06.魔王との戦い
「まあ良い。いずれにせよそなたらはこの城を生きて出ることはかなわぬ」
魔王はやる気を見せた。聖女エライネは雷鎚ドンガラを構え、大振りにそれを振るった。
「雷鎚の一撃、食らいなさいっ!」
ドゴォオオオオオオオン!!
特大の稲光が走り、雷鳴が周囲に鳴り響いた。
しかし、魔王は倒れない。
稲妻は魔王の体の表面を滑るようにすり抜けて四方に散って消えてしまった。
「!!?」
エライネは思わず息をのんだ。
「エライネ! 魔王は雷撃無効のスキルを持っているっ!」
グウが後ろから叫びをあげた。
「無効系スキルは魔王のたしなみ。それぐらいは備えておる」
くっくっくと、魔王はくぐもった笑い声を上げた。
「ど、どうしようグウ! 一気に大ピンチなんだけどっ!」
エライネはパニックになり、神聖魔法によるしょぼい攻撃を魔王に数発放った。
「きかぬきかぬ! そんな気弾ごとき、我には効かぬぞっ!」
魔王は高笑いした。
「仕方ない、これを使うしかないのか……」
勇者グウ・タラ―はしぶしぶ、といった感じで右手に構えた剣を鞘に納めた。
そして、鞘だけでなにも刺さっていない右腰から左手で剣を引き抜くような動作をして見せた。
そして、それを右手に渡した。
「???」
エライネは後ろを振り返ってグウの動作を見ていたが、何をしているのか分からなかった。
「ふはははっ。似非勇者風情が、なにをするかと思えばごっこ遊びか?」
魔王は嘲笑した。
しかし、グウは構うことなく剣を構えたふりをして魔王に近づき、切りつける動作をした。
「ぬうっ!?」
魔王の左腕が、確かに見えない剣によって切り付けられたようだった。
グウを小馬鹿にして切られるがままになっていた魔王が驚きの声を上げた。
「き、貴様! その右手に持った剣っ!」
「今ならあなたにも見えるだろ? やる気のある者には見えないこの剣の姿がっ!」
「くっ、なんということだ。余のやる気が失われているというのか……」
「怠惰の神ナマケルンより賜りし、惰聖剣ロクデモナイヤー。じきにあなたはスキルを使うのが面倒くさくなる」
「なんだとっ……!」
「グウ! そんな秘密兵器を持っていたなんてっ! どうしてあのとき教えておいてくれなかったの?」
「え? だって説明が面倒くさかったから……」
「え? そんな理由?」
エライネはガッカリした。
「そろそろ頃合いだろう、エライネ! さあっ、魔王に雷鎚を振るうんだっ!」
グウがエライネに叫んだ。




