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第25話 大集落の絶対防衛戦と、ホワイトすぎる歓迎会

「ガルダ、泥を爆破しなさい!」「任せるっす!」

キアラちゃんが最新特注重装備をジャラジャラと鳴らしながら森の奥へと爆進していった直後、俺(人間姿・残り時間10分)は、ガルダの火の魔力で巨大キノコの泥を『ドカン!!』と粉砕させて脱出した。


五体満足で這い出た俺は、ハァハァと息を切らしながら、大の爬虫類嫌いとしての冷静なステルス脳細胞をフル回転させる。


(ヤバい……キアラちゃんが今着てる胸当てと杖は、ゼフィラとデメトの親父のウロコ(風土属性)の特注品だ。森の障害物をガシガシ突破して進むスピードが早すぎる! このままキアラちゃんの後ろを追いかけたら絶対に鉢合わせる。俺たちはキアラちゃんの知らない獣道から、大急ぎで先回りして大集落へ帰るぞ!!)


人間の村への外出禁止(服もお菓子もお預け)のペナルティを本気で恐れるトカゲヒロイン4人も、「それだけは絶対に嫌っす(わ)!!」と顔を真っ青にして激しく同意した。

俺たちはキアラちゃんの裏をかくように森の獣道を大激走し、彼女より先になんとかリザードマンの大集落へと滑り込んだ。


タイムリミット、残り5分。

俺は人間姿のまま広場にいたインテリ村長や長老トカゲたちをガクガクと激しく揺さぶる。


「村長、長老!! 今すぐ村の戦士たち(ガチトカゲ姿)を全員物陰に隠してくれ! あと、今から物凄い形相の間の女のキアラちゃんが突入してくるから、全員で『人間が大好きで、お行儀が良くて、ただ交易を愛しているだけの超ホワイトな優しい癒やし系の村』のフリをして迎え撃つんだァァァッ!!」


「お、おぅ……? よく分からんが、昨夜ウロコを渡した大切なお得意様(人間)がまた来るのじゃな? よし、おもてなしの準備じゃな!」

長老たちは俺のパニックに釣られ、全力で方向性のズレまくったホワイト隠蔽作戦(村おこし)を開始した。


――ピピッ。本日分の変身魔力ストック、すべて終了しました。これより明日の夜明けまで擬態魔法は発動できません。


シュゥゥゥゥウウウ……。


無慈悲にも俺の人間姿の皮膚がはじけ、俺の肉体は元の『ゴツゴツとした真っ黒な大トカゲ(リザードマン姿)』へと完全活動停止(強制送還)となった。明日の朝までもう絶対に人間の姿には戻れない。俺は慌てて広場の中央にある長老の大きな椅子の裏へと巨体を隠し、ガルダたち4人も、ここでキアラちゃんに鉢合わせたら「昨夜の誘拐犯(泥棒猫)」として即バレするため、すぐ横にある交易用の頑丈な木箱の山(資材置き場)の影へと大慌てで隠れた。


バァァァン!!!


大集落の入り口の防壁トビラが激しく蹴り開けられ、ゼフィラの親父のウロコ胸当てをジャラジャラと鳴らした重装備のキアラちゃんが、デメトの親父のウロコ杖を構えて突入してきた。



「泥棒猫ども!! マモルさんを返しなさ――って、ええええええええ!?」


突入してきたキアラちゃんのルビーの瞳が、驚きで過去最高に丸く点になった。

なぜなら、彼女の前に広がっていたのは――凶悪な誘拐犯のアジトなどではなかったからだ。



「ようこそ、人間の皆様♡ 本日も楽しい交易をいたしましょう♡」という手作りの可愛い横断幕。

その下で、人間姿のおじいさん・おばあさんトカゲたちが、広場にズラリと綺麗に並べた長机に『冷たい麦茶』や『焼き立ての美味しいお菓子やパン』を山盛りに用意し、ニコニコと全員で手拍子をしながら合唱して歓迎していたのだ。


実は、重度の方向音痴であるキアラちゃんは、「泥棒猫のアジト(森の奥)」へ突撃したつもりが、完全に勘違いして『昨夜のトカゲの大集落』へと自らブチ切れて舞い戻ってきてしまっていたのである。


だが、キアラちゃんの限界突破した大人の大勘違い脳細胞は、このホワイトな光景を見て、涙を流しながらさらに最悪な結論を弾き出した。


「な、何よこれ……!? あの不法侵入してきた破廉恥な5人の泥棒猫(メスの化け物)ども……! 私の目を欺くために、あろうことか、昨日国際条約を破って人間を拉致した『凶悪なトカゲの化け物たちの集落』にまでマモルさんを連れ込んで、こんなカモフラージュの平和な歓迎サバト(村おこし)をトカゲたちに強制させてるんだわ……っ!!!」


長老トカゲのローブの陰から、大トカゲ姿に戻った俺が(気づかないんかい!!! っていうか長老たち、おもてなしの方向性がズレすぎて逆に不法占拠のアジトっぽさ(怪しさ)がギガマックスになってんじゃねぇかバカヤローッ!!!)と、白目を剥いて魂の底からツッコんだ。


「おのれ泥棒猫め、トカゲの国際問題を利用してまでマモルさんを隠すなんて……! 待っていなさいマモルさん、私がこのトカゲの村のホワイトな罠をすべて打ち破って、今度こそあなたをあの不純異性交遊の魔の手から救い出してみせます……!!」

重装備をシャキーンと構え、トカゲたちの親切な麦茶とお菓子を睨みつける、正気度の限界を迎えたキアラちゃん。


日付変更の擬態ストックを全て使い切り、明日の朝までただの真っ黒な大トカゲに戻ってしまった俺の隠密スローライフは、キアラちゃんの方向音痴が生み出した『トカゲ大集落・不法占拠大勘違い大戦』の戦火の中で、もはや誰にも止められない修羅場へと突入していくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:本日18時20分!)

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