信じる気持ち
「逃亡者と知っていて招き入れたのか?」
アディは、剣をベリンガーの後ろにいる、ロゼとマークに向けている。
「先生は、殺人犯ではないわ。」
ロゼが、珍しく怒気をあらわにしていた。
「コッツウォート内の事件だ。君たちの判断を勝手に押しつけないでほしい。」
サミーが答える。
「大将に何をした!」
アディが、ベリンガーへにじり寄る。
「禁忌の魔術を解除した。」
ベリンガーが手を前に出すと、手のひらには黄金色の石が乗せられている。
「手をおろせ!」
ベリンガーが魔術を使うと思いアディは、大声をあげた。
「待って!」
テオグラートが、キリウェルの腕の中から逃れようとしながら叫んだ。
「先生が僕を殺そうとしてるなら、とっくに殺してるよ!だから今は僕を信じて。キリウェル、離して!」
キリウェルは、渋々離した。
テオグラートは、キリウェル達を安心させるために、その場でベリンガーと話し始めた。
「先生、その石を使えば、魔術を解除出来るの?」
テオグラートは、ベリンガーの手のひらにある黄金色の石を見つめた。
キリウェル達も、これがあれば魔術を完全に解除出来るのかと黄金色の石を見つめた。
「ああ、そうだよ。」
ゆっくりとベリンガーが前に出る。
「テオ。」
ベリンガーがテオグラートに近づきながら、優しく呼びかける。
黄金色の石を一緒になって見つめていたキリウェルが我に帰る。
「馴れ馴れしく呼ぶな!」
キリウェルが怒気を強める。
「殿下。」
ベリンガーが呼び直す。
「殿下に謝らなければなりません。大事な時にお側にいることが出来ず申し訳ございませんでした。」
ベリンガーが頭を垂れる。
「あの時も、今も来てくれたよ。」
テオグラートが微笑むと、ベリンガーは、大きく息をはいた。
「ちゃんと話したい。中で話しましょう。」
テオグラートが屋敷へ誘う。
キリウェルがテオグラートにつき、アディとサミーがベリンガーにつく。
大将をカイとミッヒが抱えながら、屋敷へと歩き始めた。
屋敷に入ると、テオグラートは、ベリンガーにソファへ座るよう進め、自分も座る。
キリウェルや、アディ達がテオグラートの横や後ろにに立つと圧が凄い。
ロゼとマークもベリンガーを守るように後ろに立つ。
テオグラートとベリンガーは、お互いに信じる気持ちを持って、もうすでに、この世にいない愛する人の話しを始めようとしていた。




