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第34話 最高神の申し子の勘違いと、等価交換の卵産ませ放題

「……異世界スローライフじゃなくて『ガチのヤンデレ挟み撃ち深夜耐久レース』になってんじゃねぇか!! 頼むからココア、お前の最高神の申し子のチート特権を使って、今すぐ俺を18歳のピュアな人間の男子高校生に完全リセットして戻してくれバカヤローッ!!」


神秘的な光の神殿の最奥で、俺(漆黒の大トカゲ姿)が前世からの溜まりに溜まった血涙の大クレームをバリバリの重低音ボイス(フシュゥゥゥ)でぶち撒けると、祭壇の上に浮かぶ白い小さな【白竜ココア】は、つぶらな瞳をパチ、パチと瞬かせ、あのお人好しな顔のまま完全にフリーズしてしまった。


「ええええっ!? マモルくん、満喫できてないの……!? おかしいなぁ……ボクを川で溺れていたところから命がけで助けてくれた特大のお礼に、トカゲの最高神様に無理を言って、この世界で一番強くて、一番メスにモテる無敵の『黒のリザードマン』の肉体を、最高のご褒美(祝福)としてプレゼントしてもらったのに……っ!」


(祝福ゥゥォオオ!!! 呪いじゃなくてあれ、お前がトカゲの神様にドヤ顔で頼み込んだ特大の『お礼(祝福)』だったのかよ!!!)


脳を揺るがす衝撃の真実。

つまり、トカゲの最高神様が「人間の体に戻すのはまだ無理じゃ」と頭を抱えていたのは、神様がかけた呪いのせいではなく、ココアが「マモルくんがリザードマンとして最高にハッピーなトカゲスローライフを全うするまで、この祝福の肉体ロックは絶対に解除できないよ!」と、神界のシステムにガチガチのセキュリティ(親切心)を組み込んでしまっていたからだったのだ。


ココアは短い首を傾げ、本気で不思議そうにつぶらな瞳で俺を見つめてくる。


「だって、ボクの用意したその最強の肉体なら、周りの可愛いリザードマンのメスたちから朝から晩まで求愛されまくって、卵産ませ放題だよ? 一族の王として最高のハーレムラグジュアリーライフのはずなのに、何が不満なのかボクにはさっぱり分からないよ……?」


「卵産ませ放題って言うんじゃねぇよ神聖な申し子がァァァ!!! 俺の中身は18歳のピュアな人間の男子高校生チェリーなんだよ!! トカゲの卵を大量生産させられるハーレムなんて、ただのジュラシック・パークの繁殖隔離施設ディストピアだわバカヤローッ!!!」


俺が尾ヒレをバタバタさせて猛抗議していると、横で静かに聞いていた白竜姿のエルシエラ(同じくガチトカゲ姿)が、深くトカゲのこうべを垂れてココアに同意した。


「ココア様の仰る通りです、マモル様。わたくしの擬態は今日はもう解いてしまいましたが、この光の神殿の中であれば、人間に化けずとも、本来の白竜の姿のまま今すぐマモル様と濃厚な繁殖(卵の生産)に励むことが可能です♡ さあ、さっそくお布団へ……♡」


(ガチの白竜の姿のままトカゲの交尾を迫ってくるんじゃねぇぇぇえええ!!! 絵面がラノベのお色気イベントじゃなくてガチの『怪獣大戦争モンスター・バース』になってテレビ放送コードに引っかかるわー!!!)


「頼むから、ココア!! その祝福の肉体ロックを今すぐ内側から破壊して、俺を人間にしてくれ!!」

俺が涙目で大皿スープの如く懇願すると、ココアは困ったように前足で頭をかいた。


「うーん、システムに組み込んじゃったから、ボクの力でもすぐには完全リセットできないんだ。でもね、一つだけ、その【祝福の王のロック】を内側からエラーでバグらせて、人間の肉体へと完全復活できる『愛の裏技解除条件』があるよ」


「な、なんだそれは!? どんな条件でもクリアしてやる!」


すがる思いで身を乗り出す俺に、ココアは純粋無垢な笑顔のまま、過去最高に狂った『解除条件』を提示した。


「マモルくんが【この世界で最初に出会った、初めてマモルくんに好意を持ってくれた人間の女の子】。その人間の女の子と、マモルくんが【リザードマン本来の姿】のままで、お互いに心から相思相愛の状態で【本物の誓いの口づけ(キス)】を交わすこと。そうすれば、トカゲの祝福が人間の真実の愛の魔力で上書きされて、完全に人間の男の子に戻れるよ!」


「――あ、でもねマモルくん、一つだけ絶対に気をつけてね」ココアはつぶらな瞳を真面目な顔(トカゲ面)に尖らせて、恐ろしいシステム警告ペナルティを付け足した。


「もし、トカゲの姿ではなく【人間の姿(擬態魔法)】のままで、うっかり彼女とキスを交わしてしまったら、その瞬間に祝福のシステムが『あ、コイツはこの肉体の現状で満足してるんだな』って誤認しちゃって、この愛の裏技解除条件が【永久に消滅ロック】しちゃうんだ。そうなったら、マモルくんは一生、人間の少年の肉体を取り戻せなくなっちゃうからね!」


神殿の空気が、一瞬にして絶対零度に凍りついた。


(……おい待て。この世界で最初に出会って、最初に好意を寄せてくれた人間の女の子って……最初から完全にキアラちゃん限定で世界のシステム(解呪条件)がロックオンされて始まってたんじゃねぇかァァァ!!!運命の糸の繋がりが芸術的すぎるけど、その肝心の運命のチョロインは、俺たちのウロコを見ただけで殺意(地魔法)を構える筋金入りの爬虫類アンチなんだぞ!!正体がバレたら即死なのに、正体を明かした上で、トカゲの姿のまま俺を愛させて唇(トカゲ面)を重ね合わせろってか!? もし人間の姿のままうっかりキスされちまったら人間の姿に戻るチャンスが永久にロストして一生ガチトカゲのまま引きこもるハメになるだとォォォ!!!? どんな無理ゲーの罠を仕込んでくれてんだよバカヤローッ!!!)


しかも現在進行形で、キアラちゃんは俺を誘拐した泥棒猫どもを最新の杖で全員圧殺しようと、詰所で事情聴取をマッハで終わらせて自室に向かってきているのだ。

キアラちゃんへの正体バレ即死の恐怖と、トカゲ姿のまま愛されなければ人間に戻れないという究極の無理難題。


真のゴール(トカゲ姿での誓いのキス)を突きつけられた俺の隠密スローライフは、人間の村を舞台にした、生存確率0%に近い『等価交換ラブコメデスゲーム』の荒波へと、容赦なく叩き込まれるのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:本日16時20分!)

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