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拾った娘が元魔王で、気づけば俺たちは敵になっていた  作者: 東海林


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22/30

22話

夜。森の奥。

焚き火の火が、小さく揺れている。


「……こんなもんか」


神代が手を開く。

さっきより、明らかに感覚が安定している。


「……顔が違うわね」


セリナが言う。


「そうか?」


「ええ」


少しだけ笑う。


「勝つ顔になってる」


「……気のせいだ」


「どうかしら」


「……ねえ」


リオが木の枝をいじりながら言う。


「ほんとにやるの?」


「やる」


神代は迷わない。


「明日、再突入」


「早くない?」


「時間かける方が危険だ」


「……まあ、それはそう」


「作戦、もう一回整理するわよ」


セリナが地面に簡単な図を描く。


「拠点はここ」


「入口は三つ」


「今回は――」


指で一つをなぞる。


「隠し通路から入る」


「同じルートか」


「違うわ」


首を振る。


「今回は見つかる前提」


「……は?」


神代が眉をひそめる。


「どういうことだ」


「潜入じゃない」


セリナが真っ直ぐ言う。


「攪乱して奪う」


「まずリオ」


「はいよ」


「先行して内部をかき回す」


「目立つ役じゃん」


「あなたならできるでしょ」


「まあね」


軽く笑う。

でも、その目は真剣だ。


「次にあたし」


セリナが剣を軽く叩く。


「正面から圧をかける」


「敵の意識を前に集める」


「派手にいくわよ」


「任せた」


「ルシエル」


「……ん」


「後衛で圧をかける」


「無理に撃たない」


「でも」


少しだけ間を置く。


「切り札として準備」


「……わかった」


静かに頷く。


「最後に神代」


「俺か」


「一番重要」


セリナが指を向ける。


「資料室に直行」


「……単独か」


「そう」


「敵が来る前に回収」


「来たら?」


「止める」


短く言う。

つまり――


「あの男か」


「ええ」


「……勝てるか?」


神代が聞く。


「分からない」


セリナははっきり言う。


「でも」


「前よりはマシ」


「……だな」


それで十分だ。


「……ねえ」


リオがぽつりと言う。


「また庇うの?」


「状況次第だな」


「……やめてよ」


少しだけ視線を逸らす。


「今度はあたしも戦うから」


「分かってる」


「……ほんとに?」


「ああ」


短く答える。


「お前も戦力だ」


「……」


一瞬、止まる。


「……それ、嬉しいけど複雑」


「どっちだよ」


「どっちも」


小さく笑う。


「……神代」


ルシエルが近づく。


「なんだ」


「……明日」


「ん?」


「……勝つ?」


「勝つ」


即答。


「……絶対?」


「絶対じゃねえ」


「……」


「でも」


少しだけ笑う。


「勝ちに行く」


「……ん」


それで納得したのか、小さく頷く。


「……なんかさ」


リオが空を見上げる。


「変な感じ」


「何が」


「昨日まで敵だったのに」


「今はここにいる」


「……確かに」


セリナも頷く。


「でも」


「悪くないでしょ?」


「……うん」


小さく答える。

火が揺れる、静かな時間。

でも――その奥には、確実に戦いがある。



「……寝るぞ」


神代が言う。


「明日動く」


「そうね」


セリナも頷く。


横になる。

すぐ隣に、ルシエル。


「……神代」


「なんだ」


「……離れないで」


「離れねえよ」


「……ん」


それだけで安心したように目を閉じる。


少し離れた場所で。


「……ねえセリナ」


「なに」


「明日さ」


「ええ」


「死ぬかもね」


「その時は」


セリナが軽く言う。


「ちゃんと足掻きなさい」


「……怖くないの?」


「怖いわよ」


即答。


「でも」


剣に手を置く。


「やるしかないでしょ」


「……かっこいいね」


「でしょ」



そして、朝。

空気が変わる。


「……行くぞ」


神代が立ち上がる。

三人も続く。



目指すは、敵の中心。

逃げるためじゃない。

奪うため、勝つために、

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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