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誓いの果て  作者: のの
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31/77

逃亡者ベリンガー

 テオグラートが、謁見の間を後にしてからは、フレールの上層部達は頭を抱えていた。

 13才の少年に言われた言葉は、ひどく大人達を動揺させていた。


 我々が敗れれば、戦場はここになる。


 今なら、コッツウォート、リメルナ、エメラルを駒とできる。

 だが、コッツウォートらが敗れれば、フレールは隣国と一緒に戦うことになる。

 数としては、彼らより多いがリメルナやエメラルほど戦い慣れしていなかった。

 とくに、報告に上がっている魔術師や異形などと戦うなど想定外だろう。


 国王は、悩んでいた。

 戦いを宣告すれば、当然、息子であるクラウスを出さない訳にはいかなかった。

 師団長のキャスに、頼むとしても今回の戦いは、生き残るための配置は難しいだろう。


 フレールより先の東側の国々とは、キャスが師団長にまで上り詰めた東側との戦いで、 今は同盟を結んではいるが、兵を出すかは微妙なところだった。

 彼らも、戦況を見守る可能性があった。


 何しろ自分たちも、高みの見物を決め込み、コッツウォートに加勢しなかったのだから。

 同じことをする可能性は十分にあった。

 フレールよりさらに東側にいる者にとって、西の脅威など、脅威と感じる者は皆無だろう。


 国王は、謁見の間にいる上層部に、明日、早朝に集まるよう命じ退出する。

 退出の際、キャスを執務室にくるよう命じた。


 テオグラートは、キャスの屋敷に戻ると、裏庭に寝そべる狼たちを見つけた。


「そういえば、こっちの問題も早く解決しなければ。」

 テオグラートは、ため息混じりに呟いた。


 アディがテオグラート達を迎える。

 テオグラートは、そのまま狼達がいる中庭に出ていった。


「やけに早いな。」

 アディの問いに、


「歓迎会ではなかったのでな。」

 サミーは、中庭に出ていったテオグラートの背中を見つめながら呟いた。


 キリウェルは、素早くアディら居残り組に、報告をした。



「止めろよ。大将!」

 また、コロコロした狼に、テオグラートが頭突かれている。

「止めろってば!」

 テオグラートは、コロコロした狼にのし掛かられていた。


「フレールは、兵を出すか?」

 アディは、テオグラートを見つめながら問う。

「出しておくのが最善策だろう。ただ、どのタイミングかだな。兵数は極力減らしたくないだろ。」

 キリウェルも、テオグラートを見つめながら、答えた。


 急に、コロコロした狼が痙攣するように倒れた。

 キリウェル達が慌てて中庭に出た。

 狼から黒い霧のようなものが立ち上ぼり、大将が現れた。

 大将は、ひどく息切れしていて、苦しそうに四つん這いのまま立ち上がれないようだった。

 アディ達が駆け寄る。


「大丈夫か?」

 アディが、声をかけた。


「先生!」

 テオグラートの大声に、キリウェル達はテオグラートが見る方向に顔を向ける。


 テオグラートが、駆け出す。

 キリウェルが、テオグラートの腕を掴み抱え込む。


 アディとサミーは、剣を構えた。


 アディ達が剣を向ける先には、テオグラートの母親キアラ妃を殺害し逃亡したベリンガーが佇んでいた。


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