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誓いの果て  作者: のの
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国王への謁見

 テオグラートは、国王への謁見のため、リリアーナと一緒に馬車に乗っていた。

 馬車の前後には、馬に騎乗するクラウス王子、キャス師団長、近衛隊、コッツウォートからは、キリウェルとサミーだけだった。


 アディ達は、フレールでの危険性は少ないとみて、次の出立に備えて、荷物を揃えたり剣の手入れをしたいと申し出たが、サミー曰く、王宮での食事を考えて、マナーなどが嫌

 で貴族出のキリウェルと自分に押し付けたに違いないとぼやいていた。


 馬車から見える町並みは、平穏で、通り沿いは洗練された店ばかりが続いていた。

 テオグラートが前に見た時より、建物が新しい感じがして、国の財政の豊かさがうかがえた。

 ただ、テオグラートは、コッツウォートのような温かみのある町が好きだったので、町並みへの興味はすぐそれた。


 リリアーナは、馬車に乗ってからずっとテオグラートの手を握っている。

 リリアーナの気持ちも、キリウェル達の気持ちも分かっていた。

 ただ、フレール国に着いてから、テオグラートは、肝が据わっていた。

 たぶん、クラウス王子を見て、自分の王子としての自覚を思い出させてもらったのかもしれなかった。


 クラウス王子は、経験の少なさから失敗をしたが、彼の行動は、王子として、人として行動を起こしているまっすぐな人だと、テオグラートは思っていた。


 あらためて、自分の王子としての行動を考えた。

 まだ、この戦いにおいて自分の役割は何か分かっていなかったが、兄上と共に、他国の人達と共に戦いに出る気持ちは出来ていた。


 ただ、個人的には、リリアーナとたくさんの時間を過ごすことの出来ないことが残念でならなかった。


「リリアーナの父上はどんな人?」


「あまり話したことがないの。とても忙しいから。でも誇りに思っているわ。フレール国王として皆に慕われているし、国を平和に保っているわ。」

 リリアーナは、自分の父親について知らないと答えなければならないことを恥ずかしそうに話したが、誇らしく思っていることは伝わってきた。


「僕の父上も同じだな。いつも忙しかった。父親でいるよりも、国王での時間のほうが必要とされていた。」


 テオグラートは、小さい頃、父と話したことがほとんど無かったが、軍を持ち、第三所領の領主として、王宮に上がれるようになると、兄上達と一緒に、会議や、時には、四人で食事やお茶を飲むこともあった。

 各自の所領についての話しばかりだったが、それでも家族の一員としてその場に居れることが嬉しかった。


 第三所領は、どうなっただろか。皆、無事だろうか。


 兄上の配慮で、コッツウォートの民をリメルナに移したが、それでも全員とはいかなかっただろうし、兵達は、亡くなった者も多かったはずだ。


 テオグラートは、コッツウォートにいた最後の日を思い出しながら、王宮の門を通りすぎた。



 国王への謁見は、華やかな謁見の間にフレール軍の上層部がひしめき合うものとなった。


 キリウェルもサミーも、険しい顔をしており、大将やアディ達を連れてくるべきだったと後悔した。


「まるで公開尋問だな。」

 サミーが小声で呟いた。

 キリウェルは、前で片膝を付くテオグラートを見つめていた。


 国王が謁見の間に入り玉座に座った。


「コッツウォート国、テオグラート王子。前に来た時より随分成長され、立派になられた。この度は、わが娘リリアーナを助けてもらい深く感謝する。」


 間ができたので、テオグラートは、口を開いた。

 国王に、クラウス王子が我が国を心配して助けようとしてくれたことに感謝し、キャス師団長にフレールまでの旅路、フレールに着いてからの配慮に深く感謝する旨を伝えた。


 テオグラートは、少しでもクラウス王子の立場が良くなるように配慮していた。


「着いて早々ですまないが、そなたの国コッツウォートの現状を知りたい。」

 国王、軍の上層部達の注目のなか、テオグラートは、淡々と報告をする。


 国の被害はさほど酷くないこと。多くの民をリメルナに一時避難をさせたこと。

 国王と長兄を失ったが、第二王子のリルが国王となり、次の戦いに備えていることを伝えた。

 この報告は、エメラルで得た情報から、酷い情報を省いたものだ。

 コッツウォートの被害が、大きければ大きいほど、フレールは軍を動かさないだろう。

 コッツウォートの軍が、まだ戦えることが、今後を左右するはずだ。

 テオグラートは、コッツウォート国が西からの襲撃後も国として成り立っていることを強調した。


 西の脅威については、すでに承知しているはずの魔術師、異形がコッツウォートを襲撃したものより、はるかに強力になっていることを伝えた。


 国王、フレール軍の上層部達は、一様に唸るだけで、声も出せずにいた。


 テオグラートは、最初からフレール国が軍を出すか決めかねるだろうと思っていた。

 すでに、コッツウォートからの使者より、援軍の要請は受けているはずだ。

 テオグラートからは、援軍の要請はするつもりはなかった。


 最終的にフレールは、軍を出さずにはいられないだろう。



「少し休息をいただき、明後日の朝、コッツウォートに戻ります。」

 テオグラートは、話しは終わったとして、別れの挨拶をした。


「戻るか。」

 国王は、13才の少年が戦場に戻ろうとしている様を悲痛な面持ちで見つめた。


「はい。我々が敗れることがあれば、戦場はここになるでしょう。善きご判断を。」

 テオグラートは、一礼をして謁見の間を出ていった。





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