04.雷鎚無双はさらに続く
エライネは王都にたどりつくと、さっそく魔王討伐隊としての登録を勇者グウの名前で済ませた。
それからちょっと高級な料理店に入って豪華な夕食をグウと共に食べて、最低価格帯の安宿に宿泊した。
「ねえ、ちょっと気になっていたんだけどグウ」
宿代を浮かせるため、という名目で相部屋にしたエライネは、装具を外しているグウに向かって言った。
「なんで右腰に、剣の鞘だけをつけているの?」
「んー? ああ、まあ、お守りかなあ」
「お守り?」
「まあ、使わずに済むならそれに越したことは無いんだけど」
「??」
エライネが見ているにもかかわらず堂々と下着姿になるグウに、エライネは赤面してそれ以上追求することをやめた。
「ベッド二つあるけど、こっちくる?」
早々にベッドに入ったグウが、何の気なくたずねてきた。
「別々に寝ますっ!」
グウと一緒のベッドに寝たことがないわけではなかったが、魔王退治までの途上で「そういうこと」はしたくなかったので、エライネはキッパリとそう言った。
翌日の早朝から二人は王都を出発し、一直線に魔王城に向かった。
「ねえ、弱いモンスターから順に倒して経験を積むとかしなくていいの?」
グウが心配そうに言った。
「雷鎚の力を信じるのよ、グウ!」
エライネは自信満々に言った。
そして、魔王城に向かう道すがら出てきたモンスターを全て、雷鎚の一撃で葬り去った。
リザードマン(死亡)
マンティコア(死亡)
ワイバーン(死亡)
キマイラ(死亡)
……。
エライネが雷鎚を振るうたびに面白いように敵が倒れていく。
「見たかっ、モンスターどもっ! これが雷神より賜りし神与武器の力っ!」
エライネは雷鎚ドンガラを天高くかざして勝ち誇り、高笑いをした。
「エライネ、なんか君、性格変わった……?」
「あら、わたしとしたことが」
エライネは顔を赤らめて慌てて取り繕った。
「でも本当に苦戦一つせずに魔王城までたどり着いちゃたね……」
グウは眼前にそびえる古い石造りの建物を見上げてぽつんとつぶやいた。
長い歳月にさらされた城の壁面にはツタが絡まり、苔がむして、不気味な雰囲気を漂わせている。
「いくわよ、グウ! 雷鎚の力を信じましょう」
「僕自身は全然役に立っていないけどね」
「大丈夫よ。魔王にとどめだけ刺してくれたらそれでいいの。魔王を倒せるのは勇者だけっていう噂だから」
エライネは雷鎚を握りしめて魔王城に侵入した。




