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拾った娘が元魔王で、気づけば俺たちは敵になっていた  作者: 東海林


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12話

戦闘の後。


部屋は静まり返っていた。

壊れたドアから、冷たい風が入ってくる。


「……最悪ね」


セリナが壁にもたれながら言う。


「完全に格上」


「否定できねえな」


神代も短く答える。

あの男、本気じゃなかった。


それでも、あの差。


「……神代」


「なんだ」


「……悔しい」


ルシエルがぽつりと呟く。


「……消せたのに」


「やめろ」


即座に言う。


「それやったら終わる」


「……でも」


「でもじゃねえ」


少し強めに言う。


「お前のそれは、最後の手段だ」


ルシエルの力。

強すぎるだからこそ、使い方を間違えれば全部壊れる。


「……ん」


少しだけ不満そうにしながらも、頷く。


「……ねえ」


セリナが顔を上げる。


「じゃあどうするの?」


核心。逃げるだけじゃ無理。

戦っても勝てない。


「……方法は三つだな」


神代が指を立てる。


「一つ」


「戦力を増やす」


「仲間ね」


「二つ」


「俺たちが強くなる」


「当然ね」


「三つ」


「情報を取る」


「……敵のことを知る」


「そういうことだ」


セリナが頷く。


「全部必要ね」


「だな」


どれか一つじゃ足りない。

全部やるしかない。


「……神代」


「なんだ」


「……増えるの、やだ」


ルシエルが小さく言う。


「何が」


「……人」


「あー……」


分かる。

こいつは基本的に狭い範囲が好きだ。


「でも必要だ」


「……む」


少しだけ頬を膨らませる。


「……神代が言うならいい」


「そうかよ」


ほんとにそれ基準だな。



その時――コツ。


足音。廊下。

三人の空気が一瞬で張り詰める。


「……またか」


セリナが剣を握る。

神代も構える。

ルシエルの目が細くなる。


足音が止まる。ドアの前。


「……今度は壊さないでよ?」


軽い声。


「……お前か」


神代がため息をつく。

ドアの枠だけになった入口から、ひょこっと顔を出す。


「やっほー」


リオだった。


「……何しに来た」


「相談」


「帰れ」


「ひどくない?」


全く気にした様子はない。

そのまま、勝手に入ってくる。


「……で?」


セリナが睨む。


「何の相談よ」


「さっきのやつ」


リオが言う。


「会ったでしょ?」


「……見てたのか」


「うん」


あっさり。


「屋根の上から」


「趣味悪いわね」


「仕事だからね」


肩をすくめる。


「で、感想」


指を三人に向ける。


「そのままだと死ぬよ」


「……分かってる」


神代が答える。


「でも?」


「どうするか決めてる最中だ」


「じゃあちょうどいいや」


にこっと笑う。


「協力しよ?」


「は?」


セリナが即座に反応する。


「正気?」


「割と」


「信用できるわけないでしょ」


「できないでいいよ」


即答。

ほんとにブレない。


「でもさ」


少しだけ声を落とす。


「あたし、あっち側のこと知ってるよ?」


空気が変わる。


「……具体的には」


神代が聞く。


「組織の動き」


「追手の数」


「さっきのやつのランク」


一つずつ指を折る。


「全部、教えられる」


「……見返りは?」


「簡単」


笑う。


「一緒に行く」


「却下」


即答したのはセリナ。


「絶対無理」


「えー」


「えーじゃない」


「……神代」


ルシエルが袖を引く。


「……やだ」


「だろうな」


まあそうなる。

でも――


「……情報は欲しい」


神代が言う。


「それは認める」


「……っ」


セリナが歯を食いしばる。


「でもこいつよ!?」


「分かってる」


「裏切るわよ!?」


「知ってる」


「じゃあなんで!」


「それでも必要だからだ」


静かに言う。

それで、止まる。


セリナは言い返せない。


「……リスク込みで使う」


「……はあ」


大きく息を吐く。


「ほんと無茶するわね」


「今さらだろ」


「それもそうね」


諦めたように肩を落とす。


「……で?」


神代がリオを見る。


「お前は本気か」


「まあね」


軽く言う。


「正直、あっち戻っても面倒だし」


「理由になってねえな」


「あと」


少しだけ間を置く。


「そっちの方が楽しそう」


笑う。その顔。

――嘘じゃない。


「……ほんとに変」


ルシエルがぼそっと言う。


「お前に言われたくねえよ」


「……ほんと」


真顔。

説得力あるのやめろ。


「……条件がある」


神代が言う。


「なに?」


「裏切ったら、次はねえ」


「怖」


「それでも来るなら来い」


リオは少しだけ考えて――


「いいよ」


あっさり頷いた。


「どうせそのつもりだし」


「軽いわね……」


セリナが呆れる。


「……決まりだな」


神代が言う。


「……神代」


「なんだ」


「……ほんとに?」


「必要だ」


短く答える。

ルシエルは少しだけ考えて――


「……わかった」


小さく頷いた。


「……でも」


「なんだ」


「……近づきすぎたら、消す」


「物騒だな」


「……ほんと」


真顔。怖い。


「仲良くしようよー」


リオが笑う。


「無理」


即答。

見事なハモりだった。


こうして四人目が加わった。

不安定で。危険で。

でも――必要な戦力。


「……で?」


セリナが言う。


「まず何するの?」


神代は少しだけ考えて。


「情報だ」


リオを見る。


「敵のこと、全部吐け」


「了解」


楽しそうに笑う。


「まずはね――」


空気が変わる。

次の戦いに向けて静かに、準備が始まった。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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