05.魔王登場
エライネたちの侵入に気づいた城の警備兵たちがわらわらと湧き出てきた。
「なんで城の外に兵を置いていなかったのかしら?」
「なんか、そういう美学があるみたいだよ」
城のホールの中に20体くらいの蛇人族たちが集まってきた。下半身が蛇の戦士たちで、上半身には立派な鎧を身に着けている。ナーガ兵たちが一斉に抜剣したのを見て、エライネは雷鎚を横なぎに大振りした。
ドゴォオオオオオオオンっ!!
ひときわ大きな雷鳴がとどろいて、雷鎚からあふれ出すように稲妻がナーガたちに降り注いだ。
「ぎゃあああああっ!」
「ぐぉおおおおっ!」
「うげええええっ!」
次々に叫びをあげてのたうちまわり、ナーガたちは苦しみもがいた末に絶命していった。
「さすがに魔王城の守備隊ともなると、一瞬で消し炭というわけではないんだな」
グウは感心したようにそう言った。
さらに魔王城の奥へと進んでいくと、邪教の神官らしき男が護衛兵たちと共にエライネたちの前に立ちふさがった。
「くっくっく……。この魔王城までたどり着くものがいたか。だが、その進撃もここまでだ。我が名は――」
ドゴォオオオオオオオン!
自己紹介が始まる前にエライネは雷鎚を振るい、邪神官と護衛の兵たちをまとめて消し炭に変えた。
「エ、エライネ! 悪役が口上を述べるときには黙って聞いてあげるのがマナーというものじゃないかっ!」
グウが思わずそう咎めたが、エライネは気にしなかった。
「そうなの? だってなんだか面倒くさそうだったし、魔法とか使ってきたら厄介だし」
「エライネ、君って常識人のようでいて、ちょくちょくそういうところがあるよね」
「あら、お嫌い?」
「いや、嫌いじゃないよ?」
グウはにっこり笑ってエライネの肩を抱き寄せ、髪を優しく撫でてくれた。
と、その時――。
「我が城で好き勝手に暴れた上にイチャつくとは、見上げた無法者よ」
邪神官の死体の向こう側から、背の高い人影が迫ってきた。
「我こそがこの城の主、魔王ジゴクファイヤーである! 控えよ下郎ども」
「!!! あなたが魔王その人なの?」
「あ、いや、なんで玉座の間にいないんですか?」
「この時間帯はいつも城の中を散歩することに決めておる。お前たちは我が日課を邪魔したうえに城の中でイチャイチャした。とうてい許してはおけぬ!」
「あ。じぶんちでイチャイチャされたことが気に障ったなら謝ります」
グウが思わず頭を下げた。




