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誓いの果て  作者: のの
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情報共有

 ベリンガーは、エレインと別れた後、旅に必要なものを買い集めた。

 追われる身となったため、気軽に立ち寄れるところが無くなった。


 道中も、サンゼベリアまでは、立ち寄らないことにした。

 ある程度、このイリヤで、情報が得られれば、そのままサンゼベリアに行き、必要があればその他の国に寄れば良いと考えた。


 買い集めたものを、エレインに借りた客用の部屋に置いて、ジャイル達の待つ酒場に向かった。



 酒場には、すでにジャイル達が席に着いて飲んでいた。

 この酒場の経営者は、エメラル出身で、他国からの客を多く集めて、多いに儲けていた。


 ギルは、もう1人連れていた。

 歳は、26、7といったところだろうか。

 いや、もう少し若いだろうか。

 と、考えながら、その連れの前に座る。


「あっ!」

 ベリンガーは慌てて席を立つ。


 慌てるベリンガーの腕を掴み、もう片方の手の人差し指を口に当てる。


「堅苦しい挨拶は、無しだよ。」

 にっこりと微笑まれた。


 ベリンガーの前に座るのは、リメルナの第三王子 ミムだった。



「驚きました。」

 ベリンガーは、席に座りながら、本当に、びっくりしていた。


 ミム王子は、1人で出歩くとは聞いていたが、会うのは初めてだった。

 一度、コッツウォートの王都で、国王への謁見に向かう、ミム王子を見かけたことがあるだけだ。


「そんなに恐縮しなくてかまわないよ。蛮族の王子様だから。」

 にっこり笑う。


「そんな言い方しないでくださいよ。坊っちゃん。敬愛の念を持って、支えているものがいる前で。」


 ギルは、呆れながら注意する。


「ごめん、ごめん。もう少し威厳のある態度を出せるように頑張るよ。で、突然来て悪いんだけど、情報共有に僕も混ぜて欲しいんだ。王子様ってことで、断れないと思うけど。」

 ミムは、悪びれることなく、笑顔を見せ、すぐに本題に入った。


 ミムは、すでにベリンガーが、コッツウォートでは、指名手配されていること知っていた。


 ベリンガーは、思い出すのは辛いが、ラザフの話しをした。どうしてもキアラのことも話さなければならなかった。


 禁術の話しは、ミムもジャイルも同意見で、キッセンベリでは、魔術師が、数は不明だが、禁術を取得しているで一致した。


「禁術の載っている魔術書は、結構集めたのに。人を乗っとるなど、質の悪い禁術を取得しおって!」

 ジャイルは、悔しそうに、コッツウォート産の果実酒を飲んだ。


 その果実酒は、第三所領の果実酒だった。

 風味は良いが、かなり渋めの味だ。それが大人の男達には、受けが良かった。

 これを売ろうと言ったのは、テオグラートだった。

 テオグラートは、兵や城で働く者達に飲んでもらい反応を見た。

 結果は、酒好きな者達だけが好反応見せた。

 元々、この果実酒は、量が取れなかった。

 なので、量産せず、一部の酒場に卸すだけにして、酒場で辛口を好む呑んだくれようとして売ることにしたものだ。

 テオグラートいわく、

「飲むと、うげーってなる」お酒だそうで子供らしい表現だが、大人しか分からない味として酒場では、良く売れていた。




 ミムは、キッセンベリとサンゼベリアの相性が非常に悪いことを懸念していた。


 サンゼベリアは、かつて、勇者が悪を倒したとする勇者の末裔が国王となっていて、キッセンベリは、その悪の魔術師が生まれた国として、今は、誰も知ることの無い、ただの言い伝えを根強く持っている両国だった。


 特に、キッセンベリの若き国王とサンゼベリアの王子達は、歳が近いこともあって、お互いを毛嫌いしていた。

 サンゼベリアの血気盛んな三兄弟が、特に暴走気味で、それを国王が抑えられるかが焦点だった。



「サンゼベリアに行ったが、国王は、悩んでいるようだった。キッセンベリのこともそうだが、自国の、次の国王選びに時間をかけすぎたようだ。」


 ミムは、テオグラートのうげーと言う酒ではなく、第二所領の果実酒を飲んでいた。

 こちらは、品のある風味が、若い層に人気の酒だ。

 ミムは、それとなく、甥っ子の酒を選んでいた。



「国王選びは、三人もいると大変だな。コッツウォートも、リメルナも三兄弟だ。」

 ベリンガーは、当人が居るにも関わらず、思わず言葉がもれた。


「あっ、申し訳ございません。」


「かまわんさ。確かにそうなるだろうな。」

 ミムは、さほど気にすることなく、酒を飲んだ。


 リメルナは、国王選びには、問題は生じてないようだ。


 昔、グレアム王子が1ヶ月、行方不明となり、大問題となったことがあったが、今は、グレアム王子が次期国王となるだろうと言われ、落ち着いていた。


 第一王子のステアの話しは、まるっきり聞かないし、本当に居るのかと言われていたぐらい姿を見せなかった。



「今は、不安定な状態だ。ちょっとしたことで戦いに発展しかねない。できれば、話し合いで終わらせたいが、サンゼベリアの王子達が一戦交えたがっている。厄介な状況さ。周りの国は、さぞ迷惑だろう。」

 ミムの見解では、良い展開にはなりそうになかった。


 ベリンガーは、ミム王子にリメルナの今後の動きを聞いた。


「今は、キッセンベリが大きく動いていないため、こちらも動けない。だが、サンゼベリアの国王には、グレアムからの忠告を伝えた。キッセンベリと戦うなら、国王と魔術師は必ず殺せと。情や中途半端な戦い方をして、国王と魔術師を取り逃がすとサンゼベリアのみならず、他国も甚大な被害を受けると。」



 ベリンガーは、いつの間にか、手を強く握っていた。




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