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バニラの甘さは危険な香り  作者: 島の住人
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女湯4



百一歳にもなって立てるとは大したものだが、介護するほうは感心してばかりもいられない。


立つ力は残っている。立って良いか判断する力が残っていない。だから立てるお客は立てないお客より面倒な場合がある。昨夜も何度か立ったらしい。


その百一歳のお客の上衣を脱がせる職員の手が止まった。


胸に大きな(あざ)がある。赤紫色の痣だ。


老人は痣を作りやすく、どこへぶつけたか本人も覚えていない皮下出血は、介護の仕事をしていれば珍しくない。


ただ、これは形がよくない。手に見える。誰かが手のひらを胸へ当てて、力を入れて押せばこんな痕になる。端のところには、人の指と見ようと思えば見える細長い模様が出来ている。


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