戦地コッツウォート④
第二砦では、四人が様子を伺っていた。
爆風で負傷した者をなんとか暗くなる前にすべてリメルナに移動させ、リメルナの医師や癒やし手達に委ねた。
重症を負いながら、早急に手当てを受けたアーチやナギ、ガビとゴビが第二砦に戻っていた。
そこに、100人ぐらいの隊列が入ってくる。
「なんだ。あの派手な甲冑野郎は?」
ガビがちょっとギザな言い方をする。
「それ、ナギの真似だろう。うける。オレもやる。」
ゴビのちょっと高い声が言う。
「なんだ、あのキンピカ野郎は?」
「おい!いい加減にしろよ。」
ナギがうんざりして呟く。
「フレールが兵を戻したのか?」
アーチが少し身をのりだす。
ナギは、アーチが出過ぎなので引っ張る。
「違う兵だ。」
「違うね。」「違う、違う。」
ナギとガビ、ゴビが合わせたように返事をする。
三人ともずば抜けて観察力にすぐれていた。
「あの派手な甲冑は、フレールの王子さ!」
今度はガビが身を乗り出す。
ナギが、ガビを引っ張る。
「なんで分かるんだよ。」
「見たことがあるんだよ。フレールの王宮で。」
「見た。見た。」
「お前、よくここから見えるな?それに、なんでお前なんかが王宮に行ってんだよ。」
「ちょっとした野暮用だよ。」
「野暮用。野暮用。」
ガビとゴビが、いつもの調子で答える。
カチっとドアの開く小さな音が微かにした。
その瞬間、四人が動く。
ゴビは、ドアの横に滑り込む。
四人とも、短刀で侵入者をいつでも殺せる態勢をとっていた。
「すまない。私だ。」
ドアの前で、ヴァルの声がした。
「旦那~、脅かさないでくださいよ~。」
ゴビが大きく息を吐く。
ドアが開くと同時に、ゴビの首に短剣が突き付けられる。
「確認するまでは、気を抜くな。」
「へへ、すみません…」
ゴビがへらへらと謝る。
ヴァルが短剣をしまう。
「引き続き様子を見ろ。アイツが去ったか確認中だ。場合によっては、動く。準備しておけ。」
ヴァルが去ろうとすると、ナギが声をかける。
「陛下は、リメルナですかい?」
「…いや、こちらに戻っている。ミム王子も。…何か陛下に不平があるのか?」
「いや~。別に。嫌いじゃないですよ。戦いの時、前に立つ奴は。」
ヴァルは、そのまま外に出た。
「なんだ、陛下に不平があるのか!」
アーチが、ナギを小突く。
アーチは、ナギのリルへの軽んじる態度が嫌だった。リメルナからコッツウォートに来ている身だから仕方ないとしても、友人に自分の主を軽く見てほしくなかった。
「怖じ気づいたかなと。みんなを救助している時思ったんだよ。」
ナギは、考えるのを止めた。次に会ったときにきっと分かるだろう。




