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拾った娘が元魔王で、気づけば俺たちは敵になっていた  作者: 東海林


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27話

――対峙。


空気が張り詰める。

神代とルシエル、その奥に、セリナとリオ。

四人。


そして一人。


「……揃ったか」


男が静かに言う。


「なら」


構える。


「まとめて終わらせる」


「できると思うか?」


神代が前に出る。

息は荒い。


体も限界。

でも――目は死んでいない。


「……やってみろ」


「……神代」


ルシエルが小さく言う。


「なんだ」


「……最後」


「ん?」


「……一緒に」


「当たり前だ」


即答。


「最初からそのつもりだ」


「……ん」


「……作戦は?」


セリナが聞く。


「シンプルだ」


神代が言う。


「全員で叩く」


「雑ね」


「でも一番強い」


「……否定できない」


「……ねえ」


リオが小さく笑う。


「それ、好き」


「だろ」


「うん」


「……行くぞ」


神代が一歩踏み出す。

全員が動く。


同時、完全な連携。

セリナが前、リオが影。

ルシエルが圧、神代が核。


「……っ!」


男が動く。迎え撃つ。

だが――さっきまでとは違う。


四方向、隙がない。


「……連携が」


崩せない。


「……そこ!」


セリナが斬る。

防がれる。

でも、それでいい。


「……今!」


リオが背後に入る。

急所を狙う、回避される。

だが。


「……止めた」


神代が掴む。

深く、今までで一番。


「……っ!」


男の動きが止まる。

完全に。


「……今だ!」


神代が叫ぶ。


「……いく」


ルシエルが前に出る。

手をかざす。


圧を収束させる。

揺れない、暴れない、完全な制御。


「……全部」


息を吐く。


「……乗せる」


「……やめろ」


男が初めて焦る。

力を解放する。

だが――


「……遅え」


神代が押さえ込む。

さらに深く。核へ


「……終わり」


ルシエルが放つ。

――解放。


光も音もない。

ただ。消える。

存在そのものを削るような一撃。


「……っ!!」


男の体が揺れる。

崩れる、立てない。


「……あり得ない……」


初めての動揺。


「……これで」


神代が息を吐く。


「終わりだ」


最後の一歩。

踏み込む、手を伸ばす。

掴む、深く。

完全に。


「……奪う」


小さく呟く。


――静寂。


男の体が、崩れ落ちる。

動かない。

完全に、終わった。


「……はあ……」


「……終わったか」


「ええ」


セリナも息を吐く。


「完全にね」


「……神代」


「なんだ」


「……無事?」


「ギリギリな」


「……よかった」


そのまま、軽く寄りかかる。


「……ねえ」


リオが近づく。


「ほんとに勝ったんだ」


「みたいだな」


「……すご」


小さく笑う。


「……あたしさ」


リオがぽつりと言う。


「完全に敵だったんだよね」


「そうだな」


「なのに」


神代を見る。


「ここにいる」


「……変な感じ」


「今さらだ」


「それもそう」


「……神代」


ルシエルが小さく言う。


「なんだ」


「……勝った」


「勝ったな」


「……一緒に」


「ああ」


少しだけ笑う。


「一緒に勝った」


「……ん」


その言葉でルシエルは、安心したように目を細めた。


さっきまでとは違う。

明確に戦い切った後の空気。


もう、追われるだけじゃない。

戦える、勝てる。

そう思えるだけの結果だった。


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