脳内は、恐怖のあまり過去最悪のウルトラ大勘違いへと叩き込まれていた。


(……ひ、ひぃぃぃ!! あの黒い化け物のボス、ボクを脅迫するために、国宝級の皮膚(肉体の一部)をちぎって担保に差し出しながら、『もしキアラにボクの正体をバラしたら、お前を消し炭にしてカバンの中の豪邸ウロコごとこの村を更地にして滅ぼす。その代わり、俺の恋路(トカゲ姿での不純異性交遊)を全力でお手伝いしろ』って、最悪の邪教の相互秘密契約(ブラック交渉)を仕掛けてきてるんだわァァァ!!!(ガクブル))


「あ、あははは……! も、もちろん喜んでお手伝いさせてもらうよ、マモル『様』……! ボク、トカゲの恋のキューピッド(※命乞い)になるの大好きだからね……っ!」

アリアちゃんは涙目で汗をダラダラ流しながら、国宝級ウロコを秒速で懐へしまい込み、ガチガチ震えながら縮こまった。


「マモルさんお待たせしました♡ あれ、師匠、顔色が真っ青になって汗をダラダラ流してどうしたのですか?」

戻ってきたキアラちゃんが不思議そうに首を傾げると、アリアちゃんは(ボクは絶対にチクらないから、命だけは助けてぇぇぇ!!)と俺に必死に涙目のアイコンタクトを送りながら、震える声で叫んだ。


「な、何でもないよキアラ! ボク、マモルくんって本当に素晴らしい最高の彼氏(※黒の王)だと思うんだ! だから、キアラはもっとマモルくんの『本来のゴツゴツしたワイルドな一面(※大トカゲ姿)』も心から愛して、早く誓いの口づけ(キス)を交わすべきだよっ!!」


「師匠!? 急に何を言ってるのですか破廉恥なーーーっ!!(大赤面)」

キアラちゃんが一瞬で恋する乙女へと大復活する横で、俺は心の中で白目を剥いて特大のツッコミをブチかました。


(アリアちゃん、めちゃくちゃ俺の正体を誤解(密入国テロリスト扱い)したまま恐怖のどん底に落ちてんじゃねぇかァァァ!!! 村を更地にする気なんて1ミリもねぇよ!! でも助かった、コイツが国宝級ウロコの物欲と恐怖の等価交換に負けて勝手に口を閉ざし、さらにキアラちゃんへの『トカゲ恋活バフ(無茶振り)』を最速で開始してくれたおかげで、正体バレ即死デスゲームの首の皮が一枚繋がったわ!!!)


キアラちゃんのトカゲ嫌いをマイルドにさせるための、人間の100倍強い大魔導師アリア・クブルを巻き込んだ最悪のブラック裏工作。

俺は人間の姿の制限時間のなかで、キアラちゃんに可愛くランチを食べさせられながら、明日朝の変身タイマー切れの恐怖へと向かって、さらなる大混乱へと容赦なく突き進んでいくのだった。

【明日からの更新予告】


週末の爆速連投にお付き合いいただき感謝です!

明日からも【毎日2回】確実に更新します!


1回目→毎日【12時20分】

2回目→毎日【18時40分】


トカゲ娘たちの愛の猛攻はここからが本番!

続きを見逃さないよう、ぜひブックマーク(お気に入り登録)をしてお待ちください!

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