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第20話 長老の説教と、不器用な美少女たちの救出大作戦

「ガルダ、ゼフィラ! 頼むから静かにしてくれ! 今すぐドアを爆破なんかしたら、防衛隊のキアラちゃんが起きて大魔法をブッ放し、人間の兵士たちが一斉に突撃してきて村中を巻き込んだ大騒動になる! そのドサクサで俺の正体が大トカゲだってことがキアラちゃんに100%確定でバレて、俺の隠密スローライフの夢がその瞬間にガチで即死(終了)するんだよ!!」


ドアの隙間に向かって、俺はベッドから限界まで身を乗り出し、喉がちぎれそうなほどの超・小声で必死に叫んだ。

すると、トビラの向こうから、人間姿に戻ったガルダ(火・ギャル美少女姿)の、悔し涙に濡れたようなヒソヒソ声が返ってきた。


「分かってるっす王! アタシたちだって本当はドアを蹴り破りたいっすけど……昨夜、本来のトカゲ姿で人間の村を大暴走したせいで、朝から村長や長老たちに頭のウロコがハゲるくらい正座で怒られてきたんっすよぉぉぉ!(涙)」


続いて、同じく人間姿に戻ったツインテール美少女のゼフィラ(風)の小声が重なる。

「『次また人間の村で大騒ぎを起こして交易を止めようものなら、人間が作った便利な道具の使用は全面禁止、さらに人間の村への外出も連帯責任で1ヶ月完全禁止だからな!』って脅されてるのよ……。だから、あのアタシたちの気に入らない人間のメス(キアラ)に王の正体がバレてこれ以上大事になる前に、王を穏便にここから脱出させるために協力しにきたのよ!」


(めちゃくちゃ大人の事情(説教)でビビらされてるじゃねぇかァァァ!! でも、大好きな人間の可愛い服やお菓子をお預けにされるのを恐れるトカゲ美少女どもの必死の執念はありがてぇ!!)


――制限時間、残り45分。


「マモル、アタシが中からトビラを開けます。……これで、みんなで隠密救出作戦ですね」

クローゼットの服の山からスゥッと手際よく(?)這い出てきたネレイダ(水・青髪美女姿)が、物音一つ立てずに玄関へと移動し、ガチャリと内側から鍵を開けた。


スライディングするように部屋の中へと侵入してくるガルダとゼフィラ。人間の村での交易マナーをキッチリ守って全員が綺麗な美少女姿なのだが、やっていることは完全に不法侵入だった。


「(お前ら、正座でお腹が減ってるだろ。これをやるから、静かに俺の脱出を手伝え!)」

俺は、キアラちゃんの机の上にあった、お見舞い用の『人間の職人が作った最高級バタークッキー』の袋を左手だけで掴むと、 彼女たちに1枚ずつ滑り込ませて職人技の買収をキメた。


「サ、サクサクっす……!! 正座の体に糖分が染み渡るっす……!!」

「職人の手先が器用じゃないとこの食感は出せないわね……っ!」


人間の高度な技術(お菓子)に一瞬でプライドをへし折られたトカゲたちは、クッキーをモグモグと咀嚼しながら、一気に真剣な顔(美少女面)になって俺のベッドへと歩み寄ってきた。


――制限時間、残り15分。


ドア前の脅威を退け、部屋のなかに強力な味方(?)が3人も揃った。あとはキアラちゃんのホールドを外して窓から脱出するだけ。

俺が細心の注意を払ってキアラちゃんの指を一本ずつ外そうとした、まさにその瞬間だった。


眠っているキアラちゃんが、マモルがまたトカゲの化け物一族に拉致される最悪の悪夢でも見たのか、「うぅ……マモルさん、行かないで……! 化け物どもには、絶対に渡しません……!!」と涙を浮かべた。

(※ジャケットの生地に染み込んだ風のウロコの粉末が、彼女の防衛本能と共鳴でもしたのだろうか)キアラちゃんは防衛隊エリートとしての意地(火事場の馬鹿力ホールド)を全開にして、俺の右腕をギチギチギチィィッと驚異的な威力で抱きしめ直したのだ!


(あ、やべ。人間としてはリザードマンより遥かに弱いキアラちゃんだけど、変身終了間際のひ弱な人間姿の俺の腕力じゃ、キアラちゃんを傷つけずに優しく力ずくで外すことができねぇ!!)


焦る俺の前に、ネレイダが両手を差し出す。

「マモル、アタシが左手を引っ張ります……!」

「アタシたちも足を引っ張ってアシストするっす(わ)!」


ガルダとゼフィラもベッドの足元へ回り込み、俺の右腕を抱きしめるキアラちゃんに対抗するように、俺の身体を外へと引っ張り出そうと手をかけた。


だが、ここで最悪の事態が発生する。

人間姿の彼女たちは手先が不器用な上に、力の加減というものを知らない。


「せーの、っす!」


グイィィィィィィィィッ!!!


(ギギャァァァアアア!!! 引っ張る力が一騎当千すぎて、キアラちゃんの手が外れる前に俺の人間姿の身体が上下左右に引きちぎれてバラバラになるわバカヤローッ!!!)


添い寝しているキアラちゃんの決死の右腕ホールドvsそれを部屋の奥(窓)へ向けて一騎当千のトカゲパワーでグイグイと全力で引っ張り出そうとするトカゲ美少女3人。

2つの規格外の怪力の真ん中に挟まれた俺の身体は、ベッドの上でミシミシと骨を鳴らしながら、完全に物理的に空中浮遊(車裂きの刑)しかけていた。


そして、無情にも脳内に本日最後のシステム音が鳴り響き――俺の肌に『最悪のビジュアル崩壊』が始まった。


――ピピッ。本日分の変身魔力、残り3分。魔力が完全に空になります。


ザザザザザザザザッ!!!


「ひえっ!? や、ヤバいっすゼフィラ! マモルの手の甲や首元から、漆黒のウロコが大量に浮き出てきちゃってるっすよ!!」

「ちょっと引っ張るのやめなさいガルダ! 服がめくれてウロコがキアラに見えちゃうじゃないの!!」


(あと3分でこの真っ只中でトカゲに戻る!! 正体バレまであと3分なのに、引っ張られてる服の隙間からゴツゴツした黒いウロコがボロ出しになってんじゃねぇか!! ベッドの上、ガチの中世の拷問会場(車裂きの刑)とトカゲの脱皮ショーが同時開催されてんじゃねぇよバカヤローッ!!!)


四肢を美少女たちに全力で引っ張られ、身体が引き裂かれる激痛のなか、浮き出るウロコの恐怖に白目を剥きながら、俺は残り3分という人生最大のタイムリミットを迎えるのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:明日8時!)

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