表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/51

第33話 聖女の神妙なる願いと、光の神殿の申し子

「4頭の計画性のない自滅を人質に取って、俺に『強制1時間残業デート(キス)』を強要するんじゃねぇよバカヤローッ!!」


高級カフェの前で、俺(人間姿・残り時間30分)は頭を抱えてエルシエラに叫んだ。

もしここでエルシエラと1時間お買い物デートなんてしていたら、詰所での事情聴取をマッハで終わらせたキアラちゃん(殺意MAX)が街に戻ってくる時間とぴったり重なり、今度こそ『ガチの愛の浮気現行犯』として街のど真んで確実に人生が即死(塵)にされる。


だが、俺が必死に大拒絶フシュゥゥゥしようとした、その時だった。


いつもなら「お仕事(王のお世話)ですから♡」と不敵なヤンデレ笑顔を浮かべるはずのエルシエラが、俺の顎からそっと指を離し――これまでに一度も見せたことのない、珍しく最高に神妙な、ガチの【光の聖女】としての真剣な表情を浮かべて俺を見つめてきた。


「……マモル様。いえ、我がリザードマン一族を統べる『黒の王』よ。……交換条件の残業デート(キス)は、一旦お預けにして差し上げましょう。4人を助ける代わりに、わたくしから一つ、真剣なお願いがあります」


「え……?」

エルシエラのあまりのシリアスなギャップの覇気に、俺の隠密脳細胞が思わず凍りついた。



「わたくしが今からこの不器用なおバカさんたちに魔力を切り分け、お母様方へのお詫びの【超高級極上イチゴタルト】が買える1時間後の開店時間まで、彼女たちの人間姿を上書き延長して差し上げます。その代わり……王。あなたの擬態の30分が切れて【リザードマン本来の姿(黒の王)】に戻られたら、今すぐ、わたくしたちの一族の最奥にある【光の神殿】へと足を運んでいただけないでしょうか……?」



(コイツが、あのストーカー白竜エルシエラが、こんなに大真面目なトーンで俺を神殿へ頼み込んでくるなんて……一体何が起きてるんだ……!?)


ただごとではない不穏な空気感を察した俺は、ゴクリと唾を飲み込み、「……分かった。お前が4頭を助けてくれるなら、トカゲに戻った後、すぐに光の神殿へ行く」と静かに首を縦に振った。


「契約成立、感謝いたします……ふふ、やっぱりマモル様はとってもお優しいですね♡」

エルシエラはすぐさま目を輝かせると、涙目で並んでいた4頭の美少女たちに順番にディープキス(連続レズチャージ)を敢行した。


プシュゥゥゥン!!! プシュゥゥゥン!!!



魔力を限界突破で注入されたせいで、チャージが上書き成功したガルダたちの身体から、物陰のなかで純白のラノベの光がイルミネーションのように連続で大爆発した。

(だから街のど真ん中でクリスマスツリーみたいに連続爆光を放つんじゃねぇ!! 周りの人間が『あの美少女グループ、何が光ってんの!?』って大パニックになってるだろ!!)


「これで、1時間後の開店時間まで人間姿で並び続けられるっすーーーッ!! お母様にウロコを剥ぎ取られずに済んだっす(涙)」

1時間延命され、無事にタルトの開店待ちを続行できるようになった4頭の姿を見届け、俺自身の残り数分のタイマーが完全に底を突く前に、俺は大急ぎで人気の少ない物陰へとダッシュした。



――ピピッ。本日1回分の擬態魔力、すべて終了。これより本来の姿へと強制定時退社(送還)を行います。


シュゥゥゥゥウウウ……!!!

人間の皮膚がはじけ、俺の肉体は元の『ゴツゴツとした真っ黒な大トカゲ(リザードマン姿)』へと完全復活を遂げた。

俺は【黒の王】の巨体のまま、エルシエラとの約束を守るため、大集落のさらに奥地にある神秘的な『光の神殿』へと足を踏み入れ、大理石の床を静かに踏みしめた。


そこには、先ほど人間姿から本来の『ガチの白竜姿(等身大トカゲサイズ)』へと戻ったエルシエラが、神妙な顔(トカゲ面)で俺を待っていた。


(さあエルシエラ、一体何の用だ? わざわざトカゲに戻ってまで俺を神殿に呼び寄せた、そのガチの理由を――)

俺がトカゲの重低音ボイス(フシュゥゥゥ)で尋ねようとした、まさにその瞬間だった。


ピカーーーーッ!!!と、神殿の奥の神聖な祭壇から、直視できないほどのまばゆい後光が放たれ、その光の真ん中から、優雅にぬっと『あの白い小さな生き物』が降臨してきた。


「やぁマモルくん、異世界の地でははじめましてだね! 漆黒のリザードマンとしてのスローライフは満喫できているかな?」


第9話で、トカゲの神様から【光の神域の最高神の申し子】として名前を紹介されていた存在であり――前世で、俺が川で溺れていたところを命がけで救い、このすべての運命の引き金となった、あの白い小さな【白竜ココア】が、つぶらな瞳をキラキラと輝かせながら、この異世界で初めて俺の目の前に優雅に降臨したのだ。


前世以来となる、この世界での初めての衝撃の再会。

しかし、あまりの過酷なイベントの波乱に時間のゲシュタルト崩壊を起こしていた俺の脳みそから、溜まりに溜まった『限界クレーマーの血涙覇気』が一気に大爆発した。



(お前、前世で溺れてたココアじゃねぇかァァァ!!! っていうか満喫できてるわけねぇだろ!! トカゲの神様が『ヤモリ(壁を守る)』なんて名前の爬虫類の呪い(トカゲ転生)をかけてくれたせいで、俺、昨日から今日にかけて、ガチの生き地獄のオンパレードなんだよ!!


昨日の朝一番にはキアラちゃん達に車裂きの刑にされ、そのまま日中にはお腹パンパンの胃袋暗殺(大食い拘束)に付き合わされ、挙句の果てに今日の午前中さっきには、街のど真んでトカゲどもの連続レズサバト(爆光チャージ)を見せつけられたんだぞコラァァァアア!!!


おまけに前世の高校3年間も含めて、俺が18年間毎日夜空を見上げて願っていた人生初の『ファーストキス』が、四肢を引っ張られた車裂きの体勢のまま中身ガチ白竜エルシエラに力ずくで強奪されたんだぞ!!


異世界スローライフじゃなくて『ガチのヤンデレ挟み撃ち深夜耐久レース』になってんじゃねぇか!! 頼むからココア、お前の最高神の申し子のチート特権を使って、今すぐ俺を18歳のピュアな人間の男子高校生に完全リセットして戻してくれェェェエエエ!!!)


記憶の時系列をごちゃ混ぜにしながら、大トカゲ姿の俺が怒りの特大クレームを叫ぶ。その怒号のゴングが、神秘的な光の神殿のなかにドカンと空しく鳴り響くのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「ちょっと面白いかも」「続きが気になる」と思ってくださったら、画面下の【ブックマークに追加】や、【評価の☆☆☆☆☆(星)】をぽちっと押して応援していただけると、執筆の物凄い励みになります!

よろしくお願いいたします!

(次回更新:本日14時20分!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ