我が民
雷が激しく轟く。
城の中で、キッセンベリの若き国王は、椅子に腰掛けため息をつく。
疲れた。
今は、何をしても、脱力感しか感じられない。
いつからこんなことになってしまったのだろう。
「民は?我が民はどこに行った?」
若き国王は、力なく呟く。
「陛下。心配ありません。この戦いに勝てばすぐにでも民は戻ります。今は、戦いを避け隠れているのです。なんせこの戦いには、最高の魔術師であるこのガスケがおります!みな心待ちにしておるのです。この戦いに勝ち西の全てを治める陛下を!もうすぐです!」
ガスケは、若き国王を鼓舞する。
「…そうか。待っているのか。」
若き国王は、ゆっくりと立ち上がった。
「少し休む。」
若き国王は、ガスケの鼓舞する言葉にもあまり反応することなく、ふらつく足どりで部屋を出た。
「まったく、情けない。」
ガスケは、若き国王が部屋を出ると舌打ちした。
「昔、アスリー達と戦ったキッセンベリの国王は、容赦なく戦ったと聞いているのに。」
ガスケは、窓辺に向かい窓を開け放つ。
窓辺からは、小さな教会とその先の小高い丘が見える。
もうすぐ昼時だと言うのに、薄暗く、時より雷が轟く。
小高い丘には、選ばれし魔術師達が封じの石があった祭壇を囲んでいる。
「さて、ワシも行くとするか。もうじき開かれる。《《ワシ》》があやつらを操り西を治める!」
ガスケは、勢いよく握りこぶしを振り上げた。
「ん、ワシが…?」
ガスケは、自分の言葉に笑った。
「まぁ、良い。」
ガスケは、今度は大笑いした。
「ワシが国王か…。」
ガスケは、自分の握りこぶしを見ながら、想像しほくそ笑んだ。
「あの情けない国王には、まぁ、矢面に立たせ、せいぜい敵の的になってもらうか。」
ガスケは、軽い足どりで部屋を出た。




