4/6
女湯4
百一歳にもなって立てるとは大したものだが、介護するほうは感心してばかりもいられない。
立つ力は残っている。立って良いか判断する力が残っていない。だから立てるお客は立てないお客より面倒な場合がある。昨夜も何度か立ったらしい。
その百一歳のお客の上衣を脱がせる職員の手が止まった。
胸に大きな痣がある。赤紫色の痣だ。
老人は痣を作りやすく、どこへぶつけたか本人も覚えていない皮下出血は、介護の仕事をしていれば珍しくない。
ただ、これは形がよくない。手に見える。誰かが手のひらを胸へ当てて、力を入れて押せばこんな痕になる。端のところには、人の指と見ようと思えば見える細長い模様が出来ている。




