02.雷鎚無双のはじまり
この雷鎚には、どうやら装備制限があるということが分かった。
「僕には無理みたいだね。エライネに前衛に立って戦えっていうことじゃないの?」
「えーっ? わたし、癒しの技とかは使えるけど格闘訓練なんてしたことがないけど……」
「とりあえず弱いモンスターと戦って試してみたらいいんじゃないかな。ゴブリンあたりから」
グウは神から与えられた武器の性能が気になるようで、珍しくやる気を出したようだ。エライネが見ているのも気にせずに着替え始めた。
「ちょっ、ちょっとグウ!」
目を両手でおおいつつも指の隙間からちらっと見て、エライネは一応抗議してみた。
「ああ、ごめんごめん。じゃあ着替えるからちょっと外で待ってて」
着替えて装備を整えたグウに引っ張られて、エライネはゴブリンがよく出現する森の中に連れてこられた。
「あ、いた!」
普段のやる気のなさとは打って変わって、グウは戦闘的な姿勢でゴブリンたちを挑発し始めた。
「ちょっと、グウ! あっちは3体もいるのよっ!」
「大丈夫だって! たぶん! いざとなったら必死に逃げればいいんだよ!」
とても勇者の言葉とは思えない。
ゴブリンたちは人数の少ない格下の相手と見たのか、3体で一斉に襲い掛かってきた。
「わーっ! 来ないでーっ!」
慌てたエライネがぶんぶんと目の前で雷鎚をふるったその時……。
ドゴォオオオオオオオンッ!!
恐ろしい雷鳴がとどろき、3体のゴブリンたちは一瞬にして消し炭になった。
雷鎚から放出された稲妻が、一直線に敵を貫いたのだ。
「!!!!!」
エライネは激しく驚いた。
助けを求めるようにグウのほうを見ると、彼も茫然と突っ立っているだけだった。
「ちょっ、ちょっとこれ、どうしたらいいの? どうしたらいいの?」
軽くパニックになってエライネはグウの身体に取りすがった。
「大丈夫、大丈夫だよエライネ」
グウはエライネより先に立ち直ったようで、優しくエライネの髪をなでてくれた。
「この力が本物かどうか、もう一回試してみようじゃないか」
「ええええっ! ちょっとなんかわたし、もう怖いんだけど……」
グウはぐずるエライネを引っ張って、オーガが住むとされる洞窟までやってきた。
「いくよエライネ! もし稲妻が発動しなかったらすぐに逃げて。僕が持ちこたえて後から逃げるから」
防戦となるとグウは意外と頼りになったし、逃げ足はとても速かった。
エライネは雷鎚を握りしめてうなずいた。




